6月30日 尾崎 里紗

自然が好きだ。

福岡の山々に囲まれて20年以上暮らした。

朝の小鳥のさえずり、雨を知らせるカエルの鳴き声、夕方から響き出す鈴虫の音は、意識しないほど日常のものだった。

最寄駅は隣の町だし、スズメバチの巣を駆除するのは命懸けで大変さもあったけれど、家の窓からホタルを楽しめる良さもあった。

 

手を伸ばすとすぐ近くにあった大自然は、

就職を機に上京してからは特別なものとなり、恋しくなった時は週末に「おでかけ」することで補完していた。

 

ただ、それも今はむずかしい。

 

そこで、もういっそのこと、部屋の中に自然を作ることにした。

 

『テラリウム』

 

ガラス製の容器などの中に土や苔などを使って一つの世界を作り上げるものだ。

ネットで「テラリウム」や「フィギュア」などで検索すると、出るわ出るわ、沢山のグッズが売られている。知識が乏しいため、その中からなんとなく気になるものを注文してみた。

 

 

作業開始から、2時間。

肩の凝りと戦いながら作り上げたものがこちら。

 

 

 

階段を石で、川を白い砂で表現。気分でカピバラを住まわせてみた。

うん、かわいい。

小さな瓶の中の世界なのに力強く、苔ひとつひとつの息づかいが聞こえてくるようだ。

 

作り上げた達成感なのか、

作業中に息を止めていたからかわからないけれど、

久しぶりに深く呼吸できた気がした。