11月4日 鈴江 奈々

人と人の出会いには、不思議な力が働いている...
そんなことを感じること、ありませんか。
 
去年9月茨城県常総市の水害取材で出会った会社員の高橋さん。家族で暮らす自宅の1階は浸水し、自身は自衛隊に救助されました。ボランティアの泥のかき出しや全国からの支援に助けてもらったといいます。その恩返しを...と思い立ったのが、今年4月に発生した熊本地震。今度は自分がボランティアをする番だと、常総市から車で1300km、18時間もの超長距離ドライブで、熊本市のボランティアセンターに到着しました。
 
その時、私は、「news every.」で熊本から中継をするため、熊本の各地を取材。高橋さんが到着した時、偶然にも同じボランティアセンターにいたのです。車には、簡易シャワーセットや水を運ぶタンクなど避難生活に役立つものをと、考えつくされた支援物資がたくさん積まれていました。
 
後日、高橋さんから何とも心温まるお話を伺いました。その夜、高橋さんが熊本市内の公園にテントを張ろうとしていた時のこと。ウォーキング中の老夫婦に声をかけられ、自宅に泊めてもらったというのです。長距離ドライブとボランティア活動の疲れがフカフカの温かい布団で、一気に吹き飛んだそうだです。
 
老夫婦にとって力仕事のボランティアは難しい。ならばボランティアの人を助ける事で間接的に役に立てればと考えてのことだったそうです。
 
今年を振り返って、改めて、日本は災害大国であると痛感させられます。地震、豪雨、台風、噴火...。でも、「誰かのために」と思う気持ちが人と人を引き寄せる不思議な力を生み出してくれるように思います。温かな気持ちのサイクルが、放送を通じてほんの少しでも作れたら...と願っています。