2013年03月05日

イチメン 2013年3月4日 震災孤児

2013030401.jpg 2013030402.jpg

宮城県、女川町(ちょう)に住む中学3年生の佐藤亮太くん。

この日、震災で亡くなったお母さんに報告がありました。

2013030403.jpg

亮太くん「高校に受かりました。みなさんのおかげです。ありがとうございます。
      高校に行っても頑張ります。宜しくお願いします。」

2013030404.jpg

母親の美和さんは、亮太くんを女手1つで育ててきました。

2013030405.jpg 2013030406.jpg

しかし、2人が住んでいた家は津波で全壊。

2013030407.jpg

美和さんは波にのまれ、亡くなりました。   

2013030408.jpg 2013030409.jpg
       
震災前から野球に打ち込んできた亮太くん。
そんな亮太くんをいつも応援してくれていたのはお母さんでした。
その期待に応えたいと、進学する高校は野球の強豪校を選びました。

2013030410.jpg 2013030411.jpg

亮太くんを引き取り、親代わりになったのは、
美和さんの弟・叔父の広樹さんです。

私が2人と出会ったのは、去年の5月。
震災で親を亡くした子供を支援するNPOの活動に同行した時のことです。

どんな生活をしているのか、聞き取り調査に向かいました。
里親の広樹さんが営む旅館で、話を伺いました。

2013030412.jpg

NPO野川さん「今は、部活が終わって家に帰って、勉強時間はズバリ?」
亮太くん「15分です。15分から30分です。」 
       
震災から1年がたち、2人は家族の絆を築こうとしていました。

震災後、初めて一緒に暮らし始めた2人。
広樹さんは、亮太くんと過ごす時間を少しでも長く作ろうとしていました。

2013030413.jpg

亮太くん「仮設やだ。隣の声が聞こえるから。」
広樹さん「どこ行くの?」
亮太くん「俺がでっかい家建てる。」

亮太くんの広樹さんへの気持ちは変わり始めていました。

2013030414.jpg 2013030415.jpg       
亮太くん「自分の好きなことをやれば、応援するからって(広樹さんに)言われて。
      そこがきっかけで心開けるようになった。」
櫻井「そしたら自分も少し楽になった?」
亮太くん「はい」
      
しかし、亮太くんを支える広樹さんは、当時、複雑な思いを抱いていました。

櫻井「難しさを感じることはありますか?」

2013030416.jpg

広樹さん「自分も初めてでどれが難しいかわからない。毎日が難しいので。」

親としてどう接したらいいのか、戸惑いを感じていました。


2013030417.jpg

震災からまもなく2年。2人の関係に変化がありました。

亮太くん「ただいま」
広樹さん「おかえり」

4月から家を離れ、寮生活を始める亮太くん。
その前に共同生活のルールを広樹さんは伝えようとしていました。

2013030418.jpg 2013030419.jpg

広樹さん「なんだこれ?いつも言ってるでしょ。ダメでしょ。」

自身も津波で母親を失った広樹さん。亮太くんに厳しく接します。 

2013030420.jpg

広樹さん「ちゃんと片付けなさい」
亮太くん「はい」

2013030421.jpg
    
さらに、宿泊者も利用する洗濯機のある場所は、
亮太くんの洗濯物でいっぱいでした。

2013030422.jpg

広樹さん「みんなが使うの。ちゃんと干しなさい。
      干し台があるんだから。寮で怒られるよ」
亮太くん「はい」

亮太くんと暮らし始めて2年、広樹さんにはもう、迷いはありません。

2013030423.jpg 2013030424.jpg
     
広樹さん「お母さんがいなくなったのは痛いけど、生活の中でうるさく言う人がいなくなって
      (亮太が)やりたい放題だと思っちゃうから。徹底的に指導してる最中。
      なんだろうこの人って今は思われても、
      10年後20年後になった時に気付いてもらえればいい。」


卒業式の2週間前。

2013030425.jpg

亮太くんは友達と一緒によく遊んだ思い出の場所に向かいました。

これまで海に近づくことを避けてきた2人。震災以降、初めてやってきました。

2013030426.jpg

亮太くん「2年早いね。変わるもんだねこんなに。
      爆弾落ちたあとみたいだったのに。」
友だち「うん」
亮太くん「前に戻りたいね」

震災のことも、2年たって、ようやく話せるようになりました。

                
しかし、亮太くんには、震災以降、
ずっと悩まされていることがあります。

2013030427.jpg

夜、旅館の外へ向かいます。
貯水タンクの様子を確認するのは、亮太くんの日課です。
しかし…

2013030428.jpg

亮太くん「いやぁおっかねぇ」
         
実は、暗闇が怖いのです。
停電が続いていた震災直後のことを思い出してしまうと言います。

2013030429.jpg

亮太くん「異常なし」
広樹さん「ご苦労さん」

亮太くん「おっかなかった」
広樹さん「自分に勝つんでしょ」
亮太くん「帰ってこれたから勝った。」

広樹さん「また明日からも頑張って」
亮太くん「頑張ります。明日からも宜しくお願いします」

2013030430.jpg

暗闇への恐怖心は高校の寮に入るまでに乗り越えたいと考えています。

この場所で生活できるのも、1ヶ月をきりました。

2013030431.jpg

亮太くん「おっかあ いなくなってから1番優しくしてくれたのはお兄(広樹さん)だし、
      悪い事して怒ってくれるのはお兄なのでお兄と離れるのは寂しい」

寂しさを前向きな気持ちに変えさせたいと、
里親の広樹さんが、ある場所に連れ出しました。
        
2013030432.jpg

向かったのは、進学先の野球部の練習場。
去年の夏の県大会でベスト4入りした強豪校です。

野球を頑張る自分を、応援してくれた
母親の期待に応えたいと、この高校に決めました。

2013030433.jpg

亮太くん「今以上に練習しなきゃいけないし、
      みんなに負けないくらい自主練しなきゃいけないし、やることがいっぱいある。」
広樹さん「おれがいない中でやっていかなきゃいけないんだから。
      普段の生活もちゃんとしないと野球もできないしね。」

亮太くんが巣立った後、いつの日か、広樹さんには、
かけてやりたい言葉があります。

広樹さん「いい所は、今度はほめてあげたいな。
      ほめる人はあっちにはいないでしょうから、そのバランスが保てれば、
      亮太本人はもっともっと伸びるんじゃないかなと思います」

投稿者:櫻井翔