2011年08月26日
LIFE 2011年8月26日 ~震災後に生まれた子供たち~
宮城県・石巻市。
津波被害の大きかった渡波地区で
子育てしている女性を訪ねました。
板谷「こんにちは。板谷と申します。」

須田梨花(りか)さん(22歳)。
震災の2週間後に生まれたひなちゃんと
1歳のみくちゃんのお母さんです。

須田さんの家は、津波で1階が浸水。
大きなお腹を抱えながら、泥を出す作業をしました。
通っていた産婦人科は津波の被害に。
別の病院での出産となりました。
須田さんの子育てには、今も震災の影響が…。
須田「1日中、何かを食べさせてる感じなんですよ今。」
板谷「それはどうして?」
須田「地震がきて津波警報がきて、逃げるってなっても、
もしまた同じような事が起きてしまっても、お腹空かせてるよりは、
少しでも入ってた方がいいと思うんで。」
板谷「ついつい食べさせちゃうんだ。」
この自宅は、全壊の判定を受けていますが、
修復して住んでいます。
津波注意報が出る度に、避難する生活。
家の中には、浸水した跡が今も壁に残ったままです。
午後4時半。
須田さんは毎日、この時間になると、向かう場所があります。
「こんにちは。」

やってきたのは、お弁当の配給場所。
家族5人分を受取ります。
食事のほとんどを配給で賄っている須田さん、
今、1番の心配事は…。

須田「今月いっぱいみたいですね。配給が。」
板谷「打ち切られる事への不安は、ありますか?」
須田「不安ですね。旦那が仕事ないので、買い物もどうしようかなっていう感じですね。」
夫は、働いていた工場が被災したため、解雇されました。
今も仕事探しを続けていて、経済的な不安を抱えながら、子育てを続けています。
3月11日の地震発生直後に出産した、女性を訪ねました。
板谷「こんにちは。初めまして板谷です。」

堀内ひと美さん(32歳)。
陽仁(はると)くんを出産したのは…。
震災から12時間後のことでした。
堀内「避難した小学校の保健室で、出産しました。
その場にいた看護師や教室を回った時にいた助産婦に手伝ってもらって
無事に出産できたという状態です。」
堀内さんが一時避難し、出産した小学校。
震災当時、津波が校舎を襲い、1階が浸水しました。
避難してきた人でうめつくされていた保健室。
余震と停電が続く中、
懐中電灯の明かりだけを頼りに、
陽仁(はると)くんは産まれました。

堀内「陽仁が産声を出した時に皆で拍手してくれて
おめでとうって言ってくれたんですね。
それが今でもありがたいなって。」

堀内さんは、会社を経営する夫と3人で暮らしています。
この自宅も当時、一階が浸水しました。
板谷「今の生活はどうですか?」
堀内「当初に比べては全然、普通の生活に戻ってきてる。
ただ、余震がなくなればいいなって。」
その直後のことです。
板谷「地震だ…。」
さらに、30分後にも…
「ガタガタガタ。地震、地震…。」

板谷「余震多い。こういう状態ですか?」
堀内「そうですね。最近、特に増えてきました。」
板谷「常に余震が隣にあるというか、恐怖が隣りにあるという状態ですよね。
毎日がね。」
堀内「この余震がなくなってくれれば、本当の生活に戻れる感じだと思いますね。」
仮設住宅で子育てしている女性を訪ねました。
板谷「こんにちは。」
佐々木恵美さん(31歳)。
震災の5日後に和奏(わかな)ちゃんを出産しました。

佐々木さんは地震発生後、大きなお腹を抱え、歩いて避難所を目指しました。
瓦礫の山を越えるのを、見知らぬ人が助けてくれたそうです。
そして、ヘリコプターで病院に搬送され、出産しました。
助け合いができる子になって欲しいと
「和」という文字を入れた和奏(わかな)ちゃんと名付けました。
佐々木さんの家は、津波で全壊。
仮設住宅には夫と3人で暮らしています。
震災前は、3世帯7人で暮らしていましたが、手狭なため、
他の家族は、別の場所で避難生活を送っています。
佐々木「出産後は8人になるのを楽しみにしてたので、
今回バラバラになってしまって寂しいですね。」

板谷「家族が近くにいないというのは心細いんじゃないですか?」
佐々木「一緒にいればちょっとした相談もできるだろうし。
皆から声を掛けてもらえるんだろうなと思うと…そうですね。」
佐々木さんが暮らす仮設住宅は、市内から車でおよそ30分の場所にあります。
不便さからか、入居率はおよそ半分。
住民同士の交流も、ほとんどありません。
板谷「ここの暮らしは、どうですか?」
佐々木「泣き声が隣に聞こえて迷惑にならないかが(仮設に)入ってすぐ
気になったんで。音にすごく敏感になった。
どこかで洗濯機の音が聞こえたら回し始めたり
掃除機をかけるにしても、皆が始まったと同時にかけ始めて。
周りに合わせて生活するようになりました。」
周りを気にする毎日。
家にいても気の休まる時がないといいます。
子育ての不安と周囲に気を遣う生活。
佐々木さんの体にも異変が…。
佐々木「左の耳が耳鳴りしていて、聞こえが悪くて
1日中飛行機が飛んでる様にゴーッと耳鳴りがしてます。」
治療を続けながら子育てしている佐々木さんに、今の願いを聞きました。

佐々木「早く皆で住めたらいいなと思いますね。」
投稿者:板谷由夏