11月20日 町田浩徳

アナウンサーとは、つくづく不思議な職業である。

 

まず職場。

日本テレビアナウンス部には、テレビが7台、横に並んでいる。

管理職のデスク上にあるテレビを入れると10台以上だ。早朝から深夜まで、ほぼつけっぱなし。

画面の中にいる同僚の仕事ぶりはいつでもチェックできるし、自身が次に担当する番組や中継の予習もする。

もちろん放送で見返して反省も大いにする。何か突発的なことが起きた時は、他局の伝え方を全て比べたりもする。

そう、テレビを見るのも仕事。テレビを見ながらデスクワークをする環境だ。

 

次に、同僚と「合う・合わない」・・ではなく、「会う・会わない」の程度が、はなはだしい。

ちょっと昔だが、早朝番組を毎日担当する女性アナと、毎日のように外でスポーツ中継を担当する男性アナが、

久しぶりに会った場面を見た。ちょうどゴールデンウィーク中だった。

「今年になって会うの、初めてですよね?明けましておめでとうございます」

半袖を着たくなる季節に、新年のあいさつをしていた。それだけ、シフトが異なればなかなか会わない同僚もいるということ。

長袖になる前に「良いお年を。」と言っておいたほうがいい相手がいるかも。

 

最後に、業務の幅の広さ。

アナウンサーとは、「声で情報を伝えるプロ(専門職)」という定義になるはず。

その捉え方次第で、業務の幅は広がり、あらぬ方向へ展開もしていく。

プロレス技を受けたり、熱湯風呂に入ったり、わざと いやらしい言い方で質問したり・・・

これらも仕事だからこそ、真面目に全力で取り組む。

 

それら3つの仕事を一人で担当した先輩がいた。

ある時、アドバイスをもらったことがある

「僕にはできないけどさ、マッチー(私のこと)なら、もっとできると思うんだよね。

視聴者に満足してもらうために更にチャレンジできるというのは、ホントに羨ましいよ。」

 

その言葉が今となって心にしみている。