2012年10月08日
遣らずの雨
先日、俳人の黛まどかさんとお話する機会がありました。
ソフトな人当たりのなかにハードな意志を感じる黛さん。
その黛さんから、こんなお話を伺いました。
黛さんが韓国に行った際、ある中年男性が黛さんを日本人と知ると、
「あなたは『遣(や)らずの雨』という言葉を知っていますか?」
と訊いてきたそうです。
『遣らずの雨』とは、
まるで客を帰さないかのように、客が帰る頃に降り出す雨のこと。
黛さんがそのように答えると、
その男性は大変喜んで、自分のことを話してくれたそうです。
彼は反日教育を受けた世代で、日本が嫌いでしたが、
ある日、仕事の都合で仕方なく日本に出張しました。
日本での仕事を終えて韓国に帰る日、日本側の担当者が
彼を空港まで送りました。
空港へ向かう途中雨が降り出すと、その担当者は
「ああ、遣らずの雨ですよ。日本人はこういう時に
あなたを帰したくなくて雨が降り出したって思うんです」
と彼に語ったそうです。
それを聞いて、彼は
「こんなに美しくて詩情溢れる言葉を育んできた民族が、
残酷でひどい民族であるはずがない」と感じ、
この『遣らずの雨』の一言で反日感情が溶けたそうです。
黛さんは、これこそ文化力、文化外交力だと仰っていました。
日韓関係、今は竹島の問題などで良好とは言えない状況です。
冷えた政治を文化のチカラで溶かすことができないか・・・
そんなことを考える日々です。