板谷由夏 LIFE

2016年10月27日

子どもの貧困

訪ねたのは、実家を間借りし、
2人の子どもを育てる母子家庭。

伊藤さんは、女手ひとつで
小学生の娘、2人を育てています。

飲食店でフルタイムで働く
伊藤さんの月収は約9万円。
就学援助などを受けていますが、
光熱費や保険などをひくと、残るのは2万円ほど。

板谷
「生活的にはどうですか?」

2人の子育てをしている伊藤さん(仮名・33)
「通帳とにらめっこじゃないけど、
今月は、このぐらいしか使えないから
食事を何にしようかなとか、そういうのは考える。
(子どもには)我慢させてる部分はたくさんあると思う。」

毎月ギリギリの生活。

家計は苦しく、
削れるのはもう、食費ぐらいだといいます。

板谷
「もっとお腹いっぱい食べさせたいのにな
と思うことはありますか?」

2人の子育てをしている伊藤さん(仮名・33)
「お肉が好きなので、本当はもっとお肉を
食べさせてあげたいなっていうのはあります。」

20161002.jpg

この日の夕食は、カレー。
お肉は値段が高いため、
使えるのはひき肉を半パックだけ。
これで3人分です。


子どもに我慢をさせることが
1番辛いという伊藤さん。

その子どもたちが
お絵かきで書いていたのは、好きな食べ物。
卵焼きでした。

板谷
「卵焼きが好きなのね。
卵焼きのどういうとこが好きなの?」

子ども「甘いとこ。」

普段はあまり食べられない、お菓子のように
甘いところが好きだといいます。


いま、子供のおよそ6人に1人が
貧困に直面しているといわれています。

厚生労働省によると、
18歳未満の子どものうち
親の所得が平均の半分を下回る、
貧困の子どもは年々増加。
4年前に16.3%と、過去最悪を更新。


こうした現状を受け、
私は去年、食料支援に乗り出した
NPO団体を取材しました。

ここでは、行政から依頼を受け、
食事に困っている家庭に
無償で食べ物を配送しています。
食品は、企業や個人からの寄付。

現場が感じていたのは、
支援につなげる難しさでした。

NPO法人フードバンク山梨
米山けい子理事長
「着るものなどもそうなんですけど、
いただいたものや安いもの(洋服)もありますから
貧困が見えづらいんですね。」

板谷
「わかりづらい。」

NPO法人フードバンク山梨
米山けい子理事長
「助けてくださいって言えない社会に
なっているってことなんですね。」


伊藤さんも、生活が厳しくても、
声をあげるのには抵抗があるといいます。

板谷
「支援をお願いしますと手をあげるのは
抵抗がありましたか?」

2人の子育てをしている伊藤さん(仮名・33)
「ありましたね。
どうしても言いだしにくいなっていうのはありますね。
人に頼る前に、自分でなんとかしなきゃ
っていう思いがありました。」
20161001.jpg

自分でなんとかしなければ。
その思いが、貧困をみえづらくしている
要因の1つです。


支援が届かない状況を変えようと
今年、新たな取組みに乗り出した
小学校があります。

板谷
「子どもたちのために取組みをされてる?」

中央市立田冨小学校
内藤和久校長
「食料支援の案内のプリントを
就学援助を受けている家庭に案内をお配りした。」

給食費などを補助する就学援助。
それを受けている子どもに、
この食料支援の申込書を配布したのです。

学校から渡された申込書を、 
子どもが家に持ち帰り、
親が、学校と連携しているNPO団体に直接郵送します。
そうすれば食品が、家庭に届けられるという仕組み。

全国でもまだ少ないという
学校から家庭へのアプローチで、
多くの申し込みが。

今回、申請書を配布したのは、9つの小学校。
すると、97世帯から新たに申込みがあり、
その数は、1.7倍に増えたといいます。

申請用紙には、切実な声が寄せられていました。
"1食抜くことや、お菓子ですますことも。"
"食料が買えず、1か月、めん類。"

こうした家庭に、
5回の食品配送を行ったといいます。
 

取材した伊藤さんの家も、
この取組みで支援を受けた家庭の1つです。

子ども
「あっ、大好きなやつ。
ビスケット。いえ~い。やったぁ。」
 
2人は、好きなお菓子に大喜び。
支援を受けたことで、
伊藤さんの意識が変わったといいます。

学校の便りで
食料支援を受けた伊藤さん(仮名・33)
「頼れるところは、頼っていいんだなと思って
 気持ちが楽になりました。」

以前は、支援に抵抗を感じていた伊藤さん。
なぜ、今回は利用できたのでしょうか。

学校の便りで
食料支援を受けた伊藤さん(仮名・33)
「行政からの便りよりも、子どもが持って帰ってくる
学校からの便りの方がすごく身近で。
申し込んでみようと思った。」

板谷
「これまでのと全然違います?
前に思ってた支援に手をあげることは?」

学校の便りで
食料支援を受けた伊藤さん(仮名・33)
「違う。学校からっていうのは、
すごく大きいと思う。」


子どもが帰宅すると、
母親に真っ先に手渡すのが学校からの連絡帳。
どんなに忙しくても、必ず目を通すといいます。

伊藤さんは、普段から
つながりのある学校だからこそ、
食料支援の申込みに踏み切れました。

時に、家庭の厳しい状況を
目の当たりにする教育現場。
学校だからこそできる、役割があるといいます。

中央市立田冨小学校
内藤和久校長
「公立は私立と違って、選んで来るわけではないし、
地域の人が当たり前に
色んな事情の家庭から子どもたちが来てるから
(家庭を支援に)つなげていく役割が
学校にはあるんだと思いますね。」

子どもたちを救うため、
学校の役割が変わりつつあります。

 

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