10月1日 水卜麻美

「おすすめ」してもらうことが、好きだ。
大切な人や、この人のことをもっと知りたい、仲良くなりたいという人に「おすすめ」してもらうのが大好きだ。
本、アニメ、漫画、食べもの、スポーツ‥なにより、心から好きなものをすすめてくれる時の、熱い眼差しと熱がこもった言葉を聞く時間は、幸せだ。さらには、わたしの性格や好みを考えてくれて、きっとこれが合うよとすすめてくれる人もいる。とてもうれしくて、ありがたく思う。
聞いたものが自分の経験や好みとどれだけ離れていても、できる限りまず、やってみるようにしている。おもしろいと思えたら嬉しいし、実はそこまではまりきれなくても、それはそれで楽しいのだ。そこから、なぜこれを好きになったのだろう、どう楽しんでいるんだろう、もしかしたらここからなにか影響も受けているのかな、などと思いを巡らせたり、これをすすめてくれるということは、わたしはこう見えているのかな、などと考えたり。すると、また違う角度からその人を知ることができたような、より仲が、気持ちが深まるような、勝手ながらそんな感覚があるのだ。

 ステイホーム期間、わたしはどっぷりと「おすすめ」につかることにした。あまり手にとる機会がなかった漫画(いくつか全巻読破もしたし、続きが気になるものがたくさんできた)、アニメも見た(劇場版につながった、素晴らしかった)。実はほとんど経験のなかったゲーム機も購入した(下手すぎて全然進まない、コツコツとチャレンジは続いている)。初めて挑戦したSNSの生配信、見てくださった方のおすすめレシピで料理をした(美味しかった!食べすぎた)。さわったことのない楽器を弾いてみた(結果、ベース購入)。
大好きな人と直接会うことがかなわなかったこの期間に、「おすすめ」で少しだけ、距離を縮められたような気がする。

 それでもやっぱり、勝手に深まった気がするわたしのこの気持ちは、「おすすめ」を今度は一緒に楽しみながら、面白かったね、私はここが好き、と語り合いながら、大切に伝えたいなと心から思った。もっともっと、その人の笑顔の近くで。