2017.12.2その16 福岡県朝倉市 林田仮設団地 集会所

後藤雅美(報道局サイバー戦略部)

12月2日、「よみひと知らず」は福岡県朝倉市を訪れました。
甚大な被害をもたらした7月の九州北部豪雨から5ヶ月。「陸津波(おかつなみ)」の言葉が現すように、現場はまだ被害の爪痕が深く残り復興の道半ばという状況でした。

今回訪ねたのは避難生活を送る方々が暮らす「林田団地」です。日本テレビと福岡放送のアナウンサーによる「日本語ワークショップ」とティップネスのインストラクターによる「健康体操」を行いました。
アナウンサーたちが企画・準備した「日本語ワークショップ」では、皆さんとザ・ドリフターズでおなじみの曲に合わせ「早口言葉」の練習や、滑舌が試される「伝言ゲーム」、そして「方言クイズ」など触れ合いながら楽しめる企画を実施。参加してくださった方のみならずアナウンサーたちからも思わぬ珍回答が飛び出し、皆さんから特大の笑顔を頂きました。
そして、ティップネスのインストラクターからは簡単にできる健康体操を伝授。ステップをしながら両手を握ったり開いたり。みんなで声を出し笑いながら、心も体もポカポカに。「今は楽しみの畑仕事ができず体も動かす機会がなかったけれど、これだったら出来るね」と好評でした。
今回は少人数での開催となりましたが、参加してくださった方々からは「こういった『触れ合って体験する』イベントは初めてだったので、とても楽しかった」などという言葉をいただきました。参加者の皆さんと一体となり「笑顔」を届ける。これこそ「よみひと知らず」だからこそ出来る支援なのだな、と改めて感じました。
被災地によって求められることはさまざまだと思いますが、その「笑顔を届ける」という原点のもとにこれからも活動を続けていきたいと思っています。

岩本乃蒼(編成局アナウンス部)

九州北部豪雨から5か月。いまもなお避難生活を強いられている方々がいます。

“5か月経った被災地の現状は。”
“仮設住宅での生活に何が必要なのか。”
“私たちにできることはなにか。”

頭ではたくさん考えたつもりでしたが、実際に被災地の“いま”を前にして、分かったことが多くあります。

福岡放送の西山聡記者に案内してもらった杷木寒水地区。本来あった川が土砂で埋まり、別の水の通り道ができていました。山が崩れ、土砂を巻き込んだ水が押し寄せた跡が残され、多くのトラックの列が元の姿に戻そうと復興作業をされています。
山田交差点には大きく根こそぎ動いた家屋の跡があり、その水の流れがあったとされる場所から数十メートル離れた場所に目をやると、以前と変わらぬ姿の住宅があります。山から筑後川に向けて下ってきた水の勢いが、集中的に襲ったこと、その恐ろしさを目の当たりにしました。

杷木地区の林田団地集会所をお借りし、アナウンサーやティップネスインストラクターである千秋さんと小さなイベントを開催。
「ふくおか」のあいうえお作文自己紹介にはじまり、発声練習や早口言葉。最初は大きな声を出すことをためらう方もいらっしゃいましたが、ご当地クイズや伝言ゲーム、ジェスチャー物まねクイズなどをしていくうちに、どんどんと会場の皆さんの笑い声が大きくなるのを感じ、喜んでいただきたくて訪れたはずの私たちが笑顔になっていました。

イベント後、皆さんとお話ししている中で「修学旅行でUSJに行くのが楽しみ」と屈託ない笑顔で答えてくれた中学生に出会いました。仮設住宅で暮らす彼女は被災の経験から「誰かのためになりたい」と消防士の夢を教えてくれ、その笑顔のなかの強さを感じました。

テレビという四角い画面や番組という枠組みの中では伝えきることができないことがあるからこそ、ひとりひとり出会った方からの言葉を私たちは大切にしていかなければならないと感じます。
日々あらゆる場所で、事件や事故、災害は起き、どうしてもその規模や場所の違いから、毎日すべてにスポットを当てることができません。その後ろめたさを、人と人とがつながり続けることで、前向きなパワーに繋げることができると今回の出会いで学びました。今後も長い時間をかけて多くの方とつながるべく活動していきたいと思います。

伊藤遼(編成局アナウンス部)

前を向いて今を生きる被災地の皆さんの強くたくましい表情は、目に焼き付いています。
あるご夫婦は「最初は辛かったけど振り返ってばかりいられない。負けてられないよ」と話してくれました。
またある中学生の女の子は「災害当時は学校にも行けなかった。今は友達と話しているときが一番楽しい」と笑顔で語ってくれました。
一歩ずつ前へ進む皆さんが一瞬でも笑顔になれるように、アナウンサーとして私に何ができるか。
帰り際いただいた「来てくれてありがとう。すごく楽しかった」という言葉に、そのヒントがあるような気がします。
入社した年に今回の活動に参加できたことの意味を考えながら、これからも足を運び続けたいと思っています。

参加者
鈴江奈々・中島芽生・岩本乃蒼・伊藤遼(日本テレビ)
榎本麗美(日テレNEWS24)
千秋(ティップネス)
若林麻衣子・松井くらら(福岡放送)  ほか
  • Plants: image 1 0f 11 thumb
  • Plants: image 2 0f 11 thumb
  • Plants: image 3 0f 11 thumb
  • Plants: image 4 0f 11 thumb
  • Plants: image 5 0f 11 thumb
  • Plants: image 6 0f 11 thumb
  • Plants: image 7 0f 11 thumb
  • Plants: image 8 0f 11 thumb
  • Plants: image 9 0f 11 thumb
  • Plants: image 10 0f 11 thumb
  • Plants: image 11 0f 11 thumb