スペシャル

《平治物語絵巻 三条殿夜討巻》(部分)
鎌倉時代、13世紀後半
Fenollosa-Weld Collection

スペシャル

ボストン美術館展を楽しむ7つの秘密
アートナビゲーター ナカムラクニオ

2019.12.26
第2話
「美の百科事典」のつくりかた
2-1
アメリカは、紅茶を海に投げ捨て生まれた?

古都ボストンは、アメリカ独立のきっかけとなった1773年の「ボストン茶会事件」で有名な港町だ。
17世紀のアメリカは、イギリスの影響で紅茶の方が人気だった。しかし、イギリスがコーヒー貿易の競争でオランダやフランスに負け、紅茶貿易に切り換えたことで事情が変わった。イギリスは紅茶の輸入を独占し、価格をつりあげ、重い税金をかけた。これに怒ったアメリカの人々は、港に停泊していたイギリス、東インド会社の船を襲い、積み込んであった紅茶342箱の茶をすべて海中に投げ捨てた。「ボストン港をティー・ポットにしてやるぜ!」と叫びながら、50人ほどの市民が茶箱を投げ捨て、海は紅茶で染まった。アメリカは、「ボストン茶会事件(ボストンティーパーティー事件)」を機に独立運動をはじめたのだ。
これ以降、アメリカでは紅茶よりもコーヒーを好むようになったと言われている。確かに、ボストンの町は、どこもスターバックスで溢れていた。 ボストン港にある茶会事件博物館(Boston Tea Party Ships and Museum)では、再現した帆船を見学した後、海に茶箱を投げ捨てる体験ができる。ボストンに着いたらまずここに行き、歴史を体験し、その後にボストン美術館を訪ねるのがいいと思う。

 

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ナカムラクニオ/Kunio Nakamura

荻窪「6次元」店主/ライター。
著書は『金継ぎ手帖』『古美術手帖』『チャートで読み解く美術史入門』『魔法の文章講座』『世界の本屋さんめぐり』など多数。


 

参考文献:

『茶の本 (The Book of Tea)』(IBCパブリッシング)
『名品流転―ボストン美術館の「日本」』(NHK出版)

 

 

芸術×力 ボストン美術館展
会場:東京都美術館
会期: 2020年4月16日(木)〜7月5日(日)