3月14日 桝 太一

お世話になった日本テレビを退職するまで、残り半月あまり。

さぞ感傷に浸りながら過ごす時期になるのだろう…とばかり想像していましたが、

意外とやるべきことが渋滞していて、全然そんなことはありません。

拍子抜けのような、でも気が紛れて実は救われているような、そんな現実の日々です。

 

ただ、16年間 使い続けてきたロッカーを整理して空っぽにしたときだけは、

少しだけ胸の奥がキュッと締め付けられるような感覚になりました。

 

その引き出しの一番奥に眠っていたのは、若手の頃に日記のようにつけていた反省ノート。

久々にページを開いてみると、当時の気持ちが生々しく蘇ります。

特にひどいのが、新人研修の時期、および「ZIP!」が始まった直後で、

うまくいかない焦りやイライラ、自尊心と強がり、そして隠しきれない先行きへの不安。

とてもここで披露できるような内容ではありません。

実は今回の転職に至るまでも、なにせ参考になる前例が見当たらなかったため、

どんな手順で進めていくのが良いのか、進んだところでそれがうまくいくのか、

それはもう不安しかありませんでした。

 

でも、家の中でも不安だ不安だ~と口にしていた私に対し、妻が放った一言。

「あなた、自分のそばに不安が居ないと、不安になるタイプよね」

…軽い禅問答のような言葉なんですが、わかって頂けるでしょうか。

 

確かに、私は“不安”というものを、実はけっこう愛しているような気もしています。

もちろん、そいつのことが嫌で嫌でたまらず、常に逃げ回ってはいるのですが…

あとから(…あくまでも、あとから)振り返ってみたとき、

自分が一回りも二回りも成長することができた時期というのは、

大体において“不安”が自分のすぐそばに立ってくれていたように思うのです。

 

4月から新しい環境に入っていく皆さん、

あるいは新しい挑戦を始めようとしている皆さん。

いま、不安でしょうか?

安心して下さい、私も不安です。

 

新しいことを始めたからこそ不安になるんであって、

また不安だからこそ新しいことを始められる。

あんまり正面から目を合わせ過ぎると辛くなるのでオススメしませんが、

ちらちら目をやる分には、もしかすると意外に悪くない“友人”なんじゃないでしょうか。

忘れた頃にふと振り返ると、一言の別れも告げずにいなくなってるような奴でもありますが、

私も4月から、新しい“友人”と一緒に歩き出してみようと思います。

※画像は、当時の研修ノートの1ページ。

自分が見た番組についてプレゼンする研修で、ウナギの話してます。

三つ子の魂、百まで…