
『スパイダーマン』や『オズ はじまりの戦い』のサム・ライミ監督が弱冠23歳の時に撮ったデビュー作『死霊のはらわた』(1981年)。ジョージ・A・ロメロの『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968年)や、トビー・フーパーの『悪魔のいけにえ』(1974年)とならぶスプラッター・ムービーのエポック・メーキングな作品である。『死霊のはらわた』の大ヒットで、その後『死霊のはらわたⅡ』『キャプテン・スーパーマーケット』とライミ自身の手で続編が作られた(『死霊のはらわたⅡ』は続編とは言えセルフリメイクに近い作品だったが)。そしてオリジナル公開から32年の時を経て、ライミはプロデューサーに回り、ウルグアイ出身34歳の新鋭監督フェデ・アルバレスの手で新にリメイクされた。
薬物依存症のミアの治療のため、人里離れた山小屋に集まった5人の若い男女。ミアの兄デビッドとその恋人ナタリー、看護師のオリビア、高校教師のエリック。デビッドは母の死を境にミアと疎遠になっていたが、妹のリハビリを機に仲直りをしたいと考えていた。山小屋に着き早速治療を始める。禁断症状に陥ったミアが苛立ちながら「臭い!」と叫び出す。その臭いの元を探す4人は地下室の扉を発見。悪臭の中、天井から沢山の猫の死体が吊されているのを見つける。そして有刺鉄線で縛られた一冊の意味ありげな本を発見する(オリジナルはカセットレコーダー)。翌朝エリックは好奇心に逆らえず、ペンチで鉄線を切り本を開く。題名は「死者の書」。殴り書きで「唱えるな」と書いてあるにもかかわらず、エリックは書かれてある一節を口にしてしまう。すると森の奥深くから解き放たれたかのように邪悪な何かが蠢き出す。ミアは恐怖のあまり山小屋から逃げ出すが、“森”はミアを逃さない。木の枝がミアを縛り付け、死霊がミアの体内に侵入してくる。恐怖のあまり気を失ったミアをデビッドたちが山小屋に運び入れる。やがて意識の戻ったミアは、悪魔が乗り移ったかのような形相になり、若者をひとり、またひとりと襲っていく…。

ストーリーはほとんどオリジナルと同じ。主人公が男性から少女に変わった点ぐらいだ。その少女ミアを薬物依存症にしたのは表彰もの。彼女に死霊が乗り移り、訳の分からないことを言いだしても、周りの人は「ああ、また禁断症状が出たんだ」としか思えないからだ。逆に死霊が憑いたと分かってからも、単なる禁断症状も死霊の仕業と勘違いされる。事態は悪化するばかり。
そして30余年の年月は、撮影技術の発展を大きく進めた。そのお陰でリアリティが増す。さらにCGを極力控えたいという監督の意向から、生身の恐怖が味わえる。今回は“怖さ”というよりは“痛み”を前面に出している。私も怖さはいくらでも堪えられるが、痛みは避けたい。敵から逃れるため、手から侵入してくる死霊を食い止めるため、届かない武器を手に入れるため、自ら自分の身体を切り刻むシーンが出てくる。これは堪らん。ホラーではないが『127時間』でも崖から脱出のため挟まれた腕を自分で切り落とすシーンがあったが、もう観てられなかった。

エンドロールが終わった後、オリジナルの主人公アッシャーことブルース・キャンベルが登場する。彼はサム・ライミとは中学生の頃からの友人で、ライミ作品にはほとんど出演している。最近では「オズ はじまりの戦い」でエメラルド・シティの城の警護員役で出演している。特殊メイクが凄いので分からないかも知れないが、口ひげを蓄え顎の突き出ている門番だ。実は、オリジナルの続編とアルバレス監督版リメイクの続編を一本ずつ作って、その後この2つの世界をクロスオーバーさせた作品を作る構想があるという。アッシャーとミアの共演。是非観たい物だ。
☆『死霊のはらわた』2013年5月3日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー〈R18+〉
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテイメント