2011.8.26その1 宮城県石巻市立湊小学校避難所

「あ〜〜〜」。石巻市湊小学校の避難所で、200人余りの被災地の方々と大合唱。アナウンサーなら誰しも行う発生練習で会場が1つに。
避難所では大きな声を出す機会がない・・・、時に悲しくても声を上げて泣くことすらできない・・・という話をこれまでの取材で聞いていた。ならば、大きな声で表現するアナウンサーたちが、一緒に声を出す機会を作れないか。テレビで情報を発信すること以外に自分たちにできることはないかと考えたとき、最初に思いついたことだった。
始めるまでは喜んでいただけるのか不安だらけだったが、宮城テレビの安斎摩記アナ、武田玲子アナによる地元ならではの仙台方言遊び、延友陽子アナの朗読、森圭介アナとの紙芝居劇、新人山本紘之アナの発声練習・・・と盛りだくさんの一時間。終了後、「今日は楽しみにしていたんだよ」「遠くから来てくれてありがとう」と声を掛けていただいた。
その後の物資配布のお手伝いなどでお話をすると、”半年という時間が経過する中、被災地の思いが忘れさられてしまうのでは・・・”という不安が大きいことを痛感。だからこそ、訪ねてくれることが嬉しいのだと。
被災地に心を寄せて続ける、訪ね続けることが求められている。細く、長く、被災地の今を伝える、そしてテレビ局員だからこそできる支援活動を続けて行きたいと思いを強くした。また参加したアナウンサーの中には、被災地に初めて足を踏み入れた仲間も。”被災地”の3文字からは感じることができなかったその現実を、肌で感じた。日ごろ東京から発信している私たちにとって、大切なことを教えてもらう機会にもなったのではないと思う。

編成局 アナウンス部 鈴江奈々

きっかけは震災から3か月が経とうとする頃、取材で避難所を訪ねた時だった。「これから被災地のニーズが変わる。衣食住もさることながら、”非難者が持て余した時間をどう過ごすか・・・”単調な日々が、心にゆっくりとダメージを与えるから」。NGO関係者は口を揃えて、新たな支援の必要性を訴えていた。
ある避難所では歌や体操教室を計画し、別の避難所では有名人を招くため調整を急いでいた。こうした催し物は、被災者の心にいい刺激をもたらし、長引く避難生活を乗りきる力になるのだという。
直感的にアナウンサーやキャスターの存在が頭に浮かんだ。「喋る」「読む」「聞く」才能を持ったお茶の間に馴染みの面々が避難所を訪ねれば、被災者は必ず喜んでくれるだろう。しかもその才能を活かした出し物でもできれば、テレビならではの被災地支援になるのではないか。会社に戻って各所に説明すると、多くの方が趣旨に賛同してくださり、サポートの申し出もいただいた。1回目の場所が決まったのは、本番の10日前。出演者は多忙な中、自主練習に励んだ。一方で不安も・・・。「自己満足で終わるかも知れない」と。
不安は杞憂に過ぎなかった。1回目の当日、会場の体育館に到着して驚いた。100人が生活する避難所ながら、ご近所からも含め200人余りの方が集まっていた。開催の4時間前から待つ人もいた。出演者人による珠玉の出し物と現地ボランティアと一緒に行った物資配布での語らいで、避難所が笑いと穏かな雰囲気に包まれた。次回は10月、岩手県・福島県での開催を企画している。

報道局 ニュースセンター 服部一孝

参加者
延友陽子・森圭介・鈴江奈々・山本紘之(日本テレビ)
安斎摩紀・武田玲子(ミヤギテレビ)
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