2007年02月06日
2月6日(火)科学ニュース「宇宙ごみ」

こちらの画像をご覧下さい。
地球の周りを赤い筋が取り囲んでいます。
これは「宇宙ごみ」と呼ばれるものです。
先月中国が、自分の国の古くなった気象衛星を
ミサイルで破壊した際に生じました。
緑色の線は「国際宇宙ステーション」の軌道です。
赤い線の宇宙のごみの軌道と交わっている所があります
実はいま「宇宙ゴミが国際宇宙ステーションとぶつかるのではないか」
と懸念されているんです
しかし、今回この画像をお届けするのにはもっと別の理由があります。
中国の破壊実験は一見「ハイテク」な宇宙技術を
使ってミサイルを飛ばしたのではないかと思われていますが
実際は「ローテク」です。
これは衛星を飛ばす事のできる国であれば
どんな国でもできるような簡単な実験だったんですね
なぜそんなことをしたかと言うと、
軍事的に中国がアメリカを牽制したんです。
アメリカはハイテクな軍事システムを持っていますが
それはハイテクな軍事衛星に支えられています。
しかし中国は「ローテクでもアメリカの衛星を
撃ち落とせるぞ」と脅しをかけたんです
それに対してアメリカは、対抗手段を取りました。
それがこの画像なんですね、
これを世界中に配信することにより
「中国は宇宙ゴミをばらまいて悪いことをしている」
という印象をつけようとしたんです
この背後には米中のすさまじい軍拡の覇権争いがあったということなんです
>>>放送追記
宇宙ゴミを撒き散らして中国はけしからん、というのは一面の真実だが、
たとえばNewScientist(2007年1月27日)の囲み記事などをみていると、
どうやら、中国の衛星破壊実験には別の側面があることは、
軍事アナリストにとっては周知の事実らしい。
比較的大きな宇宙ゴミだけでも、中国の実験以前に7000個も確認されており、
今回の中国による517個だけを強調することは、
報道がアメリカの思惑どおりに動かされていることを意味する。
実際、1982年には旧ソ連、1985年にはアメリカが衛星破壊実験を行っているのだ。
宇宙の平和利用については、国連で議論すべきだが、
ブッシュ政権は、かたくなに交渉を拒んできたのだという。
そして、アメリカでは、今年だけでも10億ドルの予算で
対衛星レーザー兵器の開発が進められている。
苛立ちを募らせた中国による衛星破壊実験には、きわめて政治的な背景が存在する。
***
とはいえ、このような事情により
中国の実験が正当化されるわけではないことも強調しておきたい。
衛星の破片は秒速8キロから10キロという猛スピードで飛んでいる。
ピストルの弾の数倍という速さである。
仮に大きさが1cmの小さな破片が国際宇宙ステーションにぶつかったとすると、
その衝突エネルギーは、普通乗用車が時速50kmで直撃したのと同じくらいになる。
(もちろん、1cmの破片ならば、宇宙ステーション全体を破壊するのではなく、
貫通することになるだろうが。)
なぜ、国際宇宙ステーションを巻き込む軌道に
破片が飛散する可能性を中国が予見できなかったのか、
あるいは、わかった上で故意とそうしたのか、疑問が残る。
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宇宙の覇権について、中国(の国民あるいは指導層)には、
日本人には理解できないほどの思い入れがあるように見える。
たとえば、2005年10月18日の中国外交部の定例記者会見でも、
中国の有人宇宙船「神舟6号」の帰還に合わせて(当時の)小泉首相が靖国神社を参拝した、
というような論調がみられるのだ。(ttp://www.china-embassy.or.jp/jpn/fyrth/t217276.htm)
宇宙についての考え方が日本と中国とでは大きく異なることはあまり意識されていないが、
政治ニュースを読み解く際にも、このような「科学」の視点がポイントになることは意外に多い。
日本では「科学」が「軍事」と結びつくとアレルギー反応がみられるが、
それが、世界各国に共通のイメージとは限らないのだ。
今回のニュースでは、あえて「背景分析」に踏み込んでみた。
今後も、竹内流の「一歩踏み込んだ分析」を交えて科学ニュースをお届けしたい。
(もちろん、楽しい科学ニュースの場合は、弾けて楽しみましょう!)
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