「拓人が、教えてくれました。だから、拓人には感謝してるんです」――。韓国有数の財閥の養子キム・ミンソクこと青木照(志尊淳)は、23年前、父を亡くし泣いていた河瀬桃子(仁村紗和)に、『10回切って倒れない木はない』という大切な言葉を教えたものの、桃子はその言葉を、幼なじみの山城拓人(京本大我)から教わったと思い込んでいた…。
桃子の記憶がすり替わっていることにショックを受けるミンソクのもとに、拓人が現れる。「黙ってて……くれないか」。山城記念病院の過去のカルテを見て、23年前にあの言葉を桃子に教えたのがミンソク=青木照だということに気付いた拓人は、桃子の記憶がすり替わったワケを告白。事情を知ったミンソクは、ある決断をする…。
いまだ新居が見つからないミンソクは、ホテルの従業員控室で寝泊まりしながら新居探しを続けるものの、なぜか不動産屋から契約をことごとく断られてしまう。途方に暮れるミンソクに、桃子が「ここに、引っ越してきませんか?」。部屋探しが難航しているのはお金がないからだと勘違いした桃子は、診療所の2階の空き部屋に住むことを提案。院長の風見進(でんでん)も、こども食堂を手伝ってくれれば家賃はいらないという。ミンソクは戸惑いながらも、桃子たちの厚意を受け止め、診療所の2階に住まわせてもらうことに。
ミンソクが引っ越してくると知った子どもたちは大喜び。ようやく帰る場所ができたミンソクは、みんなが離れていってしまうのを恐れ、自分が財閥の人間であることをとっさに隠してしまうが…。
以下、ネタバレを含みます
『10回切って、倒れない木はない』。23年前、ミンソク=青木照は、父親を亡くして泣いている桃子にこの言葉を教えたが、その直後、桃子は高熱を出して倒れ、そのまま寝込んでしまった。翌日、病院のベッドで目を覚ました桃子は、お見舞いに来た拓人に、「10回切って、倒れない木はない。この言葉、ずっとずっと、覚えてるね」。父を亡くしたショックと、熱を出して寝ていたせいで記憶が混乱したのか、桃子は照が伝えた言葉を拓人から教わったと思い込んだのだ。その記憶違いは大人になった今も変わらないままで…。「黙ってて……くれないか。桃子に、わざわざ思い出させたくないんだ。あの日、おやじさんを亡くした悲しみを」。拓人にお願いされたミンソクは、桃子のために、真実を秘密にすることを約束してしまう。
韓国の養母・キョンファ(キム・ジュリョン)に邪魔をされて新居がなかなか決まらなかったミンソクは、桃子と風見の厚意で、診療所の2階に住まわせてもらうことになった。診療所で引っ越し祝いを開いてもらうミンソクに、看護師・花井美香(みりちゃむ)が、「そうだミンソクさん、こないだ、ヌン友に聞いたんですけど、ファングムの御曹司が、今、ミンソクさんがいるファングムホテルトーキョーに来てるらしいって。もうその人と話しました?」と興味津々に聞いてくる。とっさに「いえ……まだ」と知らないふりをするミンソクは、財閥の人間の派手な生活を想像する桃子から「私たちとは、ぜんぜん住む世界が違う人なんだろうな」と言われてしまい…。
ミンソクの脳裏に、つらい記憶がよみがえる。23年前、韓国に渡ったばかりの頃、町の友達と遊んでいたら、養母キョンファが血相を変えてやって来て、「うちに来たからには、こんな下々の子たちと付き合うのはやめなさい!」と厳しく叱られた。それ以来、ミンソクは友達から避けられ、独りぼっちになってしまったのだ。自分は、みんなと住む世界が違う人間――。ミンソクの胸に、あの時と同じ寂しい気持ちが湧いてくる…。
引っ越し祝いの後、ミンソクの部屋に、桃子がネギの入ったガラス瓶を持ってやってくる。「お昼に使った薬味の残りです。こうしておくと、また生えてくるんですよ」。ミンソクがお金に困っていると勘違いし、節約術を教える桃子。ミンソクはその瓶を窓辺に置き、大切に育て始める。
数日後、ホテルでトラブルが発生。海外から来たVIP客が、ダブルブッキングのためスイートルームに宿泊できなくなったのだ。怒り心頭のVIP客は、平謝りする支配人・水島栄壱(矢柴俊博)に、「金輪際、このホテルを利用することはない」と吐き捨て、ホテルを出て行こうとするが…。窮地を救ったのはミンソクだった。ソウルのホテルの常連でミンソクをよく知るVIP客は、ベルマンとしてイチから勉強しようとしているミンソクの姿に、「素晴らしい心掛けだ。さすがファングムの御曹司」と感心。ミンソクの顔に免じて代わりの部屋に泊まってくれるという。ミンソクが事態を収めたことで、水島のメンツは丸つぶれに…。そのやりとりを、ちょうどホテルで外科学会に出席していた拓人が目撃。拓人はミンソクが財閥の御曹司であることを知ってしまう…。
診療所に帰ったミンソクは、自分のために手間暇かけて節約ノートを作ってくれた桃子に、「桃子先生に……話したいことがあるんです」と自分の素性を明かそうとする。……と、そこに、酒に酔った水島が現れる。「驚きましたよ。仮にも御曹司が、こんなところにお住まいとはね」と嫌味ったらしく言う水島。「御曹司?」と首をかしげる桃子に、水島は「ご存じありませんでした?この方は、韓国の財閥、ファングムホテルグループの御曹司なんですよ」――。昼間、ミンソクに恥をかかされたことを根に持つ水島は、酔った勢いでミンソクへの不満を爆発させる。ベルマンをしているのも、狭い診療所で暮らしているのも、こども食堂に関わっているのも、しょせんは自己満足だとののしり、「全部、金持ちの道楽だ。俺たち普通の人間を下に見やがって。ふざけるな!あんたは、とんだ偽善者だ」。すると桃子が、「ミンソクさんは、困っている人に自然と手を伸ばせる、優しい人です」と反論。「子どもたちも、そのことをよく知っています。だからみんな、ミンソクさんのことが大好きなんです。私たちにとって、ミンソクさんがどんなとこで生まれて、どんなとこで育ったかなんて、どうでもいいことなんですよ」。桃子の揺るぎない言葉に、ぐうの音も出ない水島は「せいぜい、この人と出会ったことを、後で後悔することのないように」と、捨てぜりふを吐いて去って行く…。
「黙ってて……すみません」と謝るミンソクに、桃子は「ミンソクさんが、財閥……とか言われても、ぜんぜんピンとこなくて。ここにいるミンソクさんが、私にとっての、ミンソクさんの全部だから」。その言葉がうれしいミンソクは、桃子に自分の生い立ちと韓国へ渡った経緯を打ち明ける。同じように小さい頃に両親を亡くした桃子は「新しい両親がいても、不自由のない生活を送れたとしても、埋められない寂しさは、少しは分かるつもりです。……強く生きてきたんですね」。見つめ合う、ミンソクと桃子。2人の距離が、また少し縮まった……と思われた矢先、予期せぬ嵐が吹き荒れる。風見診療所に、謎の女・新海映里(長濱ねる)が現れ――「私は、キム・ミンソクの、婚約者です」――。