韓国有数の財閥の養子にして後継者だったキム・ミンソクこと青木照(志尊淳)は、養父キム・ジョンフン(オ・マンソク)の死後、信じていた義兄・ヒスン(キム・ドワン)と養母・キョンファ(キム・ジュリョン)に裏切られ、『ファングムホテルグループ』の社長の座を失墜。すべてを失い、韓国から追い出されるようにして東京にやって来たミンソクは、孤独の中、小さな診療所の医師・河瀬桃子(仁村紗和)と『こども食堂』の児童たちの優しさに触れ、我慢していた涙がついにあふれてしまう…。
「何か、あったんですか?」とミンソクを心配する桃子。「いえ、何も」と無理に笑顔を作るミンソクに、桃子が思いがけない言葉を口にする――「私、ずっと大切にしてる言葉があって。『10回切って、倒れない木はない』。諦めそうになった時、いつもこの言葉を思い出すんです」。桃子の言葉に、驚くミンソク。それは、ミンソクが幼い頃に日本人の実父・優(田辺誠一)から教わった言葉だったからだ。『何度でも何度でも、諦めないで向かっていけば、いつか木は倒れる』――。23年前、ミンソクはその言葉を、父親を亡くして泣いている見知らぬ少女に教えたことがあった。もしかして、あの時の少女は桃子…?ミンソクは桃子の過去が気になり始めるが…。
桃子に勇気と居場所をもらったミンソクは、左遷先のホテルで自らベルマンの仕事を志願。「僕はまだ、10回切っていない。もう一度、ここから始める」――。希望を胸に、イチからやり直す決意を固めるミンソクだが…。
以下、ネタバレを含みます
ミンソクは支配人の水島栄壱(矢柴俊博)に頭を下げ、ベルマンの仕事を志願。イチから出直す覚悟を決めたミンソクを、亡き養父ジョンフンの言葉が後押しする。『いいホテルを作るために一番大切なことは、お客様の一番近くに立って、お客様の立場でホテルを見ることだ。そうすれば、一番大切なことが自然と見えてくる』。その言葉を胸にベルマンの仕事に励むミンソクは、小さな子どもや車いすの宿泊客の目線に立ってホテルの細かな問題点を改善。東京での仕事にやりがいを見いだし、心が少しずつ軽くなってくる。
そんなミンソクの働きぶりは、すぐに韓国の本社にも届く。養母キョンファは、希望を捨てないミンソクに自分たちの立場が脅かされることを恐れ、「今すぐミンソクをファングムから追い出しましょう!」と慌てるが、義兄ヒスンは「落ち着いて、母さん。僕たちにとっては、ミンソクは手の届くところにいてくれた方が好都合だ。怪しい動きがないか、監視できるでしょう?」と冷静にほくそ笑む…。
『10回切って倒れない木はない』――なぜ桃子がこの言葉を知っているのか、気になるミンソクは、こども食堂を手伝いながら本人に直接聞いてみようとするものの、タイミング悪く桃子の幼なじみ・山城拓人(京本大我)が現れ、聞きそびれてしまう。
食事の後、10歳の少年・亮が絵を描きながら、「桃子先生。ここ、どの色がいいと思う?」と桃子に相談。亮が描いていたのは、こども食堂のみんなでお花見に行った時の絵だった。「また行きたかったな」とつぶやく亮。すると拓人が割り込んで来て、「亮、正気か!絵のこと、桃子に聞いちゃ駄目だろ」と桃子をからかい始める。桃子もムッとして「拓人も絵は下手でしょ。夏休みの宿題、お母さんに描いてもらってたくせに」と応戦。言い争う2人を複雑な気持ちで見守るミンソクに、診療所の院長・風見進(でんでん)が「ケンカするほど仲が良い。あの2人は、小さい頃から、一緒だからね。このまま、ずっとずっと、一緒にいるんだろうな」。桃子と拓人の関係を知ったミンソクは、どこか寂しげな表情を浮かべ…。
ホテルのスイートルームを引き払ったミンソクは、従業員休憩室で寝泊まりしながら、新居探しを始める。かつて父・優と母・未希(橋本マナミ)と3人で幸せに暮らしていた町を訪ねると、両親が営んでいた喫茶店の跡地には、すでに別の店が立っていた。当時家族でよく遊んだ公園や、父と母が息を引き取った山城記念病院を訪れ、胸が締め付けられる思いのミンソク。たまらずその場を去ろうとすると、拓人とバッタリ鉢合わせ。「ここ、うちの病院。おやじが院長で、俺はここの御曹司でナンバー2」と得意げに話す拓人から飲みに誘われたミンソクは、拓人の行きつけの赤ちょうちんでサシ飲み。桃子と2人で来ることもあるという拓人。ミンソクが思い切って桃子との関係を聞いてみると、拓人はため息をつきながら交際を否定し、「そんな勘違いするだなんて、がっかりだ。お詫びにとことん付き合ってくれるよな?」と、飲み始め…。
酔っぱらった拓人は「ミンチョク最高!」とすっかり上機嫌に。帰り際、ミンソクが昔この町に住んでいたことや、両親が山城記念病院で亡くなったことを打ち明けると、拓人は「じゃあ……桃子と同じだな。桃子もおやじさん……事故で亡くしてるんだ」。それが23年前の出来事だと聞いたミンソクは、やはり記憶の中の少女は桃子なのかもしれないと思い――。
翌日、ミンソクは仕事を終えて診療所へ。ちょうど桃子は訪問診療に出て不在だったため、院長の風見に桃子のことを聞いてみる。風見の話では、桃子が赤ちゃんの頃に母親が他界。それから父と姉と3人で支え合って生きていたが、桃子が7歳の頃に父も亡くなり、その頃から姉と2人でこども食堂に来るようになったらしい。当時の写真を見せてもらうと、やはり、記憶の中の少女と桃子は同一人物だった。写真を見ながら言葉を失うミンソク……その時、診療所に、亮の母親が血相を変えて駆け込んでくる!「すみません、亮、来てませんか!学校から帰ってこないんです!」。すでに夜…。ミンソクと風見は慌てて診療所を飛び出して――。
亮を捜し回るミンソクたちは、訪問診療帰りの桃子に遭遇。事情を聞いた桃子は、こども食堂で亮がお花見の絵を描いていたことを思い出し、その絵に描かれていた公園へ。桃子の思った通り、亮は公園で1人、うずくまっていた…。実は、亮は父親の仕事の都合で間もなく引っ越しすることになっていた。今までも転校ばかりだった亮は「もう……どこにも、行きたくない。ここにいたい。みんなと離れたくない!」と涙ながらに訴える。そんな亮を必死に励ます桃子。「会えなくなっても、全部、消えるわけじゃないよ。みんなで一緒に過ごしたことは、亮くんの中にずっとずっと残るんだよ」。桃子は、亮がいつも、初めてこども食堂に来る子たちに真っ先に話しかけていたのを知っていた。「亮くんはいろんなところで、いろんな環境で、1人で頑張ってきたから。それは全部、亮くんのステキなところになってるんだよ。だから大丈夫。亮くんにはこれからも、ステキな人との出会いがたくさんある」。黙って聞いていたミンソクも亮を元気づけようとして、「それでも、どうしても寂しくなった時は、『10回切って、倒れない木はない』」。その言葉に、桃子が続ける…「何度でも何度でも、諦めないで向かっていけば、いつか木は倒れる。どんなに寂しくても、悲しくても、諦めないで頑張れば、きっとまた笑顔になれる。元気が出るおまじない。」――。それは、幼き日のミンソク(照)が桃子に伝えた言葉、そのままだった…。2人の言葉を受け止める亮を、桃子がそっと抱き締める…。
亮を無事に母親のもとに帰したミンソクは、桃子に「『10回切って、倒れない木はない』。僕も、その言葉を、大切にして生きてきたんです」と打ち明ける。すると桃子も、父親が亡くなった時にその言葉を教えてもらったと言い、「私はその言葉に救われたんです」。その言葉を教えたのは自分だ、と確信したミンソクだったが、次いで桃子が発した言葉に呆然とする。「拓人が、教えてくれました。だから、拓人には感謝してるんです」。一体どういうことなのか…、言葉を失うミンソクで――。