4月18日 豊田順子

 な、な、な、なんと!アナウンサーとなって25年目の春を迎えました。
「アエイウエオアオ」の発声練習を始めてから四半世紀・・・。
 就職活動を始めたのは「平成」の時代に入ってすぐのことですが、バブルの余韻残る時に縁あって「日本テレビ・アナウンサーの豊田順子」になり、あれよあれよという間に、一回りした同じ干支の新人が入り、平成生まれの新人を迎え、二回り目の干支の新人が入ってきたと思いきや「俺の母ちゃん、豊田さんと同い年です。」と言われて、気がつけば四半世紀...です。
 そうかぁ~、この24年間に私が経験してきたことを形にしたら、「1人の人間が生まれて社会に出るまでになるんだなぁ」などと思うと、様々なシーンがよみがえります。

 さて、そんな1シーン1シーンを詳細に思い出すにつれ、その現場には必ず存在したのに、絶対に私が記憶していないものがあります。それは何か・・・?答えは「私の顔」。そう、現場の情報に集中している私に、自分の顔は見られません。
 そこで、ちょこっと「顔」のお話。人は齢を重ねれば当然、年齢相応の顔に変化していきます。果たして私は、年齢と経験にふさわしい良い顔になっているでしょうか・・・?
 「男の顔は履歴書、女の顔は領収書(*注)」なんて言葉がありますが、エステになど行かない私は、目指すのはむしろ「履歴書」のほうになりますか。「女の顔は請求書に見える」なんていう殿方の言葉もあるようですから、経済がからんだ男女の顔の表現は、どうやら複雑な時代のようで...。
 それに比べれば、アナウンサーという職業柄「局の顔」と表現されたり、その場にふさわしい「顔を作る」ことを求められたり、取材では「顔を売る」「顔が利くまで足を運ぶ」ことを教えられるなど、様々な「顔」にまつわる現場での嗜み(心がけ・つつしみ)を学んできた人間修行の24年間は、実に深く、かけがえのないもののように感じます。
 現在ニュースを担当する私は、突っ込み原稿を生放送で捌かねばならないバタバタの状況を強いられることも数多くあるのですが、眉間のしわを必死に隠し、そんな時にこそエレガントに仕事をやり遂げたい。昭和時代の素敵な先輩アナたちから学んだ"品格ある表現"を追求したい。職人としての顔(仕事に対する姿勢という意味で)を大切にしたいと、25年目の今にこそ思うのです。

 そこで、アラフィフの自分に贈る言葉を探してきました。
「20歳の顔は、自然の贈り物。50歳の顔は、あなたの功績。」
                  (Byココ・シャネル)
 他の誰でもない、私自身が実際50歳になって鏡を見た時、「悪くないな」なんて思えたら・・・それで十分。

*注...「男性はそれまで社会でどんな仕事をしてきたかが顔に現れ、女性はそれまでどれだけ自分にお金をかけてきたかが顔に表れる」の意。

*写真...今の私の自画像です。