週末の昼下がり、電車に揺られていたら、向いの座席の、5歳と6歳くらいでしょうか、幼い姉妹のお喋りが聞こえてきました。
活発な妹が身を乗り出すようにして、おっとりした感じのお姉ちゃんに話しています。
「あのね、『す』と『つ』って、あるでしょ。『さしすせそ』の『す』と『たちつてと』の『つ』。どっちも、てんてんが付くと、『zu』になるんだよ!『す』と『つ』は全然違うのに、てんてんが付くと、おんなじ『zu』になるんだよ!」
にっこり笑って聞いている、お姉ちゃん。
そうそう、そうなのよ!すごいね。大発見!!
と、私は思わず頷き、心の中で賛辞を送りながら、「す」と「ず」、「つ」と「づ」の順に、こっそり発音してみました。
あれ?「ず」と「づ」では、舌の位置が微妙に違う…?
もともと書き分けられてきた字は、古くは発音も違っていたといいます。
「を」と「お」は、現代ではどちらも「o」と言っていますが、年代や地域によっては、「wo」、「o」と、発音で使い分けている人もいます。
長い歴史の中で、変化してきた日本語。今も揺れ動き、変わりつつあるなかで、時に昔の名残を感じる瞬間に出会う面白さ。
言葉を使って40年余り仕事をしている私に、「ず」と「づ」のテーマで、新たな気づきと興味を与えてくれたのは、まだ小学校入学前とおぼしき女の子でした。
小さな先生、早春の特別授業を、どうもありがとう!
