ボストンには、古都の風情がある。京都や鎌倉のように歩いているだけで、懐かしい空気と積み重なった時間を感じることができる。実際に、アメリカの歴史がぎっしり詰まった町で、清教徒たちの入植地、貿易の中心でもあった。
アメリカの町の名前には、ルーツであるヨーロッパの国々の町からとったものが多い。Boston(ボストン)の名も元は、イギリスの地名。7世紀頃に僧侶(キリスト教の聖職者)であるBotolph(ボトルフ)が僧院を建てたことから「Botolph's town(ボトルフの町)」と名付けられ、それが短縮されて「Boston」になったそうだ。つまり、イギリスから渡った清教徒たちがつくったアメリカのボストンは「僧侶の町」という意味を持っているのだ。
アメリカで最も古い歴史を持つボストンは、かつて世界的な貿易港だった。アジアとの関係が深かったこともあり、ボストン美術館では早くから中国、日本、インドなどアジア地域の美術の収集に力を入れていた。そのせいもあってボストン美術館と言えば「東洋美術の殿堂」と呼ばれている。しかし、質の高いアジアの作品をアメリカの美術館が10万点も集めるのは、奇跡に近いような偉業だ。これほどのコレクションを持つ背景には、日本を愛する3人の存在が大きい。
スペシャル
鎌倉時代、13世紀後半
Fenollosa-Weld Collection