海外支局を作ろう!

  • パリ支局
  • 2014年02月26日
  • フランス
  • クララ

【フランス】肉の専門学校

パリ支局開設8か月。
日本を離れ異国に住み込んでいるのは支局長だけではない。
現在赴任中なのは、花の独身・飯塚桂子支局員だ。

飯塚支局員「なんか男の子がいっぱいいるよ。フランスメンズ~!イケメン!!しかも多分若い!取材してみましょうよ。」
足立支局長「えー!!」

女性支局員の不純な動機に負けた足立支局長は、クララ現地支局員にその場所の事を聞いてみた。
クララ「そこは学校じゃないですか?肉の専門学校ですよ。」
足立支局長「肉の専門学校!?え~おもしろそう!」
善は急げと、クララ支局員に連絡を入れてもらうと取材許可が下りた!

後日、足立支局長とクララ支局員は肉の専門学校へ。
校長先生の案内で校舎の中へ入る。
校長「ここが作業場よ」
足立支局長「これから何があるんですか?」
校長「生徒たちが肉の様々な部位を処理します。この作業場で講師による実習授業があります。」

準備を始める生徒たち。すると…
くさりかたびら のような物を身に付けた。
校長「彼らが着けているのは保護エプロンなんです。授業中に誤ってケガするのを防ぐためのものです」

防御はエプロンだけではない。
包丁を握らない方の手には、頑丈なアルミ製の手袋も装着する。

重装備を身にまとい、ようやく実習開始! …と思いきや始まったのは身だしなみチェック。
衛生面にも気を遣うチェック項目は帽子、襟元、ネクタイの結び目などの制服に始まり、なんとわずかなヒゲの剃り残しまで指摘するという徹底ぶりだ。

こちら「エコール・プロフェッショナル・ドゥ・ラ・ ブシェリ」は1927年の創立。
肉屋の組合がこの職を絶やさないために作ったパリ市内唯一の肉職人専門学校だ。
現在はおよそ350人の学生が通っている。

そんな職人を育てるコースは大きく3つ分かれている。
15歳限定初心者向きで1年制のD・I・M・Aコースと、16歳以上肉を扱うプロの国家資格取得を目指す2年制のC・A・Pコース。
更に、CAP資格を持つ生徒が、経営者の資格取得も目指す3年制のブルヴェというトップコースだ。
将来、プロの肉職人として働くにはこれらの国家資格が必要不可欠となる。

国家資格を目指しているCAPコースの2年生に話を聞いた。
足立支局長「お名前教えて?」
生徒「カンタン・グランベールだよ。」
足立支局長「君はどうしてこの学校入ったの?」
カンタン「将来肉屋さんになるためさ。ここは1週間学校で授業を受けてから翌週は肉屋さんで研修できるんだ。」
足立支局長「どっちが楽しい?」
カンタン「そりゃ、肉屋さんでしょう~!」

足立支局長「お名前はなんですか?」
生徒「アレクサンドル」
足立支局長「どうしてこの学校入ったの?」
アレクサンドル「肉職人になる勉強がしたいんだ。将来、父さんの肉屋さんを継ぎたいから。」
足立支局長「実家は肉屋さんなんですか?」
アレクサンドル「はい。じいちゃんも、父さんも、叔父さんも、みんな。」
足立支局長「ちょっと見に行っていいですか」

翌日。パリ3区にあるお店へ、アレクサンドル君を訪ねた。
足立支局長「いたいた!仕事してる!」

1984年におじいちゃんが始めたこの店を守るため、アレクサンドル君は専門学校に入学し、頑張っているのだ。

足立支局長「今後の目標って何かありますか?」
アレクサンドル「今度、肉屋見習い生のコンクールがあるから優勝して、お父さんを喜ばせたいよ。」

それはMAF・フランスの最優秀見習生コンクールの事。
年に1度、肉職人を目指す見習いの若者たちが集い、知識と腕を競い合う大会だ。
まずは全フランスの20地区で予選を行い、各地区の優勝者だけが全国大会へ進むことができる。

パリ市地区予選は、市内にはこの学校しかないので出場者は全員同校の生徒たちとなる。
エントリーできるのは、CAPコースの2年生から各先生に推薦された者に限られる。
今年の出場者は8人。アレクサンドル君も選ばれている。

2月3日。パリ地区予選当日。
この予選会で行われるのは、プロの肉職人となるために必要な、肉の解体、身おろし、店頭に並ぶ商品にするまでの一連の行程。
それら全てを制限時間4時間で仕上げなければならない。

審査員「時間です。始めて下さい!」
予選スタート!!
まずは一斉に、子羊の脚の骨抜き作業に取り掛かる。
8番・アレクサンドル君は、手際良く進めていく。
丁寧さはもちろんだが、スピードも大切だ。

この骨に取りかかっておよそ8分後、骨を抜いた。
早速、審査員が目を光らせる。
その出来栄えは同じ作業を終えた別の選手と比べるとアレクサンドル君の方が骨に残った肉が少なくキレイに見える。

出場者たちは次の素材に取りかかった。
今度は巨大な、牛の太ももだ。
作業はまず、太ももの付け根にフタの様に付いている、大きな骨盤を外さなければならない。
だがその大きさ故、簡単には外れないのだ。
アレクサンドル君は顔を真っ赤にしながら悪戦苦闘している。

とその時…
アレクサンドル君の視界に入ったのは、2つ向こうのカンタン君だ。
作業も速いが、骨盤表面の処理もキレイだ。
一足お先にカンタン君が骨盤を外し終えた。
後れを取ること5分…
アレクサンドル君も骨盤をクリア。

だがそれもつかの間、休む間もなく、巨大な太ももをおろしにかからねばならない。
スジに沿って丁寧にナイフを入れていく。
丁寧に解体を進めていき、およそ1時間。
なんとか巨大もも肉の解体作業を終えた。

この時、先を行くカンタン君は精肉の仕上げ作業へ。
余分なスジや脂肪などをつぶさに取り除いている。
アレクサンドル君はあくまで自分のペースで作業を進めていく。
そしておよそ30分かけて精肉の作業を終了した。

続いての作業は「ひも掛け」。
最初に処理をした子羊に、タコ糸を掛け縛っていく。
ここで重要なのは、糸を均等にしばったうえで、キレイに結び目を作ること。
これは慣れているのか、手際よく見える。
およそ5分で あっという間に仕上げた。

続いての作業はフランスの伝統料理「ポピエット」作り。
全員に材料が与えられ、5つ仕上げる。
まず、牛のもも肉を広げ、ミンチを包み、形を整える。
これにカットした牛脂を巻き付け、最後にひもで丁寧に縛り上げていく。

実はこの料理のポイントは、最後の結び目。
アレクサンドル君はこの場所で結んでいるが…

カンタン君の方は…
糸が交わる中央で結んでいる。
こちらが正解。ひっくり返せば結び目が隠れる。
商品は、見た目も大切だ。

そしていよいよコンテストは大詰めの 飾り付け。
各自用意した野菜などで、これまでに仕込みをした子羊、牛肉、ポピエットを装飾する。
商品に彩りを添える技術も、肉職人の大事な技術だ。
そして…タイムアップ!

TCR10:19:18:00

アレクサンドル君の作品がコチラ。

まずは子羊。
先ほどのネギもキレイな花へと生まれ変わった。

続いて牛肉。
肉に添えたキウイなどの曲線美が彼のこだわりだ。

そして牛肉のポピエット。
丸いズッキーニをあしらって、肉の丸みを強調する。
審査員の目が全出場者の作品に注がれる。
果たしてパリ代表となりフランス全国大会へ進むのは誰になるのだろうか。

そして迎えた運命のパリ地区予選結果発表。
出場した8人に成績が渡され、最後まで名前を呼ばれなかった生徒が優勝者として全国大会へ勝ちあがる。

審査員「では結果をお知らせします。ボリュー・マキシム君」
まず1人目の名前が呼ばれた。
続けて2人目、3人目、と名前が呼ばれていく。
6人目の名前が呼ばれ、ついに残すは2人。
アレクサンドル君と、カンタン君だ。
次に呼ばれなかった方が優勝となる。果たして…

審査員「シムノー・アレクサンドル君」
アレクサンドル君は惜しくも準優勝。
カンタン君が見事、パリ地区大会優勝を果たした!