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■注目選手

日本全国、東西南北の激戦を勝ち抜いて選手権の舞台にスター候補たちが登場する。圧倒的な身体能力を持つもの。目にも止まらぬスピードがある選手、そして観客を魅了するファンタジスタ。その中でも特に高いパフォーマンスを発揮するであろう逸材をクローズアップする。

長崎・国見3年
渡邉千真(FW) KAZUMA WATANABE

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戦後最多7度目の選手権優勝を“義務”づけられた国見の10番を背負う男。周囲からは大会ナンバーワンの声が集まり、その期待にこの1年間見事に応えてきた。前回大会では、史上初の2大会連続得点王となった平山相太(現筑波大)の後継者として8月のインターハイで優勝。9月、10月には高体連唯一の選手としてU19日本代表に合流した。圧巻は準決勝の韓国戦。0−1で迎えた後半ロスタイムに起死回生の同点弾をたたき込んだ。先輩・平山の折り返しに鋭く反応、ヘッドで宿敵・韓国のゴールをこじ開けたのだ。もちろん国見の大黒柱としての存在感も大きい。主将であり、エースであるこの男がいるだけで国見は王者らしい貫ろくある戦いを見せる。「連覇とか優勝とか。そういうものは意識しないで自分たちのサッカーをしたい」自分たちの強さはピッチの上で示す。少ない口数からは強い決意が見て取れる。

 

宮崎・鵬翔3年
興梠慎三(MF) SHINZO KOROKI

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だれが見ても、「この選手は抜群に上手い」と一目で分かる。リズミカルでスピーディーなステップで面白いようにDFをかわして鋭いシュート。別の場面では相手の裏をかくタイミングとツボをおさえたラストパスを繰り出す。特にドリブルでの突破力は一級品の切れ味。宮崎選抜として挑んだ9月の国体では驚がくの6人抜きをやってのけた。シャープにフィールドを駆け回って攻撃の全てを演出する才能は、国見の渡邉千真をもしのぐともいわれている。鹿島アントラーズへの入団が内定しても、サッカーに対する姿勢はあくまで謙虚。「去年のほうがいいプレーをしていたと思うときがある。自分はもっと上手くならなくちゃいけない」見ていて楽しく、そして凄い。"宮崎のロナウジーニョ"が実力をフルに発揮すれば県勢初の快挙、国立競技場でプレーするという目標はグっと近くなるはずだ。

 

鹿児島・鹿児島実3年
岩下敬輔(DF) KEISUKE IWASHITA

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ガツガツと激しいボディコンタクトで相手を攻めたてる仲間の一番後ろ。冷静に、そして的確に味方に指示を出す最後尾の司令塔がこの男のプレースタイル。安全な場所にボールをクリアする時でも攻撃の一歩になるように。そんな心憎い配慮ができる戦術眼は逞しさが前面に出ている薩摩隼人の集団をより高いレベルに引き上げている。前回選手権ではファイナルの一歩手前で涙を飲んだ。同じく4強入りした今秋の全日本ユースは故障中で、満足に出場すらできなかった。だからこそ、高校最後の大会では万全な状態で最高の結果を残したい。清水エスパルス入団内定 。

 

福岡・東福岡3年
近藤徹志(DF) TETSUSHI KONDO

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DFラインの中央に立ちはだかる“赤いカベ”。187cmの堂々とした体格と屈強なフィジカル能力で相手エースをことごとく封じる姿は、「鉄壁」という言葉が自然と思い浮かぶ。過去2度の選手権制覇を誇る東福岡のイメージは攻撃力。サイドアタックに代表される華麗で素早い攻めの印象が強いが今回はまずこの守護神を見てほしい。安定度抜群のそのプレーを見れば、「西日本ナンバーワンのセンターバック」という評価も決して間違いではないということがすぐに分かるはずだ。浦和レッズ入団内定。

 

広島・広島観音3年
松水隆憲(MF) TAKANORI MATSUMIZU

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未知数の可能性を持つ初陣校はこの男が束ねている。確かな個人技を持つ仲間を的確なポジショニングと正確なフィードで操る。ここに出したら危ない、と警戒する相手の心を読んだかのうようなロングパス一発で試合の展開をガラリと変える。またボールを持ったら簡単には奪われないキープ力も魅力の一つ。この男がボールを懐におさめれば広島観音というチームは落ちつきを取り戻す。「精神的な柱。うちのチームには欠かせない選手です」と日頃指導する畑監督も存在の大きさを認める。この初出場校が快進撃を遂げたときは、間違いなくこの男が輝きを放っているはずだ。

 

愛媛・済美3年
堀川恭平(FW) KYOHEI HORIKAWA

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180cmの長身ストライカーで、背番号は14番。細身で丸がりというルックスも含めて前回大会で大活躍した国見・平山選手(現筑波大)を彷彿させるものがある。だがプレースタイルはちょっと違う。前回大会で注目された“怪物ストライカー”は「高さ」を武器にするが、今回ブレイクを狙う四国の逸材は「速さ」が最大の持ち味だ。細身の体を傾けてピッチを疾走。DFの裏に飛びだして狙いすましたシュート。「左右どちらでもコンパクトに足を振り抜きます」と土屋監督の信頼も厚い。例えて言うならフランス代表のFWアンリのようなタイプ。持ち前のスピードで近年好結果が出ていない四国勢の不振を覆す足跡を残すことがでるか。

 

滋賀・草津東3年
梅川毅士(FW) TAKESHI UMEKAWA

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チームの特徴を記した用紙には特徴がこう書かれている。「ヘディング、左右両足どこでも点の取れるストライカー」この表現通り、最大の持ち味はどんな形でもゴールを奪える得点感覚だ。181cmと体格も十分に恵まれているが、加えて柔らかなボールタッチで鮮やかに相手DFをかわす。決して強引ではない。しなやかなプレースタイルで何度もゴールネットを揺らしてきた。4年前、選手権ファイナルに登りつめた要因であるチーム伝統の"ムービングサッカー"がある。一人が動けばそれに応じて残りの10人が連動する組織だった集団がより一層この男の能力を最大限に引き出しているのだ。

 

兵庫・滝川第二3年
岡崎慎司(FW) SHINJI OKAZAKI

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体はそれほど大きくないが切れ味は抜群。触っただけでケガしそうなジャックナイフのような鋭さががプレーの最大の特徴である。自分でドリブルを仕掛けてチャンスを作りることはもちろん、僅かでもゴールへの道を見つければ迷うことなく右足を振り抜くアグレッシブなストライカー。見た目のプレーと同じくらい判断も迅速。どうすれば最も確実に相手を攻略できるか−。冷静かつ瞬時に戦略を練るという玄人うけする能力もより一層、この男を輝かせている。高校1年時から選手権に出場。しかも過去2年連続で国立でのプレーを経験した。だがそれは決して勲章にはならない。一度もファイナルに進むことなく涙を飲んでいるからだ。高校最後の大舞台こそ、国立での勝利を味わいたい。清水エスパルス入団内定。

 

静岡・藤枝東3年
赤星貴文(MF) TAKAFUMI AKAHOSHI

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出場21度目、過去4度の選手権制覇を誇る伝統校の「10番」なのだから、力量は当然ずば抜けている。中でも最も目を奪われるのが豊富なアイデアでゲームを創造する能力。パス1本や数秒のフリーランニングで展開をガラリと変えるサッカーセンスでフィールドを劇場に変えてしまう。いわゆるファンタジスタと呼ばれるタイプの選手なのだ。サッカー王国と言われ、幼少の頃から高いレベルの競争を余儀なくされる静岡という土地が生んだタレントだともいえる。ゴン中山こと、元日本代表のジュビロ磐田・中山雅史選手も高校時代に袖を通した紫のユニホームを全国舞台でアピールしたい。浦和レッズ入団内定。

 

石川・星稜3年
本田圭佑(MF) KEISUKE HONDA

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今大会ナンバーワンのレフティーだと言われている。現チームでは自在にラストパスを繰り出すことが最も大きな任務である。だがただの司令塔では収まりきれない才能の奥行きを持っている。昨年は左のサイドバックとして精度の高いクロスを供給していた。さらにその前年はセカンドストライカーとして数々の貴重なゴールを挙げていた。前線から後方までの「左」のポジションならどこでもプレーできるユーティリティープレーヤーが本当の姿なのかもしれない。中学卒業時は体の線が細く、所属していたガンバ大阪のユースチームに昇格できなかった。プロ入りを目指して雪国で技を磨き身長も7cm伸びた結果、「名古屋グランパス」の入団内定を取り付けた。あとは選手権に専念するだけ。チームの悲願であるベスト4以上の成績を手土産にプロの門を叩きたい。

 

千葉・市立船橋3年
渡邉広大(DF) KODAI WATANABE

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伝統の強固なDFラインを束ねる今大会最高のセンターバック。自陣ゴール前の空中戦で競り合う姿は迫力満点だ。相手FWとロングボールを奪い合うときは常に頭一つ高さで上回る跳躍でボールも相手も跳ね返す。課せられた役割はそれだけではない。毎年、全国屈指の堅固さを誇るDFラインを自在にコントロールしなければならない。特に今年は伝統の4バックと、新たに採用した3バックを使い分けるというハイレベルな課題をクリアしなければならない。「チームとして失点させないこと。個人で、というより(DF全体で)最後の砦と言われたい」文字通り名門を支える守護神として2年ぶりの選手権制覇に近づきたい。ベガルタ仙台入団内定。

 

岩手・盛岡商3年
福士徳文(FW) NORIFUMI FUKUSHI

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プリンスリーグ東北に、インターハイ、選手権予選。この1年間でチームの全得点の4割近くはこの男が挙げてきた。類稀な得点能力−。それがこのストライカーを代弁する表現だ。フリーキックでも、ドリブルシュートでもすべてのプレーをゴールを生み出すために計算されている。結果として1つの大会では大量得点、しかも3ゴール、4ゴールを1試合で挙げることは決して珍しい話ではない。高校入学時には県内の強豪チームが奪いあった逸材。それらの中から日本代表の小笠原(鹿島アントラーズ)を育てた齋藤重信監督の指導を受けることを選んだ。高校卒業後はその齋藤監督と同じ指導者の道を歩むべく大学でコーチング学を学ぶ。選手としての集大成を見せるべく、当然今回の選手権は気合が入るに違いない。

 

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