9月9日(水)深夜2:29〜3:29

指 揮 下野 竜也
ピアノ 中村 紘子
管弦楽 読売日本交響楽団
司 会 古市幸子(日本テレビアナウンサー)
《特別企画・スペシャル対談》
     脳科学者 茂木健一郎

矢代秋雄作曲:
ピアノ協奏曲
ショパン作曲:
夜想曲第20番〈遺作〉

※2009年6月3日 すみだトリフォニーホールにて収録


中村紘子

9月の「深夜の音楽会」は、この秋デビュー50周年という記念すべき年を迎えた、ピアニスト中村紘子さんをお迎えしました。
中村紘子さんは、天才少女として注目を集め1959年15歳でデビュー。1965年、ピアニストの登竜門と言われる、ショパンコンクールで日本人初の入賞と最年少賞を受賞しました。以来、日本のピアニストの代名詞とも言われ、今日まで第一線で活躍。また、チャイコフスキーコンクール、ショパンコンクールといった世界最高峰のコンクールで審査員を努めてきました。

今回中村さんが演奏された曲は、日本を代表する作曲家 矢代秋雄の「ピアノ協奏曲」。
1967年に初演された時のピアニストは中村紘子さんでした。
作曲家 矢代秋雄の集大成とも言われるこの曲は、中村さんにとって思い出深い作品です。


矢代秋雄(1929-1976)
日本の音楽史に名を残す作曲家。
1968年「ピアノ協奏曲」で、尾高賞を受賞。
ピアノ協奏曲初演から9年後の1976年、46歳の若さで急逝。
今年は生誕80年にあたる。
※尾高賞・・・N響の前身・日本交響楽団専任指揮者で作曲家でもあった 尾高尚忠氏(1911-1951)の功績をたたえ、すぐれた邦人作曲家による オーケストラ作品を顕彰するために設けられた作曲賞

そして デビュー50周年特別企画として
様々なメディアで活躍中の、脳科学者・茂木健一郎さんをお迎えし、
夢のスペシャル対談が実現しました!
茂木さんは、“クラシック音楽が脳に与える影響”に注目した著書も多く出版されており、
自らコンサートに足を運ぶ、クラシックファンでもあります。

中村紘子デビュー50周年特別企画!スペシャル対談 日本を代表するピアニスト中村紘子×気鋭の脳科学者茂木健一郎



2時間にも及んだトークの話題は、多岐に渡りました。
〈ピアニスト50年の軌跡〉 〈音楽の感動〉
〈名ピアニストの条件〉 〈優れた音楽家の人間像〉
〈現代音楽の新しい魅力〉 〈演奏家とハングリー精神〉・・・
と、興味深いものばかり。スペシャリストとして活躍するお2人ならではの貴重な対談となりました。
《中村紘子×茂木健一郎 対談より・・・》
茂木:素晴らしい芸術を生み出す人は、人間的に必ずしも気持ちの良い人とは
    限らない。何で芸術ってそうなってるんだと思いますか?
中村:それが悪魔の血の一滴なんでしょうね。私は、ただ単に美しくて官能的な
    芸術なんて、あまり興味ないんです。演奏家の場合、修行と献身、そして
    そこに、どこかで人の心を狂わせるような悪魔の血が一滴・・・。日常生活では
    味わえない、異様なものを音に託されて、我々は心が狂うんだと思います。
この対談の模様は、雑誌「婦人公論」2009年9月7日号(8月22日発売)にも掲載しています。

中村紘子 Hiroko Nakamura (ピアノ)
早くから天才少女として名高く、第28回音楽コンクールで第一位特賞を史上最年少で受賞、直ちにN響初の世界一周公演のソリストに抜擢され華やかにデビュー。以後中村紘子の名は日本のピアニストの代名詞となり、その演奏は国内外3500回を越える演奏会を通じて聴衆を魅了し続け、その出版された40点以上の録音もすべて桁外れの売れ行きを示している。またチャイコフスキー、ショパンをはじめ数多くの国際コンクールの審査員を歴任し、その体験に基づく最初の著書『チャイコフスキー・コンクール』)は第20回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。近年は浜松国際ピアノコンクールの審査員長を務めるなど、若手ピアニストの育成や紹介に尽力し、また「難民を助ける会」などを通じてのヴォランティア活動にも積極的な役割を果たしている。2009年秋にはデビュー50周年を迎える。
公式ホームページhttp://www.nakamura-hiroko.com
下野竜也 Tatsuya Shimono (読売日本交響楽団正指揮者)
06年読売日本交響楽団正指揮者に就任。
鹿児島大学教育学部音楽科、桐朋学園大学音楽学部附属指揮教室、キジアーナ音楽院、ウィーン国立音楽大学で指揮を学ぶ。97年から99年まで大阪フィル指揮研究員として、故朝比奈隆氏の薫陶を受ける。以後国内外で数多くのオーケストラと共演。読売日響とは《下野竜也・ドヴォルザーク交響曲シリーズ》や《下野プロデュース・ヒンデミット・プログラム》など意欲的な活動を展開、後者の公演は文化庁芸術祭優秀賞を受賞している。
東京国際音楽コンクール<指揮>優勝、ブザンソン国際指揮者コンクール優勝、出光音楽賞、渡邉曉雄音楽基金音楽賞、新日鉄音楽賞・フレッシュアーティスト賞、齋藤秀雄メモリアル基金賞受賞。上野学園大学音楽文化学部教授。