4月22日 メインより、アシスタントの方が難しい。

私が仕事を始めた1980年頃までは、テレビ番組のほとんどが、
男性のメイン司会者と、女性アシスタントという組み合わせだった。
なぜ、女性はメインになれないのかな、と思いながら、私もいくつかの番組でアシスタントをつとめた。
 
新人時代は、メイン司会者の横にいて、CM前の決まり文句を言うのが精一杯。
メインの男性も、番組スタッフも、慣れない私を気遣い、アドバイスをくれた。
アシスタントどころか、みんなにお守りしてもらっている赤ん坊のようなものであった。
 
2~3年たつと、少し周りが見えるようになり、自分なりの工夫を心がけるようになった。
「何か、気の利いたことを言わなくては」。
番組の中でキラリと光る存在感を示したいと思った。
一生懸命つとめているのに、どこか空回りしている感じで、メイン司会者も、やりにくそうだった。
...当たり前だ!存在感?そんなことを考えているうちは、アシスタントではない。
 
1980年代、それまで男性社会だった分野で女性が活躍し始めた。
テレビも、「女性がメインでいいじゃないか」という流れになり、
私は入社4年目に朝の情報番組のメイン司会者、
入社7年目には、夕方のニュースをひとりで伝える役、つまりメインキャスターになった。
大先輩の女性アナが「そういう時代になったのねえ」と、しみじみつぶやいた。
 
自分がメインになってみると、アシスタントの重要性、ありがたさが身にしみた。
番組の基本的な運びはメインが手がけるが、それを支え、足りないところを補い、
多彩で豊かな味わいを醸し出すのは、アシスタント。
主役より脇役に名優が多いといわれるように、メインの動きに添いつつ、
全体を俯瞰する目と、臨機応変の対応が求められる。
番組の成功はアシスタントの力量にかかっていると言っても過言ではない。
 
すんなりと上手にアシスタントをつとめる若手を見ていると、つくづく感心する。
若い頃の私は、目立ちたがり屋のおっちょこちょいに過ぎなかった...。


 
写真は2003年秋「きょうの出来事」スタジオにて。
当時"アシスタント"を務めていた情報キャスターの菅谷アナと。