11月22日 右松健太

最近ある「再会」があった。
ふと立ち寄った田舎町の古い模型店に、角がつぶれ少し白茶けた箱が積まれていた。
懐かしさが先立って思わず手に取った。「城」のプラモデルである。

実は幼い頃、本棚にはもっぱら歴史漫画が並び、
近所で城跡が見つかったとなると、心ときめかせスコップ片手に発掘の手伝いに走った。
その後、大学では史学科に入った。大学時代は塾講師として古典を教えていた。
そんな歴史大好き少年が小遣いを握りしめ模型店に行けば、
周りがスポーツカーやガンダムのプラモデルを選ぶ中、
私だけ姫路城、名古屋城、江戸城、大阪城、といった名城のプラモデルばかりを購入していた。
しかし、できあがりは、勇壮、優美、豪華絢爛とは程遠く、
まともに色も塗らず、やすりもかけず、接着剤もはみ出した代物だった。
そんなことを思い出しながら、古い模型店で織田信長の居城、安土城のプラモデルを手に取った。

箱を開けると、かつて抱いた、歴史へのロマンが沸き起こってきた。
子供の頃はなかなか塗料まで買い揃えることができなかったが、
高欄の柱に金、五階八角形外郭に赤、天守六階外壁に紫...。
かつて当代きっての番匠が天下布武せんとする武将の居城に何を想い重ねたか、
そんなことに思いを巡らせれば風流なことだが、
昔から変わらぬ大雑把さ不器用さに落胆しつつ、
完成図やモデル写真をもとに、細い筆で、息を止めながら、一筆一筆、色を付ける。
秋の夜長にちびりちびりと仕上げてゆくのが最近、「再会」した趣味の一つである。

いま、私の趣味のゴールデンタイムといえば
「NEWS ZERO」の放送を終え、帰宅してからのわずかな夜中のひとときである。
夏の頃はいっときもするとカーテンの向こうに朝焼けを感じ、
早く布団に潜り込まねばとせかされたものだが、
晩秋の夜明け前、朝刊がポストに投げ込まれる音が遠くから聞こえると、
もう朝4時を回っている。

いまニュース番組を担当し、様々な情報を整理し伝えている。
かつての歴史好き少年がアナウンサーになり十年。
夜な夜な、様々な部品を正しく組み立て、一筆一筆、色を付けるかのように、
一言一言を丁寧に、正しく美しく伝えることにこだわっていきたいと思う今日この頃である。