板谷由夏 LIFE

2017年11月30日

「子どもの貧困と保育」

訪ねたのは、子どもと2人で暮らす母子家庭。

伊藤さんは、女手ひとつで3歳の娘を育てています。

2年前、介護の仕事中に体を壊した伊藤さんは、
持病の薬と精神安定剤がかかせない毎日。

それでも、子どもを保育園に預け介護施設で週4日、パート勤務。
月収と養育費を合わせるとおよそ12万円。
家賃や保険などをひくと、残るのは2万円ほどです。

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伊藤
「バラ売りのニンジンを買いに行ったんですけど、
 1円足りなくて買えなかった時があって、虚しいというか...
 常にお金のことを考えなきゃいけない。
 いつも1本の糸で気持ちがつながっている感じ。」

板谷
「細い糸で。」

毎月、ギリギリの生活。
服やおもちゃなど家にあるもののほとんどが、もらいもの。
切り詰めても家計は苦しく、紙おむつも節約しているといいます。

伊藤
「あっ、ちっち出てるな。」

オムツの交換は、おしっこを2、3回したあと。
買えない時には、はだかで過ごさせ、床を掃除して、すませることもあるといいます。

この日の夕食は、カレーです。
具材は大豆と白菜だけ。

「いただきます」

厚生労働省によると、いま、子どものおよそ7人に1人が
貧困に直面しているといいます。
中でも乳幼児の時期は、心と体の発達に大きく影響するため
支援が重要だといわれています。

そこでいま、改めて
注目されている場所がありました。

板谷
「こんにちは。」

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訪ねたのは、国の基準を満たした認可保育園。
伊藤さんのような家庭は無料で優先的に入園できるといいます。
 
あまり知られていませんが、
認可保育園には、困窮家庭を支える役割があります。

園長
「今は町じゅうどこでも(認可)保育園がある。
 そのどこもが福祉施設であることを知ってもらいたい。
 そこに行けば、誰かが何かを教えてくれるし
 助けてくれるっていうのが保育園だと思う。」

認可保育園は児童福祉施設の1つ。
子どもの保育だけでなく、必要に応じて親や家庭に
アドバイスや支援を行う場所でもあります。

こちらの保育園では、
どんな取り組みを行っているのでしょうか。

子どもたちが登園する時間。
子どもを預ける親に、お願いしていることがありました。
書いているのは、日課表。
朝食の有無や睡眠時間など子どもの状態を確認するものです。

事情によって、朝食がとれなかった子どもには、
特別に、おにぎりを提供することも。
確認するだけでなく、生活支援を行っています。

そして、保育と同じく力を入れているのが親の支援。
送りだしの時には、育児の話を聞き、
親の不安解消を心掛けているといいます。

保育士
「パパのこと嫌いって言うこともあるけど、嫌いで言ってるわけじゃない。」
父親
「嫌いではないと思うんですよね。」


しかし、中には時間がとれない親や
家庭のことをあまり話したくないという人もいます。

そこで、普段は子どもの様子を報告する連絡帳に
親にあてたメッセージを書くことも。

仕事が忙しく、疲れてイライラしがちな母親の様子に
気づいた保育士は...

土曜、おやつまで
こどもたちをあずけてリフレッシュしませんか?
お母さんが心配です。

親の支援は、子どもの成長を支える大切な取組みです。

先週、保育園に1人の母親が訪ねてきました。

田中
「こんにちは。」
園長
「お久しぶり。」

去年、この保育園を卒園した
小学1年生の娘をもつ田中さん。
こちらの保育園では、卒園後も子育ての相談に訪れる親も多いそうです。

田中
「いじめてくるというか叩いたりしてくる子と
 一緒に遊んだりしてて大丈夫かなと。」
園長
「あんな子は嫌とか線引きして距離をとるんじゃなくて、
 どうしたらいいんだろうって考えてるんじゃないかな。」

心配事を相談できる場所があることで、気持ちが楽になるといいます。

実は、田中さんは2年前、難病を患い
仕事も、子育てもままならない状態に。
しかし、保育士に相談したことがきっかけで生活保護を受け、
ギリギリの生活から抜け出せたといいます。

それでも当時は、保育士に相談することに、抵抗があったそうです。

板谷
「ご自身のSOSは言いづらかったりした?」

田中
「他の人に迷惑かけたくないとか
 自分でなんとかしなきゃという気持ちが強いので自分からはいいにくい。」

板谷
「それを気づいてくれた先生たちがいたってこと?」

田中
「そう。病気になってから朝、関節が痛くて起きられない。そういうのも言ったら、
 「家まで迎えに行くよ」って言ってくれた。」

頼る人もなく、病気で、
送り迎えができなくなった田中さん。
特例で、保育士が送迎をサポートする中、
生活保護の申請をしたそうです。

いまは、経済的にゆとりができ
子どもとの時間をできるだけつくれるようになったといいます。

田中
「子どものことを1番大切に思うなら
 (人に)話すのが1番いいなってことに気づきました。」

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