演奏レビュー

日時

2016年9月22日(木)午前2:29~3:29(水曜深夜)
BS日テレでは2016年10月1日(土)朝7:00~8:00に放送

出演

指揮 本名徹次、シルヴァン・カンブルラン
ユーフォニアム 外囿祥一郎
管弦楽 読売日本交響楽団
司会 松井咲子

曲目

♪マルセル・ケンツビッチ作曲
ユーフォニアム協奏曲「皇帝」

♪スパーク作曲(大橋晃一編曲)
パントマイム

♪和田 信作曲
シャローム(金管六重奏)
※2016年7月5日東京芸術劇場にて収録

♪ベートーヴェン作曲
交響曲第6番 ヘ長調 作品68 「田園」から 第5楽章
※2016年2月5日東京芸術劇場にて収録

世界的なユーフォニアム奏者・外囿祥一郎登場!!

今回はユーフォニアム・外囿祥一郎さんの演奏でマルセル・ケンツビッチ作曲 ユーフォニアム協奏曲「皇帝」をお送りいたしました。

外囿祥一郎&松井咲子スペシャル対談!!

対談で初めてユーフォニアムを見た松井さん。外囿さんにお願いして、楽器を持ってみることに…

松井 重いですね!
外囿 重いです。3キロ~4キロぐらいあります。
松井 赤ちゃんを抱っこしている感じですね。

ユーフォニアムの楽器名には「良い響き」という意味があります。
どんな音色がするのか外囿さんに演奏していただきました。

外囿さん、ユーフォニアムで「グリーンスリーブス」の演奏を披露

松井 すごく温かみのある音ですね。
外囿 そうなんですよ。男性の声に近い音域なので。
松井 温もりありますね。聴いていてすごく心地よかったです。

ユーフォニアムとの出会い

松井 ユーフォニアムとの出会いはどんなことでしたか?
外囿 僕は中学生の時にトランペットを吹いていたのですが、高校に入ったらトランペットはやはり人気が高くて。それで先生にある楽器とユーフォニアムを選べと言われて自分で選んだ楽器がユーフォニアムでした。なので高校の時から始めたんです。
松井 私も小学生のころ吹奏楽部に入っていてサックスを吹いていたのですが、ユーフォニアムがなかったんですよ。金管バンドみたいな、吹奏楽…?なんて言うんですかね?(笑)
外囿 だけど、金管バンドだったらもっとユーフォニアムがありそうですけどね。(笑)それは何と呼ぶんですかね。(笑)
松井 でも金管楽器に憧れていて、かっこいいなと思います。

アニメ「響け!ユーフォニアム」で注目されたユーフォニアム

2015年に吹奏楽へ青春を捧げる高校生の姿を描いたアニメ「響け!ユーフォニアム」が話題となり
ユーフォニアムの存在が広く知られ、注目されるきっかけとなりました。

松井 こうしてユーフォニアムが注目されるというのはいかがですか?
外囿 本当に驚きました。ユーフォニアムがタイトルになるようなアニメができるというのは、僕としては本当にうれしい限りです。
松井 アニメが放送されてから「今ユーフォニアムがキテルな!」ということを実感することはありましたか?
外囿 僕はよく飛行機に乗りますが、その時に(楽器のケースを見て)「これユーフォニアムですよね。」と言われる機会が多くなった気がします。
松井 嬉しいですね。

ユーフォニアムパート・メンバーの特徴は?

松井 ユーフォニアムパートのメンバーに共通点はありますか?
外囿 そうですね…ぽわ~んとした人が多いと思います。
松井 えっ!?ぽわ~んとした方が多いのですか?
外囿 穏やかな方が多いと思います。
松井 確かに外囿さんも癒しオーラが出ていますよね。
外囿 いえいえ、そんなことないです。僕は厳しいですよ。(笑)

学生たちが夢中になる吹奏楽の魅力とは?

松井 吹奏楽に所属しているたくさんの学生たちが吹奏楽に夢中になっていると思いますが、それはどうしてだと思いますか?
外囿 人と何かを作っていくということにみんな興味を持つのではないでしょうか?良いことも悪いことも共有しながら一つのものを作り上げていくということに一番の魅力を感じます。
松井 私はずっとピアノをやっているのでやはり一人で演奏することの方が圧倒的に多いです。なので、みんなで一つの音楽を作るというのはすごく素敵だなと感じますね。

プログラム1
マルセル・ケンツビッチ作曲
ユーフォニアム協奏曲「皇帝」
指揮:本名徹次 
ユーフォニアム:外囿祥一郎

松井 今回はオーケストラとの共演でマルセル・ケンツビッチ作曲 ユーフォニアム協奏曲「皇帝」をお送りいたします。こちらの作品はマルセル・ケンツビッチさんが外囿さんのために書かれた作品ということですが、実際にお会いしたことはありますか?
外囿 はい。実はマルセル・ケンツビッチさんは、日本人なんです。
松井 え?…名前は?
外囿 それがペンネームなのです。長いことNHK交響楽団でトランペットを吹かれていた津堅直弘さんという方で…。
松井 え!?以前トランペット特集で出演されていらっしゃった?
外囿 そうです。この「皇帝」という曲を僕に書いてくださいました。曲の中に3人の『皇帝』が出てくるのですが、最初のベートーヴェンに始まり、ヨハン・シュトラウスの皇帝円舞曲が出てきて、最後にハイドンの皇帝も出てくるという…
松井 本当に皇帝の盛り合わせみたいな感じですね。

ユーフォニアム協奏曲「皇帝」に出てくる3人の皇帝
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
J.シュトラウス2世/皇帝円舞曲
ハイドン/弦楽四重奏曲第77番「皇帝」

「吹奏楽団」と「オーケストラ」…ソリストとして共演するときの違い

外囿 弦楽器があることによって音の色彩感が変わってくるなと思います。僕はオーケストラの中で何度か演奏したことがありますが、オーケストラの中で吹いているとき、自分はオーケストラの一つのパーツですが、ソリストとして演奏するときは自分が音楽を率先して奏でなければならないという気持ちです。

プログラム2
スパーク作曲(大橋晃一編曲) パントマイム
指揮:本名徹次  ユーフォニアム:外囿祥一郎

スパーク作曲(大橋晃一編曲) パントマイム
スパークは吹奏楽曲やブラスバンドの作品を多く手掛ける作曲家。この作品は情緒あふれるメロディーとユーフォニアムの演奏テクニックを楽しむことができる。

プログラム3
和田 信作曲 シャローム(金管六重奏)

和田 信作曲 シャローム(金管六重奏)
タイトルの「シャローム」という言葉はヘブライ語で“平和”という意味を持つ。ユーフォニアムやフリューゲルホルンが奏でる
穏やかなメロディが美しく響く作品。

金管アンサンブルの魅力

松井 オーケストラや吹奏楽とはまた違う金管アンサンブルの魅力というのはどういったところですか?
外囿 細部にわたって音楽の表現をできるところです。細かいニュアンスまで揃えられるというのが室内楽の魅力だと思います。一人一人がソリストみたいな役割なのでその一人一人の音色を聴けるというのが一番面白いところじゃないでしょうか?

プログラム4
ベートーヴェン作曲 交響曲第6番 ヘ長調 作品68 「田園」 第5楽章
指揮:シルヴァン・カンブルラン(読響常任指揮者)

ベートーヴェン作曲 交響曲第6番 ヘ長調 作品68 「田園」
1801年にウィーン郊外のハイリゲンシュタットにて作曲された。交響曲第5番「運命」と同時期に作曲されながら全く異なる性格を持つ交響曲と言われている。

読響常任指揮者 シルヴァン・カンブルランさんに​交響曲第6番「田園」の魅力について伺いました。

ベートーヴェンの交響曲は各曲にテーマがあり、〈田園〉のテーマは「喜び」です。
すべてが軽やかで喜びに満ちています。
途中で雷雨や嵐が襲ってきますが、最後には調和を保ちながら穏やかに終わります。
ベートーヴェンはこの曲に“自然”ではなく“心情”を描写したと言っています。
男女関係なくすべての人が大自然の中心に自らを置くことができる曲だと思います。

演奏者の略歴

本名徹次(指揮)

本名徹次(指揮)
Tetsuji Honna (conductor)

東京国際音楽コンクール最高位、トスカニーニ国際指揮者コンクール第2位、ブダペスト国際指揮者コンクール第1位を受賞。
国内の主要オーケストラのほか、これまでミラノ・スカラ座管、ヴェルディ響、プラハ放送響、ハンガリー国立響、フィルハーモニア管、ザルツブルク・モーツァルテウム管、上海フィル、マレーシア・フィルなどに客演。現在、ベトナム国立交響楽団音楽監督兼首席指揮者。2010年ハノイ遷都1000年祭を記念したマーラー「一千人の交響曲」、2011年初のアメリカ公演(カーネギーホールとボストン・シンフォニーホール)を指揮。13年には初のイタリア公演(フェニーチェ劇場、フィレンツェ市立劇場、クイリナーレ宮殿内パオリーナ礼拝堂)を成功に導いた。同年秋には日越友好関係樹立40周年を記念して、全国7カ所で同響初の本格的な日本ツアーを行った。
また、14年秋には、モスクワ音楽院チャイコフスキー記念大ホール、サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー大ホールで初公演。94年村松賞、第5回新日鉄音楽賞・フレッシュアーティスト賞、文化庁芸術選奨・文部大臣新人賞、97年大阪舞台芸術奨励賞受賞。05年第17回ミュージック・ペンクラブ賞クラシック部門第1位グランプリを受賞。09年ベトナムの日本大使館から大使賞、10年ベトナム作曲家協議会賞、11年外務大臣賞なども受賞。12年11月には、長年のベトナム音楽界への貢献に対しベトナム政府より文化功労賞を授与されている。

シルヴァン・カンブルラン(指揮)

シルヴァン・カンブルラン(指揮)
Sylvain Cambrreling (conductor)

幅広いレパートリーと躍動感あふれる緻密な演奏で高い評価を得ている読響常任指揮者。1948年、フランス・アミアン生まれ。これまでにブリュッセルのベルギー王立モネ歌劇場の音楽監督、フランクフルト歌劇場の音楽監督、バーデンバーデン&フライブルクSWR(南西ドイツ放送)響の首席指揮者を歴任し、現在はシュトゥットガルト歌劇場の音楽総監督とクラングフォーラム・ウィーンの首席客演指揮者を兼任する。また、巨匠セルジュ・チェリビダッケの後任として、ドイツ・マインツのヨハネス・グーテンベルク大学で指揮科の招聘教授も務める。
客演指揮者としてはウィーン・フィル、ベルリン・フィルを始めとする欧米の一流楽団と共演しており、オペラ指揮者としてもザルツブルク音楽祭、メトロポリタン・オペラ、パリ・オペラ座などに数多く出演している。
録音にも積極的で、読響とは《幻想交響曲》《ペトルーシュカ》《第九》《春の祭典/中国の不思議な役人》《スコットランドほか》をリリースしている。

外囿祥一郎(ユーフォニアム)

外囿祥一郎(ユーフォニアム)
Shoichiro Hokazono (Euphonium)

1969年鹿児島市生まれ。94年東京コンセルヴァトアール尚美ディプロマコース修了。ユーフォニアムを三浦徹、露木薫、スティーヴン・ミードの各氏に師事。92年第9回日本管打楽器コンクール第1位および大賞受賞、97年英国テューバ・ユーフォニアム・カンファレンスにおける「ユーフォニアム・プレイヤー・オブ・ザ・イヤー」受賞、同年9月フィリップ・ジョーンズ・ブラス・コンクール(フランス)ユーフォニアム部門優勝。
これまでにN響、東響、東京佼成ウインド、大阪フィル、九響、札響、名フィル等と共演。また航空自衛隊航空中央音楽隊在籍中は数多くの公演でソリストを務める。13年3月に航空自衛隊を退職、ソロ活動および後進の育成に力を注ぐ。
国内外でソロ公演を行う他、「ザ・テューバ・バンド」、「ブラス・ヘキサゴン」等のアンサンブルを主宰し意欲的な取り組みを行っている。13年にはテューバ奏者の次田心平とデュオ・ユニット「ワーヘリ」を、15年にはパーカッション奏者の西久保友広とデュオを結成。これまでに20作を超えるCDをリリース(内3枚は文化庁芸術祭ノミネート作品)、最新CDは西久保友広とのアルバム「日本のうた」(16年6月リリース)。
東京音楽大学准教授、エリザベト音楽大学、洗足学園音楽大学、昭和音楽大学各客員教授および相愛大学音楽学部特別講師。ビュッフェ・クランポン・ジャパン専属講師。

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