12月27日 中野謙吾

街すべてが世界遺産。背筋にうっすらと緊張が走るような危険な香りと、それでもその中に足を踏み入れたくなるエネルギッシュで甘い誘惑がこの街にはあった。
モロッコ第2の都市マラケシュ。赤土で作られた建物はアフリカ独特の土の匂いと安心感を訪れる者に与えてくれる。
スーク(市場)には多くの屋台が立ち並び、通勤ラッシュの駅のような混み具合。店の主人達はなんとか自分の商品を売ろうと目の前に立ちはだかり、英語、アラビア語、時には片言の日本語を使って身振り手振りでアピールをしてくる。それを軽くあしらいながら、道をかき分け進むヨーロッパやアジアの観光客。
初のアフリカ大陸は僕にとってエネルギーに満ち溢れていた。

南米王者と欧州王者が事実上の世界1を決めたトヨタカップから6大陸王者が集いトーナメントでキングオブクラブス、世界No.1クラブを争う大会になって今年で9回目を迎える。
2013年大会の舞台は初のアフリカ大陸。
ジブラルタル海峡を挟んでスペインとは15km、大西洋に面し様々な文化が交錯する魅惑の国、モロッコだ。
その大会の中で大きな注目を集めたのが開催国王者のラジャ・カサブランカ。かつてアフリカを3度制した名門は南米王者を破るなどファイナルに進出しラジャ旋風を巻き起こした。特徴は・・・

「フラージャ」=ショーのように見せる

そのサッカーはヨーロッパの組織力と南米のテクニック、そしてアジアチーム得意の運動量と初めて見た人は驚きを感じるサッカーだった事だろう。
サポーターの迫力も凄まじく、3万人を超えるサポーターが自分たちの愛するチームの為に声を枯らしながら力を送った。

僕がマラケシュで感じたエネルギーがまさにこのラジャ・カサブランカにはあった。
「フラージャ」=ショーのように見せる。まさにこれはモロッコそのもの。来る人を魅了し、また見たくなる、また訪れたくさせる力がこの国にもサッカーにもあった。

次回もまたモロッコでの開催が決まっている。この溜め込んだエネルギーを来年まで少しずつ使っていこう。
また訪れるその日まで。
マハサラーマ(またね)