12月11日 新谷 保志

今年も気づけば、あと3週間。
クラブワールドカップ、高校サッカー、年末年始の特番、
そして箱根駅伝と、我が部署が最も忙しくなる季節を迎えました。
私は今年、クラブワールドカップでモロッコに出張し、
帰国後に箱根駅伝。欲張りな年末になりました。
そんな、いつもと変わらぬ年末年始の光景でありながら、
今年の箱根駅伝には大きなトピックスが一つ。ここに書かせていただきます。

 
 
  
20年前、大学1年生の僕は大学陸上界のスーパースターの付き添いとして、
鶴見中継所にいた。
箱根駅伝史を彩るスーパースター、渡辺康幸。現早稲田大学駅伝監督。
前年の箱根駅伝で2区区間新記録。その後、夏のユニバーシアードで金メダル。
世界一速い大学生の、4年生最後の箱根駅伝。
「箱根駅伝に向けて新調した」というゴールドのランニングシューズ、
渡辺さんを取り巻く駅伝ファンの異様な熱狂、そしてそんな中にあって
いつもと変わらず冷静で、これから箱根を走ることが何か他人事のような渡辺さん。
20年たっても色褪せない、鮮烈な記憶として脳裏に蘇る。
 
そもそもなぜ僕が、渡辺さんの付き添いに選ばれたかは、今となっても謎だ。
かたや4年生キャプテンのスーパーエース、かたや田舎の県立高校から
一般受験で入った名もなき3流ランナー。
ただ、あのとき数いる補欠選手から付き添いに選んでもらったことは、
その後の人生に大きな影響を及ぼしたと思っている。

あれから20年。
アナウンス部では箱根駅伝中継に向け、各大学に対し取材担当アナをそれぞれ選ぶ。
予選会後、発表された担当大学一覧には『早稲田:新谷』の文字。
今年、8年ぶりに母校を担当、勇躍して取材準備を進めていたところ、
大きなニュースを新聞で知る。就任12年目の渡辺監督、今季限りで辞任。
渡辺監督には「これも運命の巡り会わせだな。よろしく。」と言われた。
 
 
 
今年も2号車でトップを狙う上位チームの争いを実況。
20大学、均等な気持ちで放送に臨みますが、もし、早稲田大学が
単独で走っているところを中継する場合は、
今大会でしか出せない母校愛をマイクに乗せたいと思います。