2010年12月23日
LIFE~がんと心~
今月。
私は、がんと闘うお母さんに会いにいきました。

板谷 「こんにちは」
のんままさん 「こんにちは」
乳がんと闘うのんままさん43歳。
上は18歳から下は1歳まで
3人の子どもを育てるお母さんです。
この日は一番下の娘、”のんちゃん”と一緒に、
旦那さんの単身赴任先へ遊びに来ていました。

待望の女の子、のんちゃんが生まれたのは去年9月。
しかし、そのわずか7か月後、乳がんが発覚しました。

板谷
「がんという病気が見つかったときのお話を
させていただきたいんですけど」
のんままさん
「一番最初しこりを見つけたときはね、
すごい大変なことになってしまったって
この子のことがすごく気になってね、
もしこれで本当にがんで命をなくすようなことがあったら
どうなるんねやろうってそれがまず頭に浮かんで、
どんな治療をしても、腕きっても胸きっても、
治したいっ ていうのが頭の中によぎったんですね」
すぐに3週間に1回の抗がん剤の治療がはじまりました。

”のんちゃんのためにがんを治したい”
副作用で体がつらくなっていく中、
この思いは”心の病”へと変わっていきました。
そして、ことし8月。医者から
”うつ状態”と診断されました。
板谷
「具体的に教えていただいていいですか?
どんな症状があったのか?」
のんままさん
「一番最初は不眠から始まったんですよ。
不眠になって眠れないから
いろんなことを考えてしまうからってことで
お薬をいただいて、本当につらくなってしまったときに
10錠どんって飲んでしまって、
みなさんに迷惑をかけました」
これはのんままさんの闘病日記。
板谷 「細かく書いてあるんですね」
のんままさん 「最初の方は特にしんどかったので」
がんを受けとめきれず、
心を病んでいく様子がつづられています。

”お風呂で髪が抜けるのを見て泣いた。
嫌だ、嫌だ…。とにかく嫌だった”
”ねむいが ねむれない”
”何もしたくない”
一時は自分の腕を傷つける
”自傷行為”をするまでになってしまいました。
のんままさん
「体の抗がん剤で弱ってきてるのと同じように、
気持ちも同じようにこう」
板谷
「沈んで」
のんままさん
「沈んでいってしまって、やる気もなくなってしまって、
今まではこの子のために頑張って
治療するぞって思ってたのが、
もう抗がん剤するのもしんどいからいや、
体が痛いのも嫌だし、死ぬのも嫌、
もう元の体に戻りたいって
ずっとそう言う風に思うようになってしまって」
板谷
「のんちゃんがいることできっと救われるんだけど、
のんちゃんがいるのに私何しているんだろうって
同時にあるというか。」
のんままさん
「その通りです」
本当にひどい時は、生まなかったらよかったって
この子につらい思いをさせるんだったら
生まなかったらよかったっていうぐらい」
徐々にがんと闘う意欲も
失っていったのんままさん。
夫は単身赴任のため
自宅にはほとんどいません。
夜中、のんちゃんの世話をしていると
どうしようもない不安な気持ちが襲ってくるといいます。

眠れず、長い夜に考えてしまうこと。
それは、「死」について。
そして、残されてしまうかもしれない
子どもたちについて。
やり場のない恐怖で、
心はむしばまれていったのです。
のんままさんが「心の病」の
診察を受ける奈良県立医科大学付属病院。
訪れたのは「緩和ケア外来」です。

がん患者の「体の痛み」を和らげるだけでなく、
「心」の状態にも目を向け診察を行っています。
緩和ケアセンター
高橋正裕医師 「調子は?」
のんままさん 「絶好調です」
「OK、ええやん」
治療の度に帰省してくれる
だんなさんと一緒に不安な気持ちを聞いてもらいます。
今の心配は春に予定されている手術のこと。
のんままさん
「手術とかで体に痛みがきたときに
また一体化して体と心が一つになって
どんって(うつが)くるときもくるんちがうかなって
ちょっと不安なんですけど」
緩和ケア認定看護師
金井恵美さん
「先を思って不安になっちゃうよね」
毎回30分以上、
医師や看護師によるカウンセリングを行い、
必要な場合は薬を出してもらいます。
精神科の専門的な治療も
同時に受けることで、心は徐々に回復してきています。
のんままさんのように
心の病気も発症しているがん患者はおよそ3割。
ただ、専門医でないと、見落としやすいといいます。
がんの症状や抗がん剤の副作用には、
不眠やだるさ、食欲低下などがあります。
しかし、これらの症状は
”うつ”と重なっており、
心の病気とは気づきづらいのです。

ことし、聖路加国際病院では
がん患者や家族の「心のケア」を専門とする
診療科を導入しました。
患者や家族の「心」を専門にみる”精神腫瘍科”です。

湊谷敦子さんは、
乳がんとうつ、2つの病と闘っています。

この日の診察は、がんになって良かったことと
悪かったことを書き出し、頭を整理していきます。
聖路加国際病院 精神腫瘍科
保坂隆医師 「実際にがんにかかって
よかった点はどういうこと?」
湊谷さん 「一つはまわりの人が私のことを
こんなに大切に思っていてくれたのか気づいたこと」
ここでは、薬で治していく方法だけでなく、
否定的な考え方を変えていく
”心理的な方法”も重要視しています。


聖路加国際病院 精神腫瘍科
保坂隆医師
「(がん患者が)精神的な病気を合併すると、
どうしても引きこもりがちになったりして、
治療に対して積極性がなくなってしまうと
いうのも一つだと思うんですね」
医療で働いているすべての方たちが、
心のケアに関心をもって、そういう技術を、
あるいはサービスを提供するようになったら、
もうちょっとこの精神腫瘍(がん患者の心のケア)
というのは広まるのかなって」
乳がんとうつ、2つの病と闘うのんままさん。
今、心の状態は安定し、
がんの治療に前向きにとり組んでいます。
家族はどうみているのでしょうか。

のんままさんの長男
「うちの母親は表面上に
人に迷惑をかけないためだと思うんですが
全然ださないんですよ。
1人で泣いてしまうタイプなんで、
もう最初はそれがそれがすごい心配でって思ってました」
(がんを)治してほしい。
そのためだったら、何でもするつもりです」
のんままさん
「お母さんちょっと涙が・・・
そこまで考えてくれてたとは思わなかったから」

のんままさんは、
うつで落ち込んでいるとき、
将来のことを考えるのは怖いと話していました。
でも今は、生きるための目標があります。
板谷
「これからの夢、これからやりたいこと希望、
ご自身がおもわれてることがあったら
お話をしていただいていいですか」
のんままさん
「夢はね、のんちゃんがね大きくなって、
お母さんになってあかちゃんが生まれたときに
やっぱり一緒にお世話してあげたいな、
妊娠中も見守ってあげたいなって思うので、
とりあえずは20年以上は
生きないといけないじゃないですか」
板谷
「いいおばあちゃんになりたい?」
のんままさん
「そうですね。
お兄ちゃんたちははやく
結婚してくれると思うんですけど
やっぱり一番小さなのんちゃんが
成長するまでは頑張っていきます」

がんは胸の筋肉にも転移しているため、
手術をすると腕の力がなくなるかもしれません。
でも、のんままさんはこういいました。
”そうなったらリハビリを頑張ります。
のんちゃんを抱っこするために”

投稿者:板谷由夏

























