1月28日 3分、4分

「中学生の娘が、3分のことを『さんふん』と言うのよ」
と、同い年の友人から聞いて驚いたのは、もう20年も前になるだろうか。
娘のクラスメートたちもそう言っている、4分は「よんふん」だという。
「じゃあ、カップ麺はお湯を入れて、3ふんかん待つの?」
「ウルトラマンは地上に3ふんしか、いられないわねェ」
「今、12時4ふん?」
と、私と友人の会話も、中学生のような他愛なさなのだが、
日本語の問題としては、笑って聞き流せるものではない、と感じた。


やがて、私の周囲にも「さんふん」の波が、ひたひたと押し寄せてきた。
就職試験の面接で学生が、「駅から3ふんぐらいです」…えっ?
大学のスポーツ大会で、記録を読み上げる学生が、「1時間14ふん」…あらっ?
ついには、番組の若いスタッフが「映像の尺は、3ふんです」…何ですって!?
いずれは「ら抜き言葉」のように、一定の存在感を持ってしまうのだろうか。


「母」は、古くは「ファファ」と、唇を合わせる形で発音していたそうだから、
口の動きも省力化、楽な方向に流れるのは、常のことなのかもしれない。
でもやっぱり、3ぷん、4ぷん、がいいな。
「3分クッキング」が「3ふんクッキング」になってしまったら、
何だか、おいしくなさそうだもの。