5月12日 藤井 貴彦

あっという間にもう5月。
ルーキーたちを怒涛のアナウンス研修が待ちかまえていますが、
この時期はアナウンサーのみならず、新入社員の皆さんは全員が大変な時期ですね。
 
思い起こせば20数年前、
当時のアナウンス部長から「アクセント辞典はすべて覚えろ」という、
えげつないけど当然のミッションをいただき、辞典と格闘していたのが5月でした。
辞典を端から端まで読み込んで、1冊を「潰し」ました。
 

 
(※十数年ぶりの大改訂、以前の番組名がシールに書かれています)
 
意外だったのが「暴風」のアクセント。
「陸上」と発音した時のアクセントと同じだと思っていたら、
「港区」と発音した時のアクセントと同じだったのです。
 
東京生まれ神奈川育ちの私にとって、アクセントはほとんど問題がなかったのですが
こういった事例がこの分厚い辞典に隠れているのだと思うと、
全部読んで潰していくしかなかったのです。
ほぼ数か月かけて、辞典をラインマーカーで真っ黄色にしました。
今、後輩たちに偉そうにアドバイスできるのはまさにこの時の努力のおかげです。
 
と、ここまではおじさん特有の古い自慢話なのですが、
そうはいかなくなる日がついにやってきました。
それは「アクセント辞典の改訂」。
使い慣れてきたアクセントがリセットされる大改革が十数年ぶりに訪れるのです。
 
例えばサッカー部などの「クラブ」と大音量の音楽が響く「クラブ」。
今は、イントネーションの違いで意味を伝え分けています。
しかし、このインネーションの違いは現在のアクセント辞典には掲載されていません。
今回は、そういった新イントネーションの追加やアクセントのリセットなど
時代に合わせた改訂が行われるのです。
 
これまでの経験を一度まっさらにして、新たに頭に叩き込まなければなりません。
新人から中堅ベテランまで横一線、ヨーイドンで再び覚え始める時がまもなくやってきます。
日々ニュースを担当する私たちにとっては、十数年に一度のビッグイヤーとなるでしょう。
 
アクセントに悪戦苦闘の日々。
洒落にならない勉強の日々が始まります。