2010年10月27日
LIFE~がんと仕事~
今月、小雨がぱらつく中、
がん患者やその家族たちの支援イベントが開かれました。

参加者の1人。八田幸一さん46歳。

がんと闘う八田さんは今、
大きな問題に直面しています。
「9月末に退職になったばかりなんですよ」
将来はどうなるかわからないですよね」
大阪の自宅で、母親と2人暮らし。
8年前、社員としてメーカーに勤めていた時、
血液のがん「急性白血病」を発症しました。
八田さんは週に3日ほど、病院に通っていますが、
それ以外は前と変わらない仕事ができる、といいます。
しかし、休職制度なども使い切り
会社の規定にある通勤日数には達しないため
先月、退職せざるをえなくなくなりました。

「いずれそういう(退職)日がくるかもしれないと
思ってたんですけど突然きたものでびっくりですよね」
同じような生活はもうできないですから。
収入が落ちてる分」
治療費や生活費をどう稼げばいいのか。
一度がんを患うと厳しい現実があるといいます。
がん患者403人への調査では、
診断の時点で7割以上が
「今の仕事を続けたい」としています。
それにも関わらず、その内の3割、
95人は転職や退職、
解雇に追い込まれていることが明らかになりました。

専門家は、多くの場合、
体調さえ戻れば元通りに働けると話します。

静岡がんセンター 山口建総長
「早期でみつかれば、今
ほとんどのがんで9割以上は治ります。
がんという病気は他の病気に比べると治ると
完全に社会復帰できる病気なんですね」
また、企業側にとっても、
がんは治療の見通しが立つ場合も多く
対応しやすいはずだといいます。
しかし、社会の認識はまだ追いついていません。
一度会社を辞めると次の仕事を探すのは
さらに大変だといいます。

会計事務所に勤める
山下さん27歳。
卵巣のがんと闘っています。
板谷 「何年目になる?お仕事は」
山下さん 「3年、ちょっとです」
板谷 「どうですか?職場は」
山下さん 「病気のことも理解してくれているので
働きやすいです」
だんなさんと2人暮らしの山下さん。
今の仕事に就くまで、がんのために、たくさん
悔しい思いをしてきました。
板谷 「最初にがんという病気が
わかったときのことを
話してもらっていいですか」
山下さん 「がんが分かったときは
19歳の時で大学2年生だったんですけど」
出来れば休学とかしたくなかったんですね
留年もしたくなかったので
その時は必死で走り続けた感じですね」
抗がん剤の治療で、
激しい吐き気に襲われつつも4年で大学を卒業。
一度は夢だった食品関係の会社に
就職しましたが思うように通院できず、がんが再発。
辞めざるをえない状況になりました。
苦労したのが再就職活動。
その履歴書を見せてもらいました。
山下さん 「すごい悩んだんですけど」
今後も通院もしないといけないから病気のことは
伝えなくてはいけないと決めてたんですよ」
板谷 「再就職先には病気のことは
最初から伝えるという風に決めてたんだ」
山下さん 「それをどう伝えるか、いきなりダイレクトに
『がんで2回も再発しています』なんて書いたら
絶対引いちゃうし…」
その履歴書には、
『体を壊して平成18年5月下旬より
休職していました』とあります。
がんを公表しての活動では、
再就職先はなかなか見つかりませんでした。
山下さん 「ハローワークの人からも
『完全に病気がよくなってから
(仕事を)探したら』って言われちゃって、
通院が必要な状態で就職するということを
あまり考えてもらえなくて
治療がおわってしまえば普通に動けるのに、
ずっと家にいるっていうのが
本当に孤独なんですよね」
板谷 「仕事をしていくってことは山下さんにとって
どういうことなんだろう?」
山下さん 「社会から切り離されて家と病院だけの生活っていうのが
すごいつらくて、仕事があるってだけですごい」
がんを公表して、再就職活動をしてきた
山下さん。
ようやく見つかった
今の勤務先では、自分のペースで
仕事を進めることができます。
会社と交渉し、月に2回ほど
仕事を早くきりあげて通院しています。
山下さん 「いずれ通院の頻度も下がっていけば
より普通の人に近づけていくので
このまま(この生活が)続くといいなと思っています」
山下さんは、治療費を自分で稼ぐことが
「生きる自信になる」と話してくれました。
こうした働きたいがん患者を支援しようと
患者団体が立ち上がりました。

この団体は相談を受け付けたり、
がん患者向けの求人登録サイトを紹介するなど、
「患者の自立」を目指した事業を行っています。

株式会社 キャンサー・ソリューションズ
桜井なおみさん
「病気とかを受け入れる風土がある職場を
作っていかなくてはならないと思います
社会の中で自分の存在証明をしていくこと、
それって仕事なんですよね。
この世代にとっては。
なのでその場、自己表現をする場所を
奪わないでほしい」
あの山下さんも、
たくさんのがん患者の前でこう訴えました。
山下さん 「がん患者だって夢とか
目標は持ちたいです。
でもその夢とか目標が
がんだからという理由で認められないのは
もったいないと思います。
がんになっても普通に働ける社会に、
がんでも堂々と生きられる世の中に
なってほしいと願っています」
山下さんには、次の目標があるといいます。
板谷 「これからの社会に求めるものとして、
がんという病気とつきあいながら
仕事をしたいという人って
たくさんいると思うけど
夢ってありますか?」
山下さん 「夢は、社会保険労務士っていう
資格を去年試験を受けて合格して」
板谷 「どこまでがんばりやさんなの~」
山下さん 「そのエネルギーは悔しさからきてるんですよ。
がん患者が仕事を探すのも大変だし、
就職してからも大変でいずれは病気を抱えながら
仕事をしたい人のサポートが
出来るようになれたらいいなと、
夢です。」
投稿者:板谷由夏