4月8日(水)深夜2:59〜3:59

指 揮 上岡敏之
ピアノ フランク・ブラレイ
管弦楽 読売日本交響楽団
司 会 古市幸子(日本テレビアナウンサー)

モーツァルト作曲:
ピアノ協奏曲第23番 イ長調 K.488
R.シュトラウス作曲:
歌劇〈ばらの騎士〉組曲

※2009年1月23日 サントリーホールにて収録

モーツァルト作曲
《ピアノ協奏曲第23番》
フランス出身の超人気ピアニスト、フランク・ブラレイさんの登場! 1991年、エリーザベト王妃国際音楽コンクールで優勝し、一躍注目を浴びた。そして2003年「アルゲリッチ音楽祭」にて急遽アルゲリッチの代演を務めることとなり、その素晴らしい大熱演は、日本クラシック界でも大きな話題となった。2005年からは毎年、春に東京で行われる「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」にも出演するなど、日本の聴衆にも高い人気を誇っている。

Q ブラレイさんにとって、モーツァルトの音楽とは・・・?
ーツァルトの音楽は非常にナチュラルで、まるで“川の流れ”のようです。彼の曲は、「自分のもの」として弾かなければいけません。「自分のもの」というのは、単純に音楽としてではなく、あたかも自分の舌のように、また、別の言い方をすれば、自分の母国語のようにということです。そして、この音楽を愛し、この音楽から愛されなければ弾けません。そうすることで、私たちはモーツァルトの壮大な次元に到達することができるのです。

Q 日本の聴衆の印象は?
私が初めて大きな海外ツアーをしたのは、まず日本でした。当時私は22、3歳で、それ以来よく日本には来ていますが、私がパリ(出身地)以外で唯一ホームシックになる国です。しばらく来ないと、やはり非常に“戻りたい”という気持ちになりますね。それから、日本のオーケストラ、コンサート会場などは非常にクオリティが高く、それと同時に、様々な素晴らしい思い出を刻んだ国でもあります。なので、一言で言うと、「全て好き」なのですが、食べ物でお豆腐だけが苦手です。
Q 日本で行かれた場所は?
私は東京が本当に大好きで、単純に自分が夜型の人間ということもあり、特に東京の“夜の街”が好きです。お酒を日本で飲む場合は、よく日本の方々と一緒に飲みますね。なぜなら、日本の方々は最初にビールを飲んで、そのうち心が砕け、知らない人同士でも一緒に飲んだり、そこに仲間意識が生まれ、それが非常に「博愛」というか。2,3人しか座れないような小さなバーでお酒を飲みながらフランス映画の話をして、でも日本の彼らの方が私よりもよくご存知だったり。そんな友達がすぐ作れてしまう日本が、私は大好きです。

R.シュトラウス作曲
歌劇《ばらの騎士》組曲


2曲目は、上岡敏之が振る、R.シュトラウスの歌劇「ばらの騎士」組曲。 本場ドイツの歌劇場で活躍中の日本人指揮者、上岡敏之。人生の半分をドイツで過ごしている彼の“ものスゴイところ”とは、独自の豊かな表現力で、聴衆も演奏者さえも、その音楽の物語の中に引き込んでしまうこと。当夜も、まるで18世紀ウィーンの舞踏会を彷彿とさせる、優美で華麗なサウンドが、ホールを丸ごと包み込んでいた。

〜  超多忙な俊英指揮者 上岡敏之 × 日テレアナウンサー 古市幸子  〜
古市:ドイツでは、大変お忙しい生活をされていらっしゃると思います。でも日本に帰ってきた時は、読響との共演が一番多いと
   聞きましたが・・・?

上岡:そうですね。もう10年ぐらいお付き合いしていただいてます。
古市:上岡さんにとって、読響との共演とはどんなものなのでしょうか?
上岡:最初は、練習がとにかく静かで、恐くてしょうがなかったんです。僕も
   向こうが長いもので、日本語があんまり喋れなかったんですよね。特に
   敬語をどう使っていいのか分からなくて。夢もドイツ語で見ますから(笑)
   でも、そんな感じで始まって、そのうちだんだん、音楽的にも人間的にも
   近くなっていって、楽譜に見えないものもお互い表現し合うように
   なって・・・。それから面白くなっていきました。管楽器の方々と、
   室内楽をしたこともありますし。ピアノコンチェルトを弾いたことも
   あります。去年はオペラのピットにも立たせていただきましたし。この
   10年間で、あらゆるジャンルの音楽を共演させていただきました。



室内楽 ピアノで共演
2004年7月14日放送

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番
2004年12月9日BSブラボー!クラシックにて放送

古市:これから、ますます楽しみですね! 今日は、「ばらの騎士」組曲についてお話をお伺い致しますが、この曲の特徴は
   どんなところですか?

上岡:オペラ〈ばらの騎士〉とは、ちょっと順番が異なるところがあり、終わり方も違います。頭を切り替えていないと、間違った
   方向にいってしまうので注意はしていますね。

古市:なるほど・・・!しかも、歌が入っていないんですよね?オーケストラだけの演奏になるわけですね?

上岡:はい。声楽を抜きにしてR.シュトラウスがこれだけのオーケストレーションを
   書いた、ということは本当に素晴らしいことですよね。でも何が難しいかというと、
   歌の呼吸、表情、本当だったら見てれば分かるものを、全てオーケストラの
   “音”で聴かせなきゃならない。普段はピットに立って、今日もいい声だね!なんて
   楽しみながら指揮を振ってるんですが、今回は「この役がこの楽器でこう出てきて、
   あの役がこの楽器で・・・」と、それを全部オーケストラだけで表現するわけです。
   それがとっても難しいです。。

古市:上岡さんの頭の中では、常にオペラの舞台が繰り広げられているんですね!
   最後に、この曲の魅力を教えてください。

上岡:和音、フレーズ、どこをとっても素敵な曲です。「絢爛豪華」と言ってしまえば
   それまでなんですが、実は繊細な面もすっごくたくさんあって、それが本当は
   ホーフマンスタール(※)のテキストとメロディがものすごく結びついているんです。その言葉のニュアンスを音譜に変えて、
   それを和音に直して、上手くフレーズに繋げて・・・と。これだけ書けた人はなかなかいないでしょうね・・・!


※フーゴ・フォン・ホーフマンスタール・・・オーストリアの作家
 R.シュトラウスと組んで、「エレクトラ」「影のない女」「ナクソス島のアリアドネ」など多くの名作を残す

フランク・ブラレイ(ピアノ) Frank BRALEY
1968年生まれ。フランスを代表する若手実力派ピアニストであり、音楽的な成熟、要求、明晰さを兼ね備えたアーティストでもある。4歳でピアノを始め、10歳でフランス放送フィルとの共演でデビュー。パリ国立高等音楽院で、ジャック・ルヴィエらに師事し、ピアノと室内楽でプルミエ・プリを満場一致で獲得した。1991年エリーザベト王妃国際音楽コンクール優勝、さらにインターナショナル・ミュージック・アワードを審査員全員一致で受賞した。 その後パリでのデビュー・リサイタルを皮切りにヨーロッパ各地で演奏活動を始め、パリ管弦楽団、東京フィル、ボストン響などに招かれ、シャルル・デュトワ、クルト・マズア、ミシェル・プラッソン、佐渡裕ら著名な指揮者と共演。リサイタルの他、室内楽の分野での活躍もめざましく、カプソン兄弟、M.J.ピリス、E.パユらと共演をしている。 2003年アルゲリッチ音楽祭にはアルゲリッチの代役で急遽登場し、聴衆の喝采を浴びた。
上岡敏之(指揮者) Toshiyuki KAMIOKA
東京芸術大学で指揮、作曲、ピアノ、ヴァイオリンを学ぶ。2年後、ロータリー国際奨学生としてハンブルク音楽大学に留学し、クラウスペーター・ザイベルに指揮を師事。キール市立劇場のソロ・コレペティトール及びカペルマイスターとして、歌劇場でのキャリアを開始。エッセンの市立アールト劇場の第一カペルマイスター、ヘッセン州立歌劇場音楽総監督を経て、現在、ヴッパータール市の音楽総監督の任にある。 更にドイツでは多くの第一級オーケストラと共演し、日本でもNHK交響楽団、読売日本交響楽団などで名声を得ている。 また、後進の育成にも力を注いでおり、87年からハンブルク音楽大学で室内楽と伴奏の講師を務め、04/05年の冬学期からはザールブリュッケン音楽大学の指揮科正教授でもある。 2007年6月、第15回渡邊暁雄音楽基金 音楽賞・特別賞を受賞。