髙橋大輔 SPOTLIGHT

2017年5月11日

作家・辻村深月さん

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この日伺ったのは、都内にある辻村さんの自宅です。

特別に執筆部屋を見せて頂きました。

■辻村さん
「こちらが仕事をしているところなんですけど」

■髙橋
「結構物が少ないですね」

■辻村さん
「物があると片付けたくなっちゃうんですよね」

2012年小説「鍵のない夢を見る」で
第147回直木賞を受賞した辻村さん。

吉川英治文学新人賞を受賞した「ツナグ」は
松坂桃李さん主演で映画化されました。

これまで実に7作品がドラマ・映画など映像化され、
さらに3つの作品が漫画化されているのです。

執筆中にはこんなこだわりがありました。

■髙橋
「普段書かれているとき音楽は聞いたりするんですか?」

■辻村さん
「私はコーヒーを飲むことと、自分の好きな音楽
かけている方が割とのって書けるので」

辻村さんが集中するためにかける曲はというと...
筋肉少女帯の「カーネーション・リインカネーション」

■髙橋
「本当にこれを!はは、笑ってはだめなんですけれども、
この激しい感じの曲で書けるっていうのは
全く想像できないですね」

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■辻村さん
「『筋肉少女帯』とか『特撮』っていう
大槻ケンジさんのヘビメタがすごく好きで、ずっと
聴いてきたから今になると環境音楽と一緒なんです」

独特な執筆スタイルはこれだけではありませんでした。

本棚を見てみるとお気に入りの漫画や
文章を書く際に参考にする本などの中に、
たくさんのファイルがありました。

■辻村さん
「作品別に残した資料をファイルに
それぞれしているんですけど」

こちらは、「ツナグ」を執筆した時に集めた資料です。

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■辻村さん
「主人公をどういう子にしようかなって思ったときに、
中々決まらなかったところに、ある時
コム デ ギャルソンですごくかっこいいコートを見て
このコートが似合う高校生にしようって思ったら
そこから話が急に動き始めたんですよね」

■髙橋
「文章の中に細かくコートの描写も出てきますよね」

実は、映画化が決まった際、主人公を演じた
松坂桃李さんが着ていたのも
辻村さんがイメージしたコートでした。

数々のこだわりの中から生まれる辻村作品。
最新作「かがみの孤城」では、"いじめ"をテーマに
500ページを超える大作に挑戦しました。

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本の内容は主人公「こころ」は学校での居場所をなくし、
家に閉じこもっている中学生。
自分と同じような境遇の中学生6人と出会います。
なぜ彼らは出会ったのか...
その謎を解いていく青春ミステリーです。

一番最初に書いたという
貴重な「初校」を見せて頂きました。

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■髙橋
「結構修正されてますね」

随所に変更した形跡がみられる原稿。一体なぜかというと?

■辻村さん
「今回の話の場合は
ミステリーの仕掛けの部分があるので、
その秘密に向けて整合性を合わせるので
修正したんですけど」

例えば、小説の中で強調されている
「セリフ」については

■辻村さん
「トリックというかいろんなものを明かすときに
キメの一言みたいなのが真ん中にある方がいいのか、
端にある方がいいのか、それともページをめくったときに
その言葉があった方がいいのか、
そうやってバランスを見ていったりとかしたので」

編集者との打ち合わせを取材すると
更なるこだわりがありました。

この日は、印刷所にまわす前の最終チェックの日。

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しかし、かばんから取り出した原稿には沢山の
付箋がつけられていました。

■辻村さん
「"からだ"がどっちがいいんだろうと思って、
『身体』って大人の小説によく出てくる漢字だから」

■辻村さん
「例えば、"蹲る(うずくまる)"とか
字で見るとすごいインパクトなんですよ。
本当に大変なことがおきちゃったんだという感じを
出したいので今回は漢字にしています」

なぜ、いま"中学生のいじめ"を
テーマに作品を書いたのでしょうか?

■辻村さん
「一番自分が窮屈さを感じていた時代って
いつだろうと考えると、
やっぱり中学生だったのかなと思ったんですよね。
いじめとか不登校っていう言葉で
書いたことがなかったので、
そこに正面から切り込んでみようという風に思って」

辻村さんは中学時代、数人ずつの班をつくった時に、
自分だけが余ってしまうこともあり、
精神的に苦しい時代だったといいます。

実は、髙橋も「学校生活」に
窮屈さを感じていた一人でした。

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■辻村さん
「中学時代どんな感じだったのかってお聞きしてみたい」

■髙橋
「僕は学校嫌いなタイプだったので、団体生活が苦手で」

■辻村さん
「へー!」

■髙橋
「結構一番教室で強い生徒を見つけて、
嫌われないように過ごしてました」

■辻村さん
「当時ってその教室の中が、全ての生活の場所で、
他のところの関係性がないから
苦しくなっちゃったりする子も
きっと多いんだろうなと思うんですよね」

■髙橋
「確かに学校だけだとそうだと思うのですが、
僕はスケートがあったので"逃げ場"っていうのが
ありましたけどね」

辻村さんにとっての"逃げ場"は
"本"や"漫画"の世界だったといいます。

夢中になれる「何か」をみつけた辻村さん。

「かがみの孤城」では最後に
こんなメッセージを残していました。

『大丈夫。大丈夫だから、大人になって。』

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