演奏レビュー

日時

2017年10月12日(木)午前2:59~3:59(水曜深夜)
BS日テレでは2017年10月21日(土)朝7:00~8:00に放送

出演

指揮 川瀬賢太郎
ピアノ 田村 響
管弦楽 読売日本交響楽団
司会 松井咲子

曲目

♪ラフマニノフ作曲
ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18
♪ショパン作曲
ワルツ イ短調 作品34-2
※2017年6月7日ミューザ川崎シンフォニーホールにて収録

クラシック界を担う期待の音楽家、
ピアニスト・田村響さんと指揮者・川瀬賢太郎さんが登場!
同世代の2人がラフマニノフ作曲 「ピアノ協奏曲 第2番」で共演しました。

繊細な音色と豊かな“響き”が魅力!ピアニスト・田村響
1986年生まれ。
18歳でザルツブルク・モーツァルテウム音楽大学に留学し、2007年10月ロン・ティボー国際コンクールに20歳で優勝。
ヨーロッパを中心に国際的に活躍する実力派ピアニスト。

作曲家の真意を深く追求!指揮者・川瀬賢太郎
1984年生まれ。
東京音楽大学で指揮を学び、広上淳一、汐澤安彦、
チョン・ミョンフン等各氏に師事。
2011年 名古屋フィルハーモニー交響楽団・指揮者
2014年 神奈川フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者に就任。今、最も勢いのある指揮者として注目されている。

松井咲子×田村響×川瀬賢太郎 スペシャルインタビュー

音楽家として飛躍し続ける2人が
今、どのように音楽と向き合っているのか、
お話を伺いました!

田村響さんにとって、ラフマニノフの名曲「ピアノ協奏曲第2番」は、これまでコンクールをはじめ数々のコンサートで思い入れのある作品といいます。

ピアニスト 田村響

田村さんが「ピアノ協奏曲 第2番」に込める思いとは?
田村 今年で30歳になるのですが、15歳から約15年この曲を弾いています。色々なオーケストラ、指揮者と演奏してきましたが、今回の演奏には「今日しかない演奏」を目指していますし、新たな発見もできたらいいなと思っています。

指揮者 川瀬賢太郎

協奏曲とはソリスト・オーケストラ・指揮者がセッションして生まれる音楽。
どのようにして1つの音楽を共に創り上げていくのでしょうか?

川瀬 まずはソリストと指揮者で打ち合わせをします。お互いが大事に思っていること、譲れない場所や、譲りたくない場所などを事前に「ディスカッション」して、最低限のものをまず共有しておきます。
松井 その打ち合わせのあとにオーケストラの皆さんとリハーサルをすると思いますが、そこで「打ち合わせ通りにできたな」って思うとやっぱり安心するもの?
川瀬 安心できるのは本番終わってから。
オーケストラとリハーサルをやったからこそ、次にゲネプロで見たい景色、
そしてゲネプロを踏まえて「本番で見たい景色」というのがどんどん発展していくものなので・・・
本番でどういう景色を見る事ができるのか、お互い楽しみです。

「本番で見たい景色」を見るために、2人はどんな気持ちで演奏に臨んでいるのでしょうか?
田村 リハーサルと本番で会場が違うことが多いですし、ピアノも違いますし、お客さんの有無でも変わってきます。なのでリハーサルが終わった後に「こういうことができる」という部分を微調整して本番に向かっていきます。
松井 ということは、色々と考えながら演奏を変えていっているのですか?
田村 そうですね。ある程度の核が決まったら、後はその時の瞬間瞬間で臨機応変にお互い演奏が変わっていくと思うので、最後の最後までどういう演奏になるのか楽しみです。
川瀬 例えばリハーサルで僕が「こうしたいです」と言ったとして、話し合った結果「じゃあ響が思う方でやってみよう」と決めた後、「やっぱりここは僕、本番譲れませんでした」とやってしまうこともあるわけですよ。でもそこが本番の楽しいところで。まずはリハーサルで、オーケストラ・ソリスト・指揮者の「信頼関係」をしっかり作っておいて、「本番、何を仕掛けてもこう返してくれるよね」「逆にこう仕掛けられたら僕たちこう返せるよね」というようなアドリブを入れる。すると相手のリアクションも変わるじゃないですか。常にリアクションをし続ける所が協奏曲の楽しいところだと思います。

協奏曲で良い演奏を創るために大切なこととは?
川瀬 「認め合う」ということです。相手が何をしたいのか理解したり、相手の懐に入っていく勇気は協奏曲をやっていて楽しいし、必要なことの一つだと思います。
田村 「協調し合う」ということです。自分の音楽だけではなくて、相手に気持ちや音も寄せていく、そういう寄り合いができればいいんじゃないかなと思っています。

演奏者の略歴

田村響(ピアノ)
田村響(ピアノ)
Hibiki Tamura (piano)
2007年10月ロン・ティボー国際コンクールにおいて弱冠20歳で第1位に輝き、一躍世界に注目されるに至った。
以来、ザルツブルク・モーツァルテウムで研鑽を積み、国際的な演奏活動を展開している。
2009年2月ビシュコフ指揮ケルン放送交響楽団の定期演奏会デビューと日本ツアーを行った他、これまでに、N響、都響、新日本フィル、名古屋フィル、京響、大阪フィルなどと共演。また、ライプツィヒ、パリ、ザルツブルクなどを始めとするヨーロッパ各地でのリサイタル、日本各地でのリサイタルを活発に行っている。
室内楽活動にも力を入れており、マキシム・ヴェンゲーロフ、堀米ゆず子、篠崎史紀、宮田大、三浦文彰の各氏等と共演している。
1986年愛知県安城市生まれ。3歳よりピアノを始める。18歳でザルツブルク・モーツァルテウム音楽大学に留学。2015年大阪音楽大学大学院修了。これまでにクラウディオ・ソアレス、クリストフ・リースケほか各氏に師事。
2002年、エトリンゲン青少年国際ピアノ・コンクールB部門第2位及びハイドン賞、第26回ピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリ、第18回園田高弘賞ピアノ・コンクールにて園田高弘賞第1位を受賞。
2004年デビューCDをリリース、2008年8月には「ロン・ティボー国際コンクール優勝記念」と称した2枚目のCDをリリース、2010年2月に3枚目のCDをトリトンレーベルにてリリースした。
受賞歴としては、2003年アリオン賞、第14回大幸財団丹羽奨励生、(財)江副育英会奨学生、2006年第16回出光音楽賞、 2008年文化庁長官表彰・国際芸術部門、2009年第10回ホテルオークラ音楽賞、2015年第70回文化庁芸術祭音楽部門新人賞などがある。
京都市立芸術大学専任講師。
川瀬賢太郎(指揮)
川瀬賢太郎(指揮)
Kentaro Kawase (conductor)
1984年東京生まれ。東京音楽大学音楽学部音楽学科作曲指揮専攻(指揮)を卒業。これまでに、ピアノ及びスコアリーディングを島田玲子、指揮を広上淳一、汐澤安彦、チョン・ミョンフン等各氏に師事。2006年10月に行われた東京国際音楽コンクール<指揮>において1位なしの2位(最高位)に入賞。
各地のオーケストラから次々に招きを受けている。2012年1月には、細川俊夫作曲 平田オリザ演出、オペラ「班女」広島公演で指揮し、オペラデビュー。その後細川俊夫作曲モノドラマ「大鴉」、オペラ「リアの物語」を指揮、喝采を浴びる。
海外においてもイル・ド・フランス国立オーケストラと共演、2012年10月にはユナイテッド・インストゥルメンツ・オヴ・ルシリンと細川俊夫作曲モノドラマ「大鴉」オランダ初演を成功させた。2015年9月にはひろしまオペラルネッサンス公演にてモーツァルト作曲オペラ「フィガロの結婚」を、2016年11月には日生劇場NISSAY OPERA2016にてモーツァルト作曲オペラ「後宮からの逃走」を、2017年3月にはiichiko総合文化センター・神奈川県民ホール・東京二期会・神奈川フィルハーモニー管弦楽団 共同制作公演モーツァルト作曲オペラ「魔笛」を指揮、躍動感溢れる演奏を聴衆に届けた。
2007年~2009年パシフィック・ミュージック・フェスティバル(PMF)アシスタント・コンダクター。
現在、名古屋フィルハーモニー交響楽団指揮者、神奈川フィルハーモニー管弦楽団常任指揮者、八王子ユース弦楽アンサンブル音楽監督、三重県いなべ市親善大使。2015年「渡邉暁雄音楽基金」音楽賞、第64回神奈川文化賞未来賞を受賞。2016年第14回 齋藤秀雄メモリアル基金賞、第26回出光音楽賞、横浜文化賞 文化・芸術奨励賞を受賞。
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