かつてのお昼の人気番組「おもいッきりテレビ」に、「きょうは何の日」というコーナーがあり、私も時々、ナレーションを担当した。
著名人の命日や、大きな事件のあった日、新たな建造物が完成した日、などテーマは多岐にわたっていたが、何年も続くと、その日あった出来事を探し出すのに、スタッフは苦労していたようだ。
テレビだから、映像が大切。ニュースフィルムや写真、当時の新聞記事などがしばしば登場し、多くは、明治以降の「何の日」であったのだが…。
ある日、録音スタジオで手渡されたナレーション原稿のタイトルは、
「きょうは何の日~玄奘三蔵が天竺に向けて旅立った日」
ホンマかいな?と、目が点になった。
録画が手元にないので、何月何日か覚えていないのだが、今、百科事典を見ると、7世紀前半、627年(一説には629年)の秋8月のこと、と出ている。
「本当にこの日なんですか?三蔵法師が天竺に向かったのは?」」
と何度もスタッフに尋ねてしまったが、映画界出身のベテランディレクターは、
「大丈夫です!4つ学説がある中の、一番有力な説です」
と自信ありげに頷く。
ニュースを担当しているアナウンサーとしては、一抹の心細さがぬぐえなかったが、まあ、反対の学説に押し切られて、テレビ界が騒然、ということにもなるまい、と思い、
「今から千三百何十何年前の、きょう〇月〇日、玄奘三蔵が天竺に向けて旅立ちました」
と、高らかに朗読した。
後にも先にも、私がナレーションをつけた、一番古い「何の日」である。
カレンダーには、同じ大きさの数字が並んでいるが、今日という日に、特別な思いがある、という人は、身近なところにも、きっといるであろう。
この一年、新人の頃からお世話になった会社の大先輩や、仕事を共にしてきた同僚の早すぎる訃報に接する度に、「一日一日を、大切にしなければ」と思った。
きょうは何の日?大事な日。
