2008年11月24日
政治家と言葉
麻生総理の口から出る言葉が、
いろいろなところで混乱を招いていますが、
言葉に対する政治家の思いといえば、
ナチス・ドイツを相手に第二次世界大戦を戦った
英仏二人のリーダーを思い出します。
一人は、言葉の力を信じ、
言葉によって人々を奮い立たせた
英元首相ウィンストン・チャーチル。
(彼は1953年ノーベル文学賞を受賞しました)
首相就任直後の1940年5月13日、
彼は議会でこんなスピーチをしています。
「血と労苦と涙と汗、このほかに私は、
皆さんに捧げるものは何もない」
「我々の政策は何かと問われたら、海で、陸で、空で、
神から与えられた全ての力を振り絞って、
戦いぬくことだと答えるしかない」
「我々の目的は何かと問われたら、答えは一つ。勝利である。
どんな犠牲を払おうとも、どんな恐怖があろうとも、
どんなにその道が長く険しくても勝利しかない。
なぜなら勝利なくして我々の生存はないからだ」
「来たれ、そして力をあわせ、我々と共に前進しよう」
他方、多弁であるよりも、寡黙の効用を説いたのが、
戦後、仏大統領になったシャルル・ドゴールです。
以下は、彼の著書『剣の刃』(1932年)の中の一節です。
「寡黙は態度を荘重にする。沈黙ほど権威を高めるものはない。
沈黙は強者には重厚さを、弱者には安全を、高慢な者には謙虚さを、
虐げられた者には誇りを、賢者には慎みを、そして愚者には機知を与える」
自らの言動が国民心理に及ぼす影響を十分計算して、
自らを演出した二人のリーダー。
それにしても「綸言汗の如し(りんげんあせのごとし)」(注)。
トップの言葉は重いのです。
(注)漢書:天子の言葉は、出た汗が体内に戻らないように、
一度口から出れば取り消すことができない。
投稿者:村尾信尚







