「桃子さんには、もう会えません」――。理想のホテルの実現を夢見ていた韓国の財閥御曹司キム・ミンソク/青木照(志尊淳)は、養母・キョンファ(キム・ジュリョン)に刺されて大けがを負い、車椅子の生活に…。周りの助けがなければ生活できなくなってしまったミンソクは、愛する河瀬桃子(仁村紗和)のために何もしてやれない自分自身に耐えきれず、桃子に一方的に別れを告げ、日本を離れ韓国へ…。
それから1カ月、ソウルの家で養兄・ヒスン(キム・ドワン)と暮らすミンソクは、仕事への意欲も、リハビリする気力もなくし、桃子と約束した“理想のホテルを作る”という夢も見失ってしまう…。
一方の桃子も、ミンソクが日本を去ってから、ちゃんと笑うことができなくなってしまう。桃子に本来の笑顔を取り戻してほしい幼なじみの山城拓人(京本大我)は、ミンソクのスマホに何度もメッセージを送るが…。そんな中、拓人のもとに、ミンソクの実父・青木優(田辺誠一)が訪ねて来て…。
以下、ネタバレを含みます
ミンソクを失って落ち込む桃子に、ミンソクの元婚約者・新海映里(長濱ねる)が連絡してくる。「今度はちょっと長く、日本を離れるから」と報告する映里は、うまく笑えなくなった桃子に、「たまには、私みたいにわがままになってみて。欲しいものがあったら、絶対に取りに行って。どんな手を使ってでも。後で悔いが残らないように」とアドバイスを残し、日本を発っていく…。
その夜、桃子は姉・杏子(入山法子)が買ってきたカップ麺を食べながら、ミンソクと2人でカップ麺を食べた川沿いでのデートを思い出し、たまらず涙があふれてしまう。その涙を受け止めた杏子は「桃子には、心から笑える生き方をしてほしい」と、桃子の背中を押し――。
数日後、ソウルにいるミンソクを、優が訪ねてくる。「どうしても話したいことがあって。少しだけ時間をくれないか?」。23年前に事故に遭って以来、息子である照(ミンソク)に一度も会いに来なかった優。その理由を、照の新しい人生の邪魔をしたくなかったからだと説明していたが、「本当はそれだけじゃない。突然歩けなくなって、父親としてどう向き合えばいいか、分からなかったんだ。息子のためにしてやれることがない自分自身に、僕自身が耐えられなかった」――。優の言葉が、ミンソクの胸を打つ。それは、今のミンソクが桃子に対して抱く気持ちと、まったく同じだったからだ…。『10回切って倒れない木はない』。この言葉を、照を託した親友ジョンフン(オ・マンソク)から教わったという優は、「僕もそう思って生きてきたはずなのに……。僕は諦めてしまった。一番大切な息子と生きることを。そのことを、ずっと悔やんで生きてきた。君には、僕と同じ生き方はしてほしくない。どうか、後悔しない道を選んでほしい」。優の告白を聞き、ミンソクの心にずっと引っかかっていた疑問がようやく解ける。それは、亡くなる直前、自分に何か伝えようとしていた養父・ジョンフンのこと……「父さんは倒れた時、僕に何か言おうとしてた。きっと、あなたが生きていることを、僕に伝えたかったんだと思う。僕たちが会うことを、望んでいたんだと」――。ようやく優と向き合うことができたミンソクに、優も「君を迎えにいかなかったこと、今まで会わずにいたこと……本当に、すまなかった」と涙を浮かべて謝るのだった…。
別れ際、優は拓人からの預かりものをミンソクに渡す。それは『赤ちょうちん』の半額券だった。「また行こうって」と、拓人からの伝言を聞いたミンソクの顔に、ようやく覇気が戻り…。
ミンソクはジョンフンの遺品の中から『10回きってたおれない木はない』の絵本を見つけ、ページを開く。物語は、森の中で暮らす少年・しょうが、森の向こうの美しい原っぱを一目見ようと、友達と冒険の旅に出るというストーリーだった。しかしその道中、大きな木に行く手を阻まれてしまう。しょうは前に進むために、重いオノを両手で持って、大木に向かって振り下ろすが、大木はびくともしない…。2回、3回と、続けてオノを振り下ろす…。やがて9回切っても木を倒すことができずに諦めようとするが、最後にもう1回だけ切ってみようとオノを握る。しかし――『もう1回切って倒れなかったらどうしよう』。しょうは怖くなってしまい……。物語がミンソクのこれまでの人生と重なっていく……。静かに絵本の最後のページを開くミンソク。物語の結末を見たその目に、徐々に光が宿っていき――。
決意を胸に空港へ急ぐミンソクの前に、桃子が突然現れる――。「ミンソクさんは、ウソつきです。ずっとそばにいるって約束したくせに。ミンソクさんがいなくなってから、私は私じゃなくなったみたいで。ミンソクさんのせいです!どうしてくれるんですか!」。今まで抑えていた気持ちを、思いっきりぶつける桃子。その思いに、ミンソクも応える。「僕は、僕の存在が、桃子さんの人生の邪魔になることが耐えられなかった。そんな自分が嫌で、そばから離れた。でも、そうなってから、ようやく気付いた。自分が本当に欲しいものに。それは、あなたです。あなたがいないとダメなんです。そばにいたいんです。あなたと一緒にいたい。あなたと生きていきたい。うれしいこと、楽しいこと、つらいことも苦しいことも、全部分かち合って。あなたがあなたでいられるような、居場所であり続けたい。……桃子さん、あなたはずっと僕が探してた、僕の居場所なんです。僕と一緒に、生きてください」――。差し出されたミンソクの手を、しっかりと握る桃子。2人の目の前には、ミンソクがいつか桃子に見せたかった、漢江のユンスルがきらめいていて――。
ミンソクは事件後初めてキョンファに会いに行く。車椅子のミンソクを見て、泣きながら謝罪するキョンファに、ミンソクは優しく「お母さん」と呼びかける…。
それから1年後――。ミンソクはファングムジャパンの統括マネージャーとなり、新しいホテルを開業するため日本で奮闘中。久しぶりの『こども食堂』はバリアフリー化され、車椅子でも楽に移動できるようになったミンソクは、桃子や院長の風見(でんでん)、看護師の美香(みりちゃむ)と一緒に、子どもたちにカレーを振る舞う。ミンソクが盛り付けたドーナツ形のカレーに、子どもたちは大喜び。ちょうどテレビの収録と重なってしまった拓人も、後で駆け付けるという。「いただきます!」と、こども食堂に元気いっぱいの声が響き渡り――。
ミンソクは食堂でひとり、『10回きってたおれない木はない』の絵本を手に取る。その最後のページ。10回目で木を切り倒した主人公・しょうの目の前には、美しい原っぱの景色と、森の仲間たちの笑顔が広がっていて――。
絵本を閉じるミンソクの背後から、「ミンソクさん」と桃子の声。振り返ったミンソクの目に、ミンソクが守りたかった、桃子の陽だまりのような笑顔が飛び込んでくるのだった――。