演奏レビュー

日時

2019年8月22日(木)2:34~3:34(水曜深夜)予定
BS日テレ 8月31日(土)朝7:00~8:00予定

8月放送プログラム

グリエール作曲  コロラトゥーラ・ソプラノのための協奏曲 作品82
カリンニコフ作曲 交響曲第1番 ト短調

指揮
山田和樹
ソプラノ
アルビナ・シャギムラトヴァ

(2019年6月13日 サントリーホールにて収録)


【8月の演奏・聴き所】
音楽プロデューサー 新井鴎子の演奏レビュー

新井鴎子プロフィール
読響シンフォニックライブの構成を担当
クラシック音楽のコンサート・テレビ・ラジオ番組の構成を多数手掛け、長年にわたりその楽しみや魅力を親しみやすく伝えてきた。
音楽祭のディレクターやオペラ・ミュージカルの脚本、執筆活動など〈クラシック音楽〉の分野で幅広く活躍している。
現在、東京藝術大学特任教授。

【グリエール作曲 コロラトゥーラ・ソプラノのための協奏曲 作品82】
ウズベキスタンの歌姫アルビナ・シャギムラトヴァ、その超人的な声の技術と豊潤な声量、歌詞のないヴォカリーズに物語を感じさせる表現力で、聴衆を魅了しました。グリエール作曲のコロラトゥーラ・ソプラノのための協奏曲は、まさに彼女のために書かれたのではないかと思えるほど。管弦楽パートも重厚に書かれていますが、シャギムラトヴァは一人の声だけでオーケストラにまったく引けを取らない壮大なスケール感を持っていました。

【カリンニコフ作曲 交響曲第1番 ト短調】
チャイコフスキーにその才能を認められながらも34歳で早世したカリンニコフ。若い頃に書いた交響曲第1番は、ロマン派の交響曲のスタイルの中に土臭い民謡風の旋律やリズムが散りばめられ、荒削りではあるものの独特な魅力のある作品です。なによりもカリンニコフが、自身の「作曲家」としての痕を必死にスコアに刻み込もうとしている意思があちこちに感じられ、そのことが聴く者の胸を打ちます。なんというか、とても誠実な作品です。山田和樹さんは、カリンニコフの管楽器と弦楽器が整然と配置された風通しのよいオーケストレーションを、奇をてらうようなことなく、そのままに伝えてくれました。

演奏者の略歴

山田和樹(指揮)
山田和樹(指揮)
Kazuki yamada
東京芸術大学指揮科で小林研一郎氏、松尾葉子氏に師事。2009年ブザンソン国際指揮者コンクール優勝を機に、ヨーロッパでのキャリアをスタートさせた。これまでにベルリン放送響、サンクトペテルブルク・フィル、パリ管、フランクフルト放送響、フィルハーモニア管、ドレスデン・フィル、BBC響、チェコ・フィルなどへ客演している。また、小澤征爾の代役として12年のサイトウ・キネン・フェスティバル松本でオネゲルの劇的オラトリオ〈火刑台上のジャンヌ・ダルク〉を振り、17年には〈魔笛〉でベルリン・コーミッシェ・オーパーにデビュー。18年にはモンテカルロ歌劇場で〈サムソンとデリラ〉を指揮して好評を博すなど、オペラでも活躍。モンペリエ音楽祭、マントン音楽祭など国際的な音楽祭にも招かれている。
スイス・ロマンド管首席客演指揮者を経て、現在はモンテカルロ・フィルの芸術監督兼音楽監督、バーミンガム市響の首席客演指揮者、日本フィル正指揮者、東京混声合唱団音楽監督、自身が学生時代に創設した横浜シンフォニエッタの音楽監督などを務めている。渡邉暁雄音楽基金音楽賞、齋藤秀雄メモリアル基金賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞など受賞多数。PENTATONE、EXTONなどから管弦楽曲や合唱曲など、多数のCDをリリースしている。
アルビナ・シャギムラトヴァ(ソプラノ)
アルビナ・シャギムラトヴァ(ソプラノ)
Albina shagimuratova
ウズベキスタンのタシケント生まれ。2007年チャイコフスキー国際コンクール優勝。ムーティの指揮でザルツブルク音楽祭にモーツァルトの歌劇〈魔笛〉の“夜の女王”役で欧州オペラ・デビューを飾り、話題を呼んだ。以降、同役をウィーン国立歌劇場、ミラノ・スカラ座、メトロポリタン歌劇場、バイエルン国立歌劇場、英国ロイヤル・オペラ、パリ・オペラ座など世界の一流劇場で歌い、絶賛されている。また、ドニゼッティの歌劇〈ランメルモールのルチア〉のタイトルロールを、ベルリン・ドイツ・オペラやマリインスキー劇場などで歌っている。これまで、メータ、フリューベック・デ・ブルゴス、ゲルギエフ、パッパーノ、ハーディングらと共演を重ねている。今回が読響初登場。
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