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2001/11/04 放送

父子の戦い!アメリカ大統領ジョージ・ブッシュ



 国自体が一個の強烈な人格であるかのような今のアメリカ…アメリカという国の強固な信念と行動。外国からは時に過剰にも見える自意識と団結力。それを今、中心で束ねるアメリカの大統領。ジョージ・ブッシュ。ちょうど10年前にも世界は同じ光景を見た。現役ブッシュ大統領の父親、ブッシュ元大統領。父子大統領の前に奇しくも起きたアメリカへの挑戦と戦いは何を物語るのか。

 アメリカという国の歩みと、ブッシュ一族。父子2代に渡る大統領の座。そして今、21世紀の世界の運命を賭けた決断の裏で父から子へ託されていたものは…そしてその影に隠されていたブッシュ一族の数奇な運命…。アメリカにおけるブッシュ一族とはどんな存在なのだろうか?

 息子に大統領のバトンを渡した父・ジョージ・ブッシュ元大統領。1924年、日本では大正13年生まれだというのに、彼には生まれた時から動く映像が残されている!さらには、太平洋戦争でパイロットとして従軍。対日戦で撃墜され洋上を漂った時、潜水艦に救出されて、九死に一生を得た時まで、フィルムに収まっている。そのことが何より如何にブッシュ家の存在力を物語っている。彼の父で上院議員を務めたプレスコット・ブッシュがイギリス国王ヘンリー3世の末裔にあたるというブッシュ一族。貴族の誇りを受け継ぐプレスコットの言葉が、ブッシュ家の息子や孫の生き方を決定した。

 新たな宗教プロテスタントのもとに理想の国づくりを目指しアメリカを建国。自由と平等、民主主義を高々に掲げた先祖たち。さらに、先住民インディアンを駆逐し西部を開拓していった子孫たち。ロックフェラー家、ルーズベルト家、ケネディー家、そしてブッシュ家もルーツはそこにあった。新天地はやがて世界の憧れとなり…続々と大陸から渡ってくる移民たち。

 19世紀末の産業革命と第一次大戦を経て経済力と軍事力をつけたアメリカは、自分たちの理念を世界に冠たるものと、疑わなかった。フェアプレー精神、正義、そして力…。ハリウッドもベースボールも、ブルージーンズもアメリカを物語る道具立てに他ならなかった。

 <自由とパワー>を合言葉に …。大統領こそは世界のリーダーであり、星条旗の先頭でアメリカを率いる最大のヒーローであった。いつの時代も大統領の言葉は、アメリカ人の合言葉・メッセージを意味することになった。

 しかし、祖父、父と手渡されたエリートの家風に、自分は「はみ出し者の劣等生」と自嘲していたのが、戦後生れで父の名前まで受け継いだ長男ブッシュ・ジュニアだった。父の後を追って名門大学へ進んだものの、成績は芳しくなく、ベトナム反戦運動に明け暮れる友人を横目にノンポリを決め込み、酒に酔ってクリスマス飾りを盗むといった青春の蹉跌を味わっていた…。

 その頃、父のブッシュも初めての挫折を噛み締めている。上院議員に立候補するも惨敗で落選。この政治生命の危機に、救いの手を差し伸べたのが共和党のボスでもあった、当時のニクソン大統領だった。与えられたポストは、共和党全国委員長。大統領の影のバックアップ役として、汚れる仕事もやらなければならない。

 「強いアメリカ」「楽観的な時代」を象徴したレーガンは、東西冷戦の敵ソビエトを「悪の帝国」と言い放ち、軍事力を背景としたアメリカの正義こそが、世界の正義であることを見せつけた。レーガン政権の8年間、ブッシュは忠実にヒーローを影で支え、名調整役として評価を回復した。そして、出番は巡ってきた。レーガンの後継として名乗りをあげたのだ。

 キャッチフレーズは「思いやりと優しい保守政治」。しかし、対立候補からは、坊ちゃん育ちをあざ笑う声ばかり。その頃、失敗続きの前半生だった息子ブッシュにも、双子の子供の父親になるなど一大転機が訪れていた。それまで酒に酔っては父親にさえ、からんでいたブッシュ40歳の誕生日のこと。パーティーでぐでんぐでんに酔ったブッシュは、ジョギングで酒を抜くとロッキー山脈を眺めながら突然、酒を断つことを誓ったという。

 そして父のブッシュは勝った。勝利を見届けた息子ブッシュは、テキサスに戻り、父とは全く違ったビジネスの世界に飛び込んだ。自分が大好きだった大リーグの球団「テキサス・レンジャース」の経営だった。ところが、1990年、思いもよらないところから「新たな敵」が現れた。中東の独裁者サダム・フセインだ。ブッシュはアメリカの威信を示すため即座に戦うことを宣言。かつての「弱腰エリート」から「戦う男」への変身。この時、大統領支持率は過去最高を記録した。冷戦終結・中東・新たな敵・試されるアメリカの正義…ブッシュ家の運命の糸が妖しく捩れていた。

 1992年、絶対有利なはずだった2期目の大統領選は、息子と同い年の若いクリントンの前に惨敗。現職が敗れるという屈辱にまみれ、ホワイト・ハウスを明け渡した父ブッシュは涙をこらえきれなかった。

 ブッシュ一族、屈辱の1992年。しかし、この瞬間、地に落ちたブッシュ家の再興を託されたのが、息子ジョージ・ブッシュだった…。それまで経済的繁栄を謳歌していたアメリカに、大統領の不倫もみ消し疑惑が吹き荒れた。この風を捉えてついに、息子ブッシュが大統領選に名乗りをあげた。運命のいたずらか、この時カギを握ったフロリダ州知事は、ブッシュの弟・ジェブだった。果たして、連邦最高裁までもつれにもつれた選挙は、ブッシュファミリーが勝利!21世紀最初のアメリカ大統領として、父のリベンジが息子によって達成されたかに見えた…。そして今、世界が固唾を飲んで見守る大統領の選択。それは同時に、ブッシュ一族への運命の試金石でもある。

 
 
 

 
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