板谷由夏 LIFE

2017年7月19日

総社市 障害者千人雇用

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人口6万8000人、岡山県第4の都市、総社市。
そこにある、工場を訪ねました。

板谷「こんにちは。よろしくお願い致します。」
社長&会長「よろしくお願い致します。」

ここは、60年以上の歴史を持つ金属加工会社です。
黙々と作業に取り組むのは、小野寺一紀さん、19歳。
生まれつき知的障害があり、足も少し不自由です。

板谷「小野寺さんはどういう作業を
されているんですか?」

垪和社長「アルミニウムを金型の型から抜き出して、
成型を取りあげている作業です。」

高い室温のなかトラクターなど主に農業機械の部品
を取り出す根気のいる作業です。

板谷「こんにちは。板谷です。
小野寺さん「こんにちは。小野寺です。

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板谷「お仕事はどうですか?毎日」
小野寺さん「毎日来て楽しいです。楽しいです。」

その仕事ぶりは、真面目そのもの。
例えば、タイムカードを見せてもらうと...

垪和社長「8時から仕事なんですが、
だいたい7時10分台が多いです。」
板谷「本当だ。7時15分...。
ほとんど7時20分前までには来ているんですね。

野寺さん、2016年の4月に就職してから
無遅刻・無欠勤を続けています。

実はこちらの会社、障害者雇用の経験は殆どナシ。
慢性的な人手不足を解消するため
雇用に踏み切ったのだといいます。

垪和社長「やっぱり最初は不安がありましたが、
小野寺君を雇って、雇用して、
障害者に対する考え方は変わりましたね。」

さらに、新たな発見も。

垪和社長「色々なところや現場を見ていくなかで
障害者の方でもできる作業がたくさんあるし
そういったところを見極めながら、障害者の方
積極的に入れていきたいなと思っています。


小野寺さんの給料は一般社員と同じ額。
一つの作業に集中できる強みを生かし、
頼もしい戦力となっていました。

目標であった1000人を達成しました。
小野寺さんが就職できた背景にあるのは、
総社市が2017年5月に達成した
「障害者千人雇用」政策。

2011年、およそ180人だった障害者雇用を
1000人まで増やしたのです。
しかし、達成までには大きな壁も。

片岡市長「(政策スタート)当時は
就労斡旋権というものがハローワークの
職員さんだけのものだったと
いうところで
障害ある方の情報を我々が
一番よく知っている
んですが、
知っている我々が就労のお手伝いをできないポストに
あるというのが、ものすごく大きな壁ですね。
板谷「一番の壁ですね。」

一般的に障害者雇用を担うのは、
国の機関であるハローワークです。

一方で、障害者に関する情報は
市の福祉課が多く持っていました。

しかし、両者は情報交換ができず
障害者雇用は進まなかったといいます。

そこで総社市は、ハローワークと協定を結、
障害者雇用を担う「障がい者千人雇用センター」を設立。
それぞれ職員を派遣しました。

そして、障害者の千人雇用を目指し
雇用してくれる企業の開拓と、
採用後のアフターケアに力を入れたことにより
雇用が進んでいったのです。

企業開拓を担った、前田光彦さん。

前田さん「お世話になります。
いつもお世話になっております。


ねらいは従業員50人未満の会社でした。
というのも実は法律では、
従業員50人以上の企業にのみ
障害者雇用の義務を課しています。

しかし、総社市内にある2000以上の企業のなかで
従業員50人以上の所はほとんどありません。
障害者雇用を増やすには、
雇用義務の「ない」企業に
協力してもらわないと
難しいのです。

どうやって協力を得たのでしょうか。

前田さん「訪問の会社だけなら200社以上、
地道に回らして頂きました。
たくさん色々な企業さんと顔を合わせて、
仕事の内容とかを見
せて頂いて、この方なら、
もしかしたら力を
発揮できるのではないかということを
踏まえ
て、色々探している形ですかね。」


企業のニーズと障害者の個性をマッチングさせることで、
中小企業でも雇用者数は伸びていきました。
千人雇用センターが重要視するもう一つの取り組みが
障害者を雇用した企業へのアフターケアです。

関係長「
こんにちは。どうぞ。」
職員「○○さんのことが気になっていたんですよ。」
関係長「今実際フルタイムで本人も
"頑張れます できます"ということで
(ハローワークと千人雇用センターが)
一緒に
なって問題解決に取り組んで頂いています。」


企業の様々な相談に乗ることで、
障害者の長期雇用を
目指しているといいます。

さらに、総社市が独自に運営する
乗り合いタクシーも障害者雇用を後押ししています。

電話で予約すれば家の前に迎えに来てくれて
職場まで送ってくれる仕組み。
料金も200円からと格安で、
特に体の不自由な方達の通勤を支えていました。

2016年から、金属加工会社で働く小野寺さん。
その姿に、母親の由紀子さんは...

由紀子さん「最初はちょっと想像が
出来なかったですね。
すごいと思いますよ。」

(Q.最近嬉しかったことは?)
由紀子さん「母の日に食事をおごってくれたことかな。
やりくりしているなかで、おごってくれたのはうれしかったですね。


様々な改革が実を結び実現した障害者千人雇用。

この総社市の取り組み、
他の自治体にも
波及していきそうです。

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