7月7日 言葉遣いのTPO

アナウンサーが食リポで「めっちゃ、美味しい!」と言うのは、許されるか?

…と、掲げるほどの大問題ではないのだが、服装と同様、言葉をどこまでカジュアルにしていいか、は、アナウンサーの悩みどころである。

 

天真爛漫なタレントさんの「めっちゃ、美味しい!」は、聞いていても楽しく、こちらも一緒にテーブルについているような気にさせてくれる。もっとも、中には自分が満足しているだけ、という感じで叫んでいる人もいて、これはいただけないなァ、と思うけれど。

 

何年か前、日本テレビ系列各局の新人アナウンサー研修で講師を務めたベテランが、「めっちゃ、美味しい!」という新人のリポートに「いかがなものかなァ」と首を傾げたら、「でも先輩の○○さんも、こう言っています」と返されて、ますます首を傾げながら「そういう時代になったのかなあ」と思ったそうだ。

ただし、その先輩アナが、新人時代から「めっちゃ」と言っていたかどうか…。

キャリアを積み、視聴者に親しまれ、家族や友達のような感覚で、見て聞いてもらえるようなアナウンサーになったら、「めっちゃ、美味しい!」も、OKだと思う。

日テレの大先輩、徳光和夫さんは、撮影中、路線バスの中で居眠りしても許される。愛されるキャラクターで活躍するアナウンサーの鑑であろう。

 

TPOTimePlaceOccasion)は和製語らしいが、「時・場所・場合」。テレビで言えば、番組の雰囲気や、出演者のキャラクターによって、言葉や服装を選び、使い分けるべし、ということであろう。ニュース担当が長かったせいか、生来の野暮天ゆえか、私は今も昔も、カジュアルな言葉を上手く使うことができない。

「めっちゃ、美味しい!」と笑顔でリポートしている後輩を見て、「もう少しお行儀良くしなさい!」と思いつつ、「うらやましいな…」とも感じている。