村尾コラム

2013年03月18日

再びの自民党政権~期待と不安~

昨年末の衆議院選挙、選挙の争点はいくつかありました。

デフレ脱却はできるのか?
消費税増税を認めるのか?
原発はどうするのか?
TPPに参加するのか?
中国にどう向き合うのか?

しかし、有権者はこれらの政策メニューの選択を飛び越えて、
これまでの民主党政権の政権担当能力にNOを突きつけた。
そんな選挙結果だったと思います。

このような状況を踏まえて、再びの自民党政権、再びの安倍政権は発足しました。

日銀に明確な物価目標を迫る安倍政権。
公共事業の増加など積極的な財政政策をとる安倍政権。
原発ゼロに慎重な安倍政権。
日米同盟の強化を目指す安倍政権。
憲法改正を目指す安倍政権。

衆議院選挙における民意と安倍政権が目指す方向は一致しているのでしょうか。
自民党政権は日本をどの方向に導き、そして7月に予定されている参議院選挙で
有権者はどのような判断を下すのでしょうか。

私が監修を務める関西学院大学の「東京丸の内講座」では、
政府関係者、与野党の国会議員、外国政府の大使、
報道関係者らを講師としてお呼びし、
「再びの自民党政権」について考えます。

詳しくは下記へ
http://www.kwansei.ac.jp/a_affairs/a_affairs_000113.html

2013年01月07日

夢を持つ。夢を語る。

あけましておめでとうございます。
今年もZEROをよろしくお願いします。

さて、今年の世界はどうなるのか?
世界の動きは私たちの暮らしにも、
大なり小なり影響を与えます。

これからの世界を考えるにあたって、
バングラデシュで貧しい人々のための銀行をつくった、
ムハマド・ユヌス氏(2006年ノーベル平和賞受賞)は、
次のような趣旨のことを述べています。

「世界がどうなるのか?」を考えるより、
「世界をどうしたいのか?」を考えよう。
両者の違いはとても大きい。
前者が、この世界の出来事を受動的に捉えるのに対して、
後者は、この世界をどう変えようかと能動的に捉えている。
後者の見方のほうが未来予測としては正しいだろう。
なぜなら、現実の世界は私たち一人ひとりの「夢」によって、
絶え間なくつくり変えられているからだ。

~ Muhammad Yunus "Building Social Business" ~

2013年、私たちは震災復興、雇用不安、社会保障改革など
さまざまな問題に取り組んでいかなくてはいけません。
ACTIONを起こすには、先ず私たちが夢を持つことが必要です。

今年のZERO、
皆さんとともに私たちの夢を語り合いたいと思います。

2012年12月05日

村尾解説④景気・雇用のキーワード

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総選挙のポイントを連日お伝えしていますが、
今日は「景気・雇用」を考える上でのキーワードについて解説します。

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それは経済の規模がどれだけ伸びたかを示す「成長率」。
今回政党の公約を見ると名目成長率や、実質成長率という言葉があります。

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まず「名目」と「実質」の違いについて説明します。

では、鉛筆を例えにしてわかりやすく説明しましょう。

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今年鉛筆を100本作っていた工場が来年103本作ると、
鉛筆は3本増えているから実質的に3%増えたことになる。

(八木)
実際に生産が増えた量が「実質」ですね。

(村尾)
そうです。
次にこの鉛筆に値段をつけよう。
1本100円だとします。

今年作った鉛筆は100円×100本で1万円。
来年鉛筆を103本作った場合、
100円×103本で1万300円と、300円増えますよね。

「名目」とはこの金額での伸びのことを言うのです。

この場合、今年が1万円で来年が1万300円ですから
「名目成長率」は3%伸びたことになります。

(八木)
実質も名目も3%、同じだけ伸びたわけですね。

(村尾)
そうです。
では鉛筆の数は増えずに、
値段があがるとどうなるでしょうか。

来年、鉛筆の生産量は100本のままでも、
鉛筆の値段が103円に上がったとします。

生産額は103円×100本で1万300円。
金額の伸びを示す名目では3%、増えたことになります。

しかし、鉛筆の数自体は増えていないので
実質の伸びは0%なんです。

2つのケースを見ると、同じ「名目3%」の伸びでも、
②のように値段だけ上がって鉛筆の数が増えなければ、
鉛筆を作るための雇用も増えず、
その点では私たちの暮らしは良くなったとはいえないのです。

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「名目」と「実質」の違いを説明しましたが
今回の選挙では「名目3%以上の成長を目指す」などと
掲げている政党もありますがこれについて考えてみたい。

実はこのように過去10年間、
日本は名目で3%以上の成長を達成したことはない。

(八木)
難しい目標ですよね。

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(村尾)
本当にできるのだろうか。
名目成長率がプラスになれば確かに物価も上がるし収入も増える。

ただ単に金額だけが上がっても実質成長率、
つまり物の生産が増えていかなければ雇用も増えない。

実質成長率を最終的にどう上げていくのかが大切だ。

2012年11月30日

村尾解説③衆院選の争点“外交”

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(村尾)
今週は、衆議院選挙の争点となっている政策について考えています。

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世論調査で有権者が最も重視していたのは「景気・雇用」についてです。
ZEROはこの「景気・雇用」という切り口で、選挙の三つの争点を見ていきます。

3回目のきょうは「外交・安全保障」についてです。

(鈴江)
「外交・安全保障」と「景気・雇用」、一見つながりがなさそうに思えますが?

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(村尾)
実は深く関係しています。日本の人口は年々減少しています。
それにあわせて国内の需要は年々縮小しているんです。

こうした中、日本の経済を成長させていくためには、
海外への輸出を増やして新たな市場を開拓していかなければならないという考え方があります。

つまり、外国とどう向き合っていくのか、
外交政策が「景気・雇用」を考える上でも重要なんです。

(鈴江)
外交・安全保障というとことしは尖閣諸島をめぐり中国との関係が悪化しましたね。

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(村尾)
その中国を例に考えてみます。
日本は自動車をはじめたくさんの製品を中国へ輸出していて、
いまや中国は日本にとって最大の貿易相手国でもあるんです。

今回のように中国国内で反日感情が高まってしまうと、
日本製品を買わなくなるという事態が起き、
日本は輸出が減り景気悪化、雇用減少につながります。

(鈴江)
実際に反日デモが発生したあと、中国への自動車の輸出が大幅に落ちましたよね。

(村尾)
もちろん日本の領土・主権はしっかり守っていかなければいけません。
そのためには、中国に対して強い態度を示すことも必要です。
ただこうしたときにも「景気・雇用」への影響を考えて外交を行うことが必要なんです。

そして海外市場を開拓するという意味では、
中国に次ぐ大きな貿易相手国アメリカとの関係も重要です。

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アメリカを中心とした太平洋を囲む国々は、
TPPの交渉をすすめていて、日本が参加を検討する動きがあります。

このTPPは参加国の間で関税をなくし、貿易を活発にしようとするものですが、
日本では国内農業に大きな影響を与えるという声もあり、選挙の争点のひとつになっています。

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いずれにしても「外交・安全保障」は、日本が今後、市場を失うのか
それとも広げていくのかこうした視点が切り離せない問題なんです。

村尾解説②衆院選の争点“原発”

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(村尾)
この国のあり方を決めるのは一票を投じる私たちです。
今週は、衆議院選挙の争点となっている政策について考えます。

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世論調査で有権者が最も気にしていたのは「景気・雇用」についてです。
ZEROはこの「景気・雇用」という切り口で、選挙の三つの争点を見ていきます。

きょうは「原発」についてです。

原発に関する現時点での各党の主張を見てみましょう。

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民主党は「2030年代に原発ゼロを目指す」としています。

自民党は「再稼働の可否3年以内に判断」
「中長期的政策を10年以内に確立」としています。

そのほかの政党を見ると「原発ゼロ」を掲げるところが多く見られます。

また、日本維新の会は「脱原発依存」。
そして新たに結成された日本未来の党は「卒原発10年後にゼロ目指す」。

表現はそれぞれ違いますが、多くの政党が原発に依存しない方向性を打ち出しています。

(鈴江)
こうした政策は、原発事故の経験をふまえて考えなければいけませんね。

(村尾)
もちろん原発事故は二度とくりかえしてはいけません。
その前提の上にきょうは、仮に原発を減らしていった場合、景気・雇用がどうなるのかを考えます。

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仮に原発を減らした場合、代わりのエネルギーが必要となります。

火力発電や、将来的には太陽光、風力、地熱など再生可能エネルギーを
増やしていく必要も出てきて、費用がかかります。

これは、私たちが支払う電気料金の値上げにつながります。

(鈴江)
実際に最近も火力発電の燃料費がかさむことを理由に、
電力会社が電気料金の値上げを申請していますよね。

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(村尾)
これは家計にとっては負担になりますよね。
そればかりか企業にとっては電気料金の
コストが増えることで国際競争力が弱まり、景気悪化につながります。
 
また、コストの安い海外への移転がすすみ国内の雇用が減ってしまうという考え方があるんです。

(鈴江)
一方で原発事故以降、再生可能エネルギーへの期待感というのも高まっていますよね。

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(村尾)
そこで別の見方もできるんです。
原発を減らして太陽光や風力、地熱といった再生可能エネルギーをどんどん増やしたとします。

そうするとそれに関連する設備の建設や管理など
新たな事業が生み出され、そこに新たな働き口も生まれてくる。

その結果、景気回復につながり雇用も増えるという考え方があるんです。

原発についてはとにかく安全を確保することが第一ですが、
景気・雇用との関係を考えて各党の主張を見ていくこともできるんです。

2012年11月29日

村尾解説①衆院選の争点“消費税増税”

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(村尾)
この国のあり方を決めるのは一票を投じる私たちです。
今週は、衆議院選挙の争点となっている政策について考えます。

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世論調査によると有権者が最も重視すると答えた政策が「景気・雇用対策」です。
つまり有権者の多くは、「景気はよくなるのか?」「仕事はあるのか?」「給料は上がるのか?」
などを一番気にしているということです。

ZEROはこの「景気・雇用」という切り口で、
選挙の争点となっている「消費税増税」「原発」「外交・安全保障」の三つを見ていきます。

きょうはまず「消費税増税」です。
消費税増税に対する現時点での各党の主張を見てみましょう。

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前の国会で三党合意した民主、自民、公明党は増税に賛成しています。
そのほかの政党を見てみるとあわせて8つの党が反対しています。
また、条件付き賛成としている党もあり、ご覧のとおり様々な意見がみられます。

ではこの消費税増税を、景気がよくなるのかならないのかという視点で考えてみましょう。
まずは、消費税増税に反対する人の主な見方です。

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消費税があがると消費者がものを買うのをひかえるようになり、景気は悪くなる。
その結果、雇用も減る。

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つまり税金が安い方が、現在の消費が増え、景気が良くなり、
その結果、雇用も増えるという見方ができます。

(鈴江)
では、消費税増税に賛成の立場の人は景気対策をどう考えているのでしょうか?

(村尾)
消費税増税により増えた分の税収は、原則、社会保障の財源にあてられます。

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これにより年金・医療が充実すれば、消費者は将来への不安が軽くなります。
 
その結果、ものを安心して買えるようになり、
現在の消費が増えて景気が回復し、雇用が増加するという考え方もあるんです。

消費税の議論では国の財政をどう建て直すのか、
将来子どもたちへの負担をどう減らすのかという視点に加えて、
こうした「景気・雇用」との関係もあわせて考えることが重要なのです。

2012年11月20日

アイ・ウェイウェイさんと猫たち

約3年ぶりに、自由を求めるアーティスト、アイ・ウェイウェイさんに
中国北京のご自宅でお会いしました。

「深い川は静かに流れる」
彼に会うと、私はこの言葉を思い出します。
彼は今、中国政府の厳しい監視下にあるのですが、
基本的人権を求める強い意志と
それを静かに話す語り口は、以前と変わりありませんでした。

中国の人々は貧困から抜け出して豊かさを手に入れ、
そして自由と権利を求めて行動し始めました。
その動きはインターネットを通じて中国全土に広がっています。

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アイ・ウェイウェイさんは、自由を求める人々の先頭に立つ一人でしょう。
ご自宅には約40匹の猫たちも気ままに暮らしています。
「Do you like cats ? (猫がお好きなんですか?)」
そう私が聞くと、彼はこう答えました。
「I love cats , lovely ・・・independent.」
(大好きです。可愛いし、それに誰にも頼らないからね)」

2012年11月16日

村尾キャスター北京取材日記

<11月9日>
村尾キャスターは昼頃、北京に到着し
早速取材を始めました。
現地から届いた画像ですが、天安門広場でリポート撮りです。
少し寒そうです。
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北京から2枚目の画像が届きました。人民大会堂の中に村尾キャスターが入りました。(人民大会堂は今回、共産党大会が開かれている建物です。) ちょうど上海市のトップが参加した会合を取材しているところです。
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<11月10日>
こちらは、土曜日の北京での模様です。土曜日に放送されたNNN報道特番「action!」に村尾キャスターは北京から生出演しました。日本企業が進出するアフリカでは、中国企業との競争も熾烈でした。
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<11月11日>
村尾キャスターは、反日デモがあった中国・青島を取材してきました。反日デモの被害にあった日系のスーパーでは、すでに通常通り営業が始まっていました。買い物に来ていた若者に話を聞きました。
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<11月12日>
画像は、上海取材の合間に景色のよいところで1枚スタッフがとりました。
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<11月13日>
村尾キャスターはけさ中国・上海から再び北京に戻ってきました。画像は、上海から北京へ国内線の機内食(朝食)です。銀紙に包まれているのがハンバーガー、そして右下の白いのはお粥だそうです。...
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中国13億人の未来を誰に託すのか。現在開かれている共産党大会はいよいよあす14日が最終日です。画像は、北京市内の裁判所ですが、集まっているのは地方から集まった陳情者たちです。中国発展の一方で不満が募る住民たち、そんな陳情者を監視するため、各地の警察もいます。
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<11月14日>
きょうは、中国・共産党大会の最終日となりました。大会が開かれている人民大会堂に村尾キャスターも入るため、世界中から集まったメディアとともに順番待ちしているところです。きょう閉幕する大会で中国の新しい指導部が選出されます。
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さきほどの続きです。村尾キャスターが人民大会堂の中に入りました。記者席からの模様です。「中国共産党第18次」という文字にある通り18回目の大会です。胡錦濤総書記や習近平氏の姿も見えました。
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国・共産党大会が開かれていた人民大会堂前です。 昼間の様子ですが 厳重な警備です。目の前の天安門広場には一般の人が入れなくなっていました。
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画像は、村尾キャスターが気になった一枚です。共産党大会が開かれていた人民大会堂の中のトイレですが、日本のメーカーのものということで目がとまったそうです。
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画像は、水曜日に村尾キャスターが、北京外国語大学の学生にインタビューしたときの模様です。若い世代の思いを聞きました。日本語学科の学生のため、インタビューは、日本語で行われました。
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2012年10月15日

東と西

今月3日のNEWS ZEROで、
私は次のようなコメントをしました。

「ユーラシア大陸の東側では、
日本と中国が尖閣諸島を巡って鋭く対立しています。
一方、西側のヨーロッパでは、
ドイツやフランスなどの国々が国境の意味合いを弱めて、
人や経済の交流が活発になっています。
東と西ではその歩みがずいぶん違います」

12日、その西側のEU(ヨーロッパ連合)に、
ノーベル平和賞が贈られることが決まりました。
第1次大戦、第2次大戦と戦争の地であったヨーロッパ。
EUとは、戦争という国家の争いをなくすため、
国家の間の壁を薄く、低くして、
人や経済の交流を活発にすることにより
平和の共同体をつくる試みだと思います。

ノーベル委員会は、
かつての敵同士であったドイツ、フランスが
親密なパートナーになり得ることを示すもの、
と述べています。

確かに、今のEUはユーロ危機のなか、
経済的な困難や社会的な不安を抱えています。
しかしそれでも、「戦争の大陸」を「平和の大陸」に
変えるEUのビジョンは評価されていいと思います。

西のヨーロッパの試みは、東のアジアの私たちにも
有益な示唆を与えてくれるのではないでしょうか。

2012年10月08日

遣らずの雨

先日、俳人の黛まどかさんとお話する機会がありました。
ソフトな人当たりのなかにハードな意志を感じる黛さん。
その黛さんから、こんなお話を伺いました。

黛さんが韓国に行った際、ある中年男性が黛さんを日本人と知ると、
「あなたは『遣(や)らずの雨』という言葉を知っていますか?」
と訊いてきたそうです。
『遣らずの雨』とは、
まるで客を帰さないかのように、客が帰る頃に降り出す雨のこと。
黛さんがそのように答えると、
その男性は大変喜んで、自分のことを話してくれたそうです。

彼は反日教育を受けた世代で、日本が嫌いでしたが、
ある日、仕事の都合で仕方なく日本に出張しました。
日本での仕事を終えて韓国に帰る日、日本側の担当者が
彼を空港まで送りました。
空港へ向かう途中雨が降り出すと、その担当者は
「ああ、遣らずの雨ですよ。日本人はこういう時に
あなたを帰したくなくて雨が降り出したって思うんです」
と彼に語ったそうです。

それを聞いて、彼は
「こんなに美しくて詩情溢れる言葉を育んできた民族が、
残酷でひどい民族であるはずがない」と感じ、
この『遣らずの雨』の一言で反日感情が溶けたそうです。

黛さんは、これこそ文化力、文化外交力だと仰っていました。

日韓関係、今は竹島の問題などで良好とは言えない状況です。
冷えた政治を文化のチカラで溶かすことができないか・・・
そんなことを考える日々です。