7月12日 安村直樹

「想いを込めて伝えたい」
心からそう思える瞬間に、今年もこれまでに何度も出会うことができました。

なかでも印象に残っているのが、6月4日、サッカー日本代表がW杯本大会への出場を決めた試合。私は幸運にも、歓喜の瞬間を目の前で見届けることができました。

選手入場から試合終了まで。ひとつひとつの瞬間が歴史となり、壮大な物語が完成していく時間。片時もピッチの選手から目を離すことはできませんでした。

そしてプレーが途切れると、自然と観客席を見渡している自分がいました。
平日にも関わらず6万人を超えるお客さんが詰めかけ、青一色。これほどの熱気に包まれたスタジアムを見たのは生涯初めてです。
観客席で大きく波打つ青い魂の声援は止むことなく、想いを選手の心に伝え続けていました。

日本が先制点を奪われると、"諦めない心"を。
本田選手がPKを蹴る直前には、"勇気"を。
試合終了のホイッスルが鳴った瞬間には、"感謝"を。

選手を信じるサポーターと、声援を力に変えて全力でボールを追い続ける選手。
ピッチと観客席、そしてスタジアムに足を運べなかったサポーターをつなぐ見えない糸は確かにそこにありました。

その光景を目の当たりにして、
「自分はアナウンサーとして、この場面をしっかりと伝えられるだろうか」
と不安な気持ちにもなりました。

自分の頭の中のどんな言葉で形容しても、「これだ!」と思える表現にたどりつきません。
でもいつかは「人の心の琴線に触れる言葉を紡ぎたい」という夢があります。

夢に向かって、立ち止まっている時間はありません。
「想いを込めて伝えたい」
アナウンサー人生2年目、初心を忘れず、歩みを止めることなく走り続けます!