5月22日 山下美穂子

大学で「文学部美学美術史学専攻」という学部にいました。
その経歴で、最近美術展などの司会を担当することが増えました。
先日も、東京の森アーツセンターギャラリーで開催中の「こども展」の開会式の司会を務めました。
この展覧会は、ピカソ・モネ・ルノワール・ルソーといった巨匠と呼ばれる画家たちが、
自分の子どもや、身近な子どもを描いた作品が集められています。
司会をしていると来賓のなかに、イラン人の姉弟がいらっしゃいました。肩書がなかったので聞いてみると、出展されている画家ダヴード・エンダディアン氏のモデルになったお子さん達だったのです。「そうか!この展覧会のおもしろさは、作品のモデルたちが現存しているかもしれないことだ!!」と思いました。
エンダディアン姉弟を描いたお父様の作品は、いずれも横顔で写真のようにリアルな美しい作品でした。ご姉弟に聞いてみると、この作品は最初に写真を撮って、それを見本に描かれたそうです。しかし光の加減にとてもこだわるお父様は、気に入った光の時間帯になると、子供をそのなかに何度も立たせて作品を完成させたそうです。
一方で、ピカソに描かれた息子クロードさんは「父に描かれるためにポーズをとった記憶はあまりありません。いつも記憶のままに描いていたのだと思います。」と語っています。
また、ピカソはよく子どもたちの為にデッサンを描き、それを切り抜きながらストーリーを作って一緒に遊ぶという独特の遊び方をしたそうです。
ピカソのデッサンがおもちゃ代わりだなんて・・・贅沢すぎる!!
その宝物の「おもちゃ」も展示されています!
世界の巨匠が優しいまなざしで描いた子どもたちは個性豊かです。モデルとなった子どもたちが、大人になってその作品を見て、どう感じたのか?父や母との貴重な思い出とともに語っています。
ほっこりと温かな気持ちに包まれる「こども展」是非足を運んでみて下さい。


『こども展 名画にみるこどもと画家の絆』
期間:4/19(土)~6/29(日) *会期中無休
 10時~20時(5/6を除く火曜日は17時まで) *入館は閉館の30分前まで 
http://www.ntv.co.jp/kodomo/ 
会場:森アーツセンターギャラリー (六本木ヒルズ 森タワー52階)