3月19日 矢島 学

先日開業した北陸新幹線は、鉄道と日本史が好きな私に、時代を越えた妄想を抱かせる。
長野駅以北のルートが金沢まで延伸された北陸新幹線。
最速の『かがやき』号は、東京~金沢間を2時間28分で結ぶ。
もし江戸時代の加賀前田家の殿様が聞いたら、さぞかし驚くだろう。
 
前田家の参勤交代では、江戸まで120里の道中に、12泊13日かかった。
行列の人数は石高に応じて決められており、百万石を誇る前田家の場合は約4000人、
旅費は現在の貨幣価値で、約5億円だったという。
 
尚、北陸新幹線の定員は、1編成が934人なので、前田家は4編成の貸し切りが必要になる。
藩主がグランクラス車両で、上級武士がグリーン車、一般藩士が普通車といったところか。
 
そして、私が最も興奮する歴史ロマンは、時代を越えた"道程"の一致だ。
東京駅(江戸)から高崎駅(上州)を通り、
碓氷トンネル(碓氷峠)から長野県(信濃)に入る。
長野駅(善光寺)からは、一旦東寄りに迂回して新潟県(越後)に入り、
上越妙高駅(高田城下)、富山県(越中)を抜けて金沢に至る北陸新幹線。
このルートが、前田家が進んだ街道と、ほぼ重なるのだ。
 
加賀百万石の栄華を受け継ぐ新幹線『かがやき』が、この春、北陸路を駆け抜ける。