2010年09月06日
イチメン 2010年9月6日 多剤耐性菌
スーパー細菌は世界中で確認され、死に至るケースも起きています。
これまで確認されている国はヨーロッパや北アメリカなど10か国以上。
新たに、日本でも確認され警戒が強まっています。
“スーパー細菌”とはどういうものなのでしょうか?

そもそも、細菌は人の体の中で分裂によって増殖します。

この通常の細菌に対し抗生物質を使うと、

増殖を抑えられます。

しかし、今、問題となっているスーパー細菌はNDM-1という遺伝子を持っています。

この遺伝子があると、ほぼ全ての抗生物質が効かず、

抗生物質を投与しても増殖し続けます。
さらに、NDM-1には怖い特徴があります。

これまで見つかっているNDM-1を持つ細菌は毒性の弱い大腸菌などで、
体内で増殖しても健康な人に害はさほどありません。

一方、自然界には赤痢菌など強い毒性を持つ細菌がいます。
これまでは抗生物質で増殖を抑えることができました。

しかし、NDM-1という遺伝子は大腸菌から別の細菌にも“移る”可能性があり、
この場合、抗生物質が効かない赤痢菌などになってしまうのです。
では、なぜスーパー細菌のような抗生物質が効かない細菌が生まれるのでしょうか。

例えば、細菌に対し、

抗生物質Aを使ったとき突然変異で

抗生物質Aが効かない細菌だけが生き延びます。

ここで別の抗生物質Bを使うと、再び、突然変異が起き、

抗生物質AもBも効かない細菌が生まれる場合があるのです。

人類はこれまで次々に新たな抗生物質を開発してきました。

しかし、そのたびにその抗生物質が効かない細菌が出て、
まさに「イタチごっこ」の中で、今回のスーパー細菌が生まれたのです。
これを裏付ける興味深いデータがあります。

肺炎などの原因となる肺炎球菌という細菌を調べたところ、
抗生物質の1つ・ペニシリンが効かない菌の割合は、
ドイツでは8%だったのに対し、隣のフランスでは、何と46%。
両国での抗生物質の処方のされ方を見ると
ドイツでは風邪の患者の8%にしか抗生物質を処方しないのに対し、
フランスでは49%の患者に処方するといいます。
つまり、抗生物質を使えば使うほど、
抗生物質が効かない細菌が生まれやすくなるのです。

こうした状況に、先月、世界保健機関=WHOは
各国の政府に対し医療関係者や一般市民に適切な抗生物質の使用を徹底させるよう
初めて勧告するなど危機感を強めています。
投稿者:櫻井翔