4月9日 来し方行く末

「この度、初めての還暦を迎え、」と60歳の挨拶をしたのは、長嶋茂雄さんである。

会社員にとっては、定年と重なり、大きな節目。その還暦も過ぎて7年。六十路を除ければ、この春、私は小学校入学か…などと、たわいないことを思っていたら、10代の頃に考えた、「人は何のために生きているのか?」「私はどんな人生を送るべきか?」という命題がよみがえってきた。もっとも、この歳になっては、「こんな人生で、よかったのか?」ということになるけれど。

 

真理を追究する、誰かの役に立つ、そのために生きるのだ、そういう人生を送りたい、と今も思う。子供を産み育てることも大切だ。

しかし、自らを省みれば、深く勉強する頭も根気もなく、日々の5分間読書で「源氏物語」を原文で読んだこと、くらいしか成果はない。

言葉による表現と伝達、対話という分野では、一生懸命仕事をしてきたつもりだが、それが誰かの役に立ったかどうか、わからない。医療や介護をはじめ、人を助ける分野で働く人々の徹底的な優しさに比べると、私には親切な心が足りない。子育てと仕事を両立する才覚もなかった…。

 

好きなこと、できることを、無理せずに行う日々の積み重ねが、この体たらくか。

しかし、反省はするが、後悔はしていない。もう一度人生をやり直せるとしても、結果は、大差ないような気がする。

しかし、まだこれからの人生がある。究められなくとも、もう少し深く、幅広く学び、人の役に立つことを、今よりも積極的に行いたい。子供は…友人の子や孫、町で出会った子たちに、いつもニッコリ笑いかける、ばあちゃんになろうかな。