2月28日 藤井 貴彦

漂流ポストのこと 

 

東日本大震災から11年。 

10年は一つの区切りだと言われましたが、 

残された家族にとって区切りではありません。 

  

天国にいる大切な人への手紙を預かるポスト。 

管理人の赤川さんのところには今も多くの手紙が届きます。 

 

大切な人へ想いを伝えたくても、手紙すら出すことができない。 

心に寂しい想いを抱える人達に、その宛先を提供したのがこのポストです。 

漂流ポストと名付けられました。 

 

実際にはこのポストに直接、投函するというより、 

後ろに見える家に全国から手紙が届きます。 

 

時に、手紙を出した方自らがこの場所を訪れて、 

郵便ポストを大切そうにさすっているそうです。 

ポストを通して大切な人に近づけるような気持ちになると言うのです。 

 

もちろんお手紙の返信はありません。 

でも、話しかけるように書かれた手紙はまさに大切な人との「会話」なのです。 

 

10年の区切りだからと、この手紙を書くのを止めるでしょうか。 

 

また多くの手紙が届く3月11日がやってきます。