ストーリー

とある結婚式――。招待客の鈴木敏夫(石坂浩二)は、初々しい新郎新婦を見てため息をついた。
帰途、立飲み屋で一杯ひっかけていると、隣り合わせた客・田中勉(山本太郎)から、突然携帯を手渡され「知り合いを演じてほしい」と頼まれる。妻の華子(柴本幸)が夫の所在=アリバイを確かめようとしているのだ。鈴木は仕方なく電話を受け取り知人を演じたが電話はすぐに切れてしまう。
偶然そこに居合わせた伊藤光俊(市川亀治郎)も加わり、田中の悩みを聞くことに。

田中は妻の華子から殴る蹴るのDVを受け、それを恐れて家に帰りたくないという。
しかし暴力をふるった後は泣いて謝るなどかわいい一面もあるのだと。

実は鈴木も家庭内に問題を抱えていた。30年連れそった妻の静子(風吹ジュン)から、「今すぐに出て行って!」と言われたのである。浮気をしたこともなければ暴力をふるったこともない。心当たりがまったくなく当惑するばかりだという。伊藤も「妻が別れて欲しい」と切り出し、どうやら妻・さゆり(釈由美子)の行動の背後には黒幕がいるという。伊藤はその人物の名刺を取り出し引き裂く――。
「結婚問題カウンセラー 渡辺貴美子(中谷美紀)

 

伊藤は東大出の財務省勤務。さゆりと伊藤は友人の紹介で知り合った。優しく気さくな伊藤に惹かれすぐに2人の交際が始まった。ある日、彼の実家を訪れたさゆりは彼の母親からレシピの書かれたノートを渡され、書かれた通りの商品・食材を使わねばならないと言われる。一瞬、違和感を覚えるさゆりだったが、やがて伊藤と結婚。幸せな新婚生活がスタートする。
はじめは「家事を手伝う」と約束していた伊藤だったが、あるとき甘えて「手伝って」といったさゆりに突然切れテーブルを蹴飛ばした。伊藤は蛾の収集が趣味。掃除のときにそのうちの一体を床に落としたことを根に持ったらしい。以来、伊藤の態度は豹変。さゆりの作った料理を口にせず、わざわざ市販の弁当を買って食べたり、三日間口をきかず、注いだお茶の温度にもいちいち難癖をつけだした…。
結婚して2年目にアリサができた時も、「5年間は子どもをつくらない」という当初の約束を破ったと伊藤は激怒。悪阻で体調の悪いさゆりに「だったら堕ろせ!」とまで暴言を吐くようになる。直接的な暴力はないものの、精神的に追い詰められる生活が6年間も続き、ついにさゆりは体調を崩しかかり付けの医師・真山(余貴美子)に相談をした。そして真山から“結婚問題カウンセラー”の貴美子を紹介されたのだった。

離婚を決意したさゆりは離婚調停で、離婚・アリサの親権・養育費・慰謝料を要求する。しかし伊藤はいっさい離婚を認めず話は進まない。

一方、貴美子の事務所へ田中が相談にやって来た。居酒屋で伊藤が破り捨てた貴美子の名刺を拾ってここへ来たのだ。
入れ替わりで今度は鈴木が訪れる。鈴木もまた離婚の原因が思い当たらず、途方に暮れていると相談にやって来たのだ。

次の日、貴美子は糸口を見付けに鈴木の妻・静子が開いている彫金教室を訪れる。生徒としてもぐりこむがすぐに夫が相談している離婚カウンセラーだとバレてしまう。貴美子は「したほうがいい離婚とそうでない離婚経がある」と静子に告げるが決意は固く取り合ってもらえない。

田中のすすめで華子が渡辺クリニックへとやって来た。実は華子自身、暴力をふるってしまう自分に悩んでいたのだ。そんな華子に貴美子は解決の方法を一緒に探ろうと励ました。

田中家・鈴木家に対する本格的なカウンセリングが始まる。
まず田中家の問題は、華子の心に“抑圧された衝動”があると着眼。
華子は子供の頃母親が大好きだったが、酒を飲むと暴力をふるう父親が大嫌いだった。
田中を殴るのは、「父親に似ているのが許せないから…。」だと。
鈴木夫妻へは「内観法」を伝授する。一週間、静かな所に身を置き、それぞれがこれまでに自分が「してもらったこと」「してあげたこと」「迷惑をかけたこと」をノートに書きだす方法である。しかし、「必要ありません」と静子に拒否されてしまう。

 

ついに、さゆりと伊藤の裁判が始まった。裁判官は単なる性格の不一致ではないかというが、さゆりは精神的迫害を主張。だが相手方の老練な弁護士・久保田(金田明夫)は、さゆりの陳述内容に反論。
お茶の温度の件、義母のレシピの件、すべてさゆりの態度が悪辣であったと主張。伊藤はさゆりが結婚直後から態度が豹変し、重労働で疲れ果てて帰宅した自分に食事も出さないと言い立て挙句の果てには、屈折してしまったさゆりがかわいそうだと裁判官の同情を引いてみせる。一時は有利のはずの裁判は最悪の展開に・・・。

落ち込むさゆりを、貴美子は昔在籍していた劇団のけいこ場にさゆりを誘いだし、内向的なさゆりに言葉のキャッチボールの訓練を開始する。するとはじめは硬い表情だったが次第に和らいでくる。帰りに居酒屋で酒を飲む2人。そこで貴美子は着飾って化粧をしたり、息抜きすることの重要性を説き、自分自身の2度の結婚失敗について語りだす。
1度目は学生結婚。家庭に入ることを望んだ夫に反し、貴美子は勉強を続けたいと主張。少しずつ2人に亀裂ができはじめ、結局娘・美穂の親権は夫に渡り夫はすぐに再婚。 「幼い美穂は再婚相手が本当の母親だと思い込んでいる」とさびしそうな表情を見せる。 2度目は弁護士。やはり仕事を優先したい貴美子との間に隙間ができ、別れてしまったのだと。悩むさおりは、貴美子に心とけていくのだったが・・・。

 

数日後、鈴木は突然しぶっていた離婚届に判を押し家を出て行ってしまう。
突然の豹変にショックを受けた静子は、慌てて貴美子の事務所へと相談へとやってくる。

一方、法廷では久保田弁護士から新たな資料が提出される。それはさゆりがアシスタントの小林(田中聖)と親密な関係をうかがわせる証拠写真。寝耳に水で愕然とする貴美子と加藤弁護士(東根作寿英)。さゆりと小林の関係が認められれば裁判は一気に逆転負けだ。小林は証人席に立たされさゆりとの関係を鋭く追及される。勝利を確信している伊藤。裁判官からさゆりとの関係を追及された小林は、重い口を開く……。その顛末は!?