放送内容

日時

2015年9月10日(木)午前2:29~3:59(水曜深夜)
BS日テレでは9月19日(土)朝6:30~8:00に放送

出演

指揮 ユーリ・テミルカーノフ
ピアノ 河村尚子
管弦楽 読売日本交響楽団
ゲスト 奥田佳道(音楽評論家)
司会 松井咲子

曲目

♪リムスキー=コルサコフ作曲
交響組曲「シェエラザード」作品35

♪ラヴェル作曲
左手のためのピアノ協奏曲 ニ長調

♪チャイコフスキー作曲
バレエ音楽「くるみ割り人形」から“パ・ド・ドゥ”

※2015年5月29日東京芸術劇場

読響名誉指揮者:ユーリ・テミルカーノフ登場!!

今回は、今年6月に読響・名誉指揮者に就任した、ユーリ・テミルカーノフさん指揮の演奏をお聴きいただきました。

ユーリ・テミルカーノフ

ユーリ・テミルカーノフ
1938年旧ソ連コーカサス地方のナルチク生まれ。9歳から音楽を学び始め、1966年に全ソ連指揮者コンクールで優勝。読響には2000年に初登場し、今回で6回目の共演。今年6月には名誉指揮者に就任した。また、2015年、春の叙勲で日本とロシアの間を音楽を通じた交流と相互理解の促進に寄与したとして旭日中綬章を受賞した。

リムスキー=コルサコフ作曲
「交響組曲シェエラザード」

千夜一夜物語の世界をスケール豊かに描いた作品。「すべての女は不実である」と思い込んだシャリアール王は自分がめとる女性を皆、処刑していった。しかし、王妃シェエラザードだけは千一夜にわたって数多くの物語を語り継ぐことで命を長らえ、処刑を免れた。この曲ではそんなシャリアール王とシェエラザード王妃を彷彿とさせる主題が作品の枠組みを成している。

松井咲子×奥田佳道(音楽評論家)スペシャル対談!

今回は番組MCの松井咲子さんと音楽評論家の奥田佳道さんのスペシャル対談の模様を放送。奥田さんに読響・名誉指揮者、テミルカーノフさんの魅力など今回の演奏会についてたくさん語っていただきました!

松井 テミルカーノフさんの魅力はどういうところですか?
奥田 彼の指揮ぶり、指揮の表情に彼の音楽の雰囲気が出ていると思います。彼は指揮棒を使わないのです。
松井 確かに持っていなかったですね。
奥田 独特の柔らかな手の動きで指揮をしていて。彼の指揮を見ていると、不思議な感じがしてきませんか?
松井 そうですね。“指揮ではない”みたいな。
奥田 そうなんです。いわゆる「《1,2,3…》という号令をかけて全員で合わせましょう。」という指揮ではなく、美しい響きを紡いでいく「素敵な音楽を分かち合いましょう」という独特な柔らかい手の動きがたまらないです。
松井 そんなテミルカーノフさんの創る音楽に読響のみなさんはどういった反応をしていると思いますか?
奥田 読響のメンバーはとにかくテミルカーノフさんが来ると、みなさん嬉しそうですよね。「待ってました」というような感じがします。
松井 それによって演奏というのは変化があるのですか?
奥田 変わります。この指揮者のためにいい音楽をしたいという気持ちが無かったり、指揮者が逆に読響のことを愛していないと冷たい演奏になってしまうこともあります。ですが、それがテミルカーノフと読響の関係には全く無く、常に滋味あふれる、夢のような温かい音楽が紡がれていく。僕は、演奏をしたり、何か管楽器がかっこいい、弦がきれいだったというよりも、オーケストラ全体が大きなうねりの中で、彼の手の中で抱かれているような…それがたまらないです。

一方、マエストロ・ユーリテミルカーノフが感じる「読響」とは?

オーケストラはどんどん良くなっています。こんなに成長するとは私も予想だにしていませんでした。人間と同じように賢いオーケストラもあればそうではないオーケストラもありますが読響は賢いオーケストラです。

音楽創りで大切にしていることは?

テクニックにばかりこだわりすぎると音楽が二の次になってしまいます。しかし、音楽を第一に考えればテクニックは後からついて来る。たとえ今日ここが出来なくてもそれにこだわることはありません。「音楽がどのように流れているか」「何についての音楽か」を理解できていれば、テクニックは次第に形になっていきます。大切なのは「音楽をする」ということです。

今回、シェエラザードのソロ・ヴァイオリンを務めるのは読響コンサートマスターの日下紗矢子さん。読響に入団して2年が経過した彼女の印象を奥田さんにうかがいました。

奥田 彼女はソリスト、室内楽、コンサートマスター、どれもがとても水準が高いです。私たちは彼女のコンサートマスターの仕事というのを知らなかったですが、この読響に来てくださって、弦楽器の人たちに与える影響やリーダーとしての資質…改めて僕は素晴らしいなと思いました。
松井 見た目もすごくお綺麗ですよね。
奥田 彼女がコンサートマスターの時に一人で登場されるときの立ち振る舞いだけで、「あ、今日はいいコンサートだ」と感じます。
松井 そんな日下さんがソロを担当するシェエラザードですが、いかがですか?
奥田 シェエラザードのあのヴァイオリンのソロは、チャイコフスキーやメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を立って弾くコンチェルトよりもヴァイオリニストの全てが問われるようなものですよね。
松井 なるほど。でもそれだけ難しいものなんですね。
奥田 でも、“美しい王妃が弾く演奏”ですから、その難しさを「頑張ってます!」という汗をかいてもいけない。すごく難しいことをクールビューティーに、あの雰囲気でテクニック的にも難しいことをやっている日下さんの今回のソロは素晴らしかったと思います。

日下紗矢子

日下紗矢子
兵庫県出身。東京藝術大学、米・南メソディスト大学大学院、フライブルク音楽大学を経て2008年、ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団の第1コンサートマスターに就任。2013年4月からは読響のコンサートマスターも兼任している。日本音楽コンクール第1位、パガニーニ国際コンクール第2位受賞。

続いてはピアニスト・河村尚子さんをお迎えしてラヴェル作曲左手のためのピアノ協奏曲をお送りいたしました。

松井 奥田さん、河村さんと言えば、読響との共演もすごく多く、日本を代表する素晴らしいピアニストですよね。どういうところが魅力的ですか?
奥田 これはお叱りを受けるかもしれないけど、学校で教えられたとおりのピアノを弾かないことです。河村さんのピアノは、作曲家が書いた音符から音楽のイメージを広げていき、私たちにそれを届けてくれるピアノ。ですから家で勉強しているときに作曲家とお話をしているみたいに勉強しているのではないですかね?
松井 今回はラヴェルの左手のためのピアノ協奏曲ということでまさに難曲ですけれども…
奥田 この曲は第1次大戦で右腕を失ったオーストリアのピアニストのために書かれた作品です。ですから、この曲の背景から戦争があったんだなということを少し思い出すことも出来ると思うのですが、河村さんが素晴らしいので左手だけで弾いてるようには聴こえないです。左手だけとは感じさせない河村さんのピアニズム。2回出てくるカデンツァ、それからそのカデンツァの前後にはグリッサンド。そうしたパフォーマンスをどんな風にやって下さるか、本当にわくわくしますね。
松井 私もピアノやっていますが、左手だけというのが考えられないです。
奥田 ですよね。
松井 河村さんならではの演奏をとても楽しみにしています。

ラヴェル作曲「左手のためのピアノ協奏曲」
第1次世界大戦で右腕を失ったピアニスト、パウル・ヴィトゲンシュタインが舞台復帰をするべく、ラヴェルに委嘱した作品。単一楽章構成でラプソディックな作品になっている。

そして、最後はアンコールとしてテミルカーノフさんの故郷、ロシアの音楽からチャイコフスキー作曲「〈くるみ割り人形〉から“パ・ド・ドゥ”」をお送りいたしました!

演奏者の略歴

ユーリ・テミルカーノフ(指揮)

ユーリ・テミルカーノフ(指揮)
Yuri Temirkanov (conductor)

1938年旧ソ連コーカサス地方のナルチク生まれ。9歳から音楽を学び始め、13歳でレニングラード(現サンクトペテルブルク)音楽院に入学。卒業後の1966年に全ソ連指揮者コンクールで優勝したことをきっかけにレニングラード・フィルでムラヴィンスキーのアシスタントとなり、指揮者として歩み始めた。その後、レニングラード響の首席指揮者(1968年~1976年)、キーロフ劇場(現マリインスキー劇場)の音楽監督(1976年~1988年)などを歴任。1988年からはサンクトペテルブルク・フィル(旧レニングラード・フィル)の音楽監督の地位にあり、ロシア音楽界の頂点に君臨し続けている。 ロシア以外では、ロンドンのロイヤル・フィル(首席指揮者、1992年~1998年)、ドレスデン・フィル(首席客演指揮者、1998年~2008年)、ボルティモア響(音楽監督、2000年~2006年)などで要職を務めたほか、客演指揮者としてウィーン・フィル、ベルリン・フィル、シュターツカペレ・ドレスデン、ロンドン響、ロンドン・フィル、ロイヤル・コンセルトヘボウ管、ニューヨーク・フィル、フィラデルフィア管、ボストン響、シカゴ響、クリーヴランド管、ロサンゼルス・フィル、ローマ・サンタチェチーリア管などと共演を重ねている。 読響には2000年に初登場。楽団員と聴衆双方から圧倒的な支持を集め、その後2004年、2007年、2010年、2013年と共演を続け、ロシア音楽を中心としたレパートリーで名演奏を成し遂げてきた。今回が6回目の共演となり、今年6月には名誉指揮者に就任した。

河村尚子(ピアノ)

河村尚子(ピアノ)
Hisako Kawamura(Piano)

ハノーファー国立音楽芸術大学在学中にミュンヘン国際コンクールで第2位、クララ・ハスキル国際コンクールに優勝。以後ドイツを拠点に活動し、ウィーン響、チューリヒ・トーンハレ管、サンクトペテルブルク・フィルなどと共演した。ベルリン放送響、チェコ・フィルなどの来日公演に出演。新日鉄音楽賞、出光音楽賞、日本ショパン協会賞、井植文化賞、文化庁芸術選奨文部科学大臣新人賞、ホテルオークラ音楽賞を受賞。読響とは2009年に初共演、2013年にはテミルカーノフの指揮でラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番を披露し、絶賛をあびた。

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